中央政界特報

■平成29年11月9日(木) 第5332号

「政治特報」

 旗揚げしたとたん、野党第1党になった立憲民主党。それだけ枝野幸男代表の「政治力」は国民から注目されている。

 枝野代表はカラオケ好き。とっておきの持ち歌がある。
 和田アキ子さんの「あの鐘を鳴らすのはあなた」だ。
 カラオケの「締め」には必ず歌う。
 一歩引いている。相手を立てる。
 これまでの枝野代表は「あの鐘を鳴らすのはあなた」だ。
 民進党代表選で前原誠司氏に負けたときは、それこそ「あの鐘を鳴らすのはあなた」だった。
 だが、衆院選は違っていた。自らが鐘を鳴らした。
 小池百合子代表によって希望の党入りを「排除」され、ならばと立ち上げた立憲民主党。
 選挙は「パーフェクト」といってもいいほど。78人が立候補し、55人が当選。いきなり野党第1党に。
 12日間の選挙戦、8党首中最高の1万3500キロ余の全国走破。応援演説をした35選挙区のうち、15人が当選。勝率は42・9%だった。
 ちなみに安倍晋三首相は58人を応援し37人が当選。勝率は63・8%。
 1964年5月31日栃木県生まれ。東北大学法学部を卒業し、88年に司法試験に合格。
 国会議員になったのは93年の衆院選。日本新党の公募に合格し、初当選。
 カラオケが得意なのは中学、高校時代、合唱団に所属し、全国大会で優勝した経験からきている。
 政治家として頭角を現わしたのは薬害エイズ問題。
 そして98年の金融国会では金融再生法成立に関わり、「政策新人類」と脚光を浴びている。
 東日本大震災のときは菅直人政権の官房長官。
 連日連夜のように続いた記者会に、「枝野寝ろ」の声まで。
 「あのときは寝ろだったが、今度は立て、の声をいただいた」
 立憲民主党立ち上げをそう説明している。
 立ち上がった枝野代表の政治家としての真価が問われるのはこれから。
 野党再編には「まったく考えていない。そうなったとき、立憲民主党は即失速する」との姿勢を。
 菅政権の官房長官時代「枝野カラーを出せ」といわれながら、最後までカラーを鮮明にすることができなかった。

「第2ラウンド」

 安倍晋三首相と米ドナルド・トランプ大統領のゴルフ第2ラウンドは会場を2020年東京オリンピックの大会会場となる埼玉県川越市の霞ヶ関カントリークラブで11月5日に。
 第1ラウンドは安倍首相が渡米した今年2月10日に、トランプ大統領のホームコース、フロリダ州南部の「トランプ・インターナショナルGC」で行われている。
 ワシントンのホワイトハウスでの首脳会談後、大統領専用機「エアーフォースワン」に同乗し、パームビーチのトランプ大統領の別荘「マール・ア・ラーゴ」に移動。
 その日は別荘に宿泊し、翌日に試合に臨んでいる。
 両首脳の体格は安倍首相が身長175センチ、体重70キロ余。
 トランプ大統領は身長190センチ、体重105キロ余。
 身長、体重ともトランプ大統領が上まわっている。実力のほうも安倍首相がハンデ20に対し、トランプ大統領のハンデは3を切っているとも。
 ドライバーの平均飛距離は安倍首相は200ヤードほど。トランプ大統領はそれより50ヤードほど長く飛ばす。
 安倍首相が優勢なのは71歳のトランプ大統領より8歳若いこと。
 第1ラウンドの対戦は2つのゴルフ場を5時間ほどかけてハシゴし、計27ホール。
 霞ヶ関カントリークラブでの第2ラウンドには男子ゴルフ世界ランキング4位の松山英樹選手が「ホスト役」に。
 2月の第1ラウンドのときは南アフリカのエルス選手がプレーに加わっている。松山選手の意気込みは強い。

「最年長衆院議員」

 衆院選で議員バッヂをつけた465人。
 11月1日に召集された特別国会で顔を揃えた。
 波乱万丈の戦いを勝ち抜いてきたとあって、どの顔にも会心の笑みが。
 そんな465人の中の最年長は自民党伊吹文明氏。
 1938年1月9日生まれの79歳。
 ちなみに2番手は自民党の二階俊博幹事長で78歳、3番手は77歳の自民党の麻生太郎副総理兼財務相。
 選挙は「大ベテラン」の貫録をみせつけての圧勝だった。
 京都1区で出馬。びくともせず、手堅く88106票を獲得。
 「ドンカメ」の異名をつけられ、つねに永田町の話題の中心にいた亀井
静香氏は80歳になり、「達成感はない」と言い残して引退したが、伊吹氏はますますやる気だ。熱い。
 「党のご意見番」に燃えている。
 京都生まれで、実家は江戸時代から続く繊維問屋。
 京都大学経済学部を卒業し、大蔵省に入省。イギリス大使館二等書記官、国際金融局勤務などを経て、83年の選挙で初当選。
 渡辺美智雄元副総理の側近として頭角をあらわし、故金丸信氏に信頼されて当選3回で副幹事長に抜擢され地歩を固めている。
 ことあるごとに口にしているのが「豊かな中につつましく暮らす術を知る」だ。
 この年代にしては背が高く、180センチはある。
 趣味はテニス、料理。酒や料理の話になると黙っていない。

「地盤の強み」

 「選挙に勝つには「地盤」「看板」「カバン(資金)」の「三バン」が絶対的ともいえる条件になっている。
 このうち「一バン」でも足りないと、厳しい選挙に。
 今回の選挙でもやはり「三バン」の揃っている候補者が強かった。
 そのことは、世襲議員の人数が裏付けている。
 自民党は88人。これは自民党衆院議員の29パーセントにあたる。
 選挙前は「大勝利」が予想された希望の党は、結局は大失速。235人が出馬したものの当選は50人。このうち世襲議員は7人。
 希望の党に代わって風に乗った立憲民主党の55人の当選者のうち、世襲議員は4人。当選者の人数が多いこともあるが、世襲議員でも自民党が他党を圧倒している。
 世襲議員といえば安倍晋三首相がその筆頭。
 祖父は岸信介元首相で、父親は安倍晋太郎元外相。子どものころ、岸元首相のひざの上で、デモ隊の「安保反対」のシュプレヒコールを聞いている。
 安倍首相と並ぶのは麻生太郎副総理兼財務相。
 政界にあって飛び抜けた「名門」の出。
 祖父は吉田茂元首相。祖父のDNAは葉巻好きなところにも表れている。
 紙巻タバコには見向きもせず、葉巻の中でも最高級のバルダガスをゆったりとくゆらせている。
 「自民党大勝利」の立役者小泉進次郎氏も世襲議員。
 「よく七光りと言われますが、自分は七光りどころではない。八光り、九光りです」そうハッキリといいきっている。政治家は曾祖父の代からのもの。

「進次郎氏の強さ」

 自民党小泉進次郎氏の強さは、獲得した票数が物語っている。
 神奈川11区から出馬し、15万4000票を集めた。
 この獲得票は全国選挙区で2番目となる。
 ちなみに1番は神奈川15区の河野太郎氏の15万9000票。
 12日間の選挙戦中、小泉氏が自分の選挙区である横須賀市に入ったのは1度だけ。
 それも時間にして1時間ほどだった。
 あとは応援のために北から南まで日本列島を駆け巡っている。
 踏破した距離は実に1万5000キロを軽く超えている。
 食事も睡眠も移動中にというハードさ。それぞれの地元ネタを入れた、演説のうまさは抜群。 
 応援してもらい当選した候補者からは「総理大臣になってもらう。そのときは我々が応援する」の声。
 小泉氏は初当選のときから選挙に強さを発揮してきている。
 当選1回生でありながら、「自民党の顔」をまかされての全国応援。
 自民党総裁選は来年9月。
 安倍晋三首相が3選をものにするか。それとも新総裁が誕生するか。
 「ポスト安倍」で名前があがっているのは岸田文雄氏、石破茂氏、野田聖子氏、河野太郎氏。
 「現段階ではこの4人が安倍首相の後を争うことになるのは間違いない」(永田町筋)
 そのあとに小泉氏の名前が。
 安倍首相が3選となったとき、世代交代から4人を飛び越えて一気に政権の座に就くことも。
 「胆力をつけたい」
 自らに言っている。

「議長再選」

 こわもてだ。新人議員はその顔を見ただけで縮み上がってしまう。
 衆院議長に再選された大島理森氏。
 自民党の重鎮で、派閥「大島派」の領袖だったとき、派閥に属する若手議員からこんなことを言われていた。
 「怖くて近寄りがたい。もっとやさしい顔になってくれるといいんだが」
 これには大島氏は苦笑するしかなかった。
 「どうにもならんよ。親からもらった顔だからな」
 確かに怖い。四角い角ばった顔、目はギョロリとし、鼻は大きい。
 声も低く、口調も厳しい。
 睨みつけられたら、それこそすくんでしまう。このド迫力が衆院議員を仕切る議長にはまさにぴったり。
 衆院議長は与党第1党から選ばれる。
 だが、衆院選ごとに交代するのが慣例になっている。
 この慣例通りなら、議長からは外れることに。
 だが、安倍晋三首相は、即座に「再選」を決めている。
 天皇陛下の退位を控えていることで、大島氏の続投を。
 大島氏が議長に就任したのは2015年4月。
 町村信孝議長の病気療養による辞任によって。
 46年9月6日、青森生まれの71歳。慶応大学法学部卒業。
 農林水産相、文部相、環境庁長官などを歴任しているが、その名を轟かしたのは国会対策委員長のとき。
 ときの民主党山岡賢次国対委員長との激しいバトルは国会の名物になっていた。座右の銘は「堅忍不抜」だ。

「景気と経団連」

 衆院選挙で日本列島が大騒ぎだった間、景気はどうなっていたか。
 上向いていた。自民党が大勝して、一夜明けた東京株式市場。
 日経平均株価は200円超も値上がり。
 「日本株がこんなに上がるとは」
 市場関係者もびっくりだ。営業日連続の上昇は、高度成長期の1960年、バブル全盛期の88年を上回った。
 選挙戦に突入した日、10月10日に日本銀行は全国各支店がまとめた地域経済報告を公表している。これによると全9地域のうち東海、近畿、中国、関東甲信越の4地域が景気判断を引き上げている。
 景気が上向いていることに経団連はすかさず反応 している。
 それも「評価」の声だけではない。
 会員企業に対し自民党への政治献金をあらためて呼び掛けている。
 呼び掛けの理由について榊原定征会長は「民主政治を維持するためのコスト」と。
 榊原体制になったのは2014年。以来、経団連からの自民党への政治献金は途絶えることなく続いている。
 選挙前、経団連には自民党の議席獲得に懸念する声が多かった。
 小池百合子氏が代表の「希望の党」に多くの議席を奪われるのではないかと。
 それだけに自民党の勝利に、政治献金続行の即実行を。
 希望の党をはじめとした野党に対しては、評価もしていない。
 「政策を実行できるわけではない」と。
 経団連は安倍晋三首相のこれからの経済政策にますます注目している。