中央政界特報

■平成29年10月19日(木) 第5329号

「政治特報」

 会心の笑みをもらすのは誰か。衆院選挙の結果で、日本の進路は変わる。各党首は最後の追い込み。

 9月2日、解散時点での衆院の勢力図は自民党288議席、民進党88議席、公明党35議席、共産党21議席、維新の会15議席、希望の党11議席、社民党2議席、自由党2議席、無所属10議席。
10月22日の投票を目前にして激しいせめぎ合いをしているのは自民党、公明党、希望の党、立憲民主党、共産党、維新の会、社民党、日本のこころの8党。
 自民党安倍晋三総裁、公明党山口那津男代表、希望の党小池百合子代表、立憲民主党枝野幸男代表、共産党志位和夫委員長、維新の会松井一郎代表、社民党吉田忠智党首、日本のこころ中野正志代表は声を高くしている。
 首相の専権事項である「解散」をした安倍総裁。
 外交を得意としており、「地球儀俯瞰的外交」とばかり世界を飛び回っている。
 趣味はゴルフ。歴代首相では宮沢喜一元首相と並ぶゴルフ好きだ。1月の渡米ではトランプ米大統領のフロリダの別荘でコースを回っている。
 前面に押し出しているのは「この国を守り抜く」。
 「日本の未来を決める選挙だ」と。
 山口代表は弁護士出身。学生時代はブラスバンド部でトロンボーンを吹いていた。趣味は写真と音楽。座右の銘は「至誠一貫」だ。
 小池代表は、すっかり定着している「クールビズ」の提唱者。いまはショートカットだが、東日本大震災の後、「自民党が政権を奪回するまで髪は切らない」と約1年9カ月ロングヘアにしていた。酒は強いが「勝つまでは」と断酒中。
 枝野氏は大のアイドル好き。アイドルのコンサートに出かけては、自らステージに上がることも。選挙に勝利し乃木坂46の「インフルエンサー」を熱唱することを目指している。
 志位委員長は東大でも工学部を卒業している。酒はなんとウォッカに目がない。酒談義になると声が弾んでくる。
 松井代表の少年時代は「生意気だった」と。転向した高校で、最初の日に大ケンカを。反骨は少年時代から。
 吉田党首は10年の参院選で初当選。昨年の選挙で議席を失っているが、「実直」な人柄で党首を続投。
 「憲法を活かす政治」を声高く主張している。
 12年12月の衆院選での各党獲得議席は自民294、公明31、民主57、維新54、みんなの党18、共産8、未来9、社民2、国民新党1、大地1、無所属5。
 14年12月の選挙では自民290、公明35、民主73、維新41、共産21、社民2、次世代2、生活2、無所属9。
 8党が入り乱れての今回、各党の獲得議席は読めない。

「大統領を迎えるのは」

 票読みが難しい衆院選挙。
 勝利の女神はどこに微笑むか。
 そんな波乱含みの永田町だが、世界は動いている。
 11月にはいるとトランプ米大統領が来日する。
 先がけるようにトランプ大統領の長女、イヴァンガ大統領補佐官が11月になってすぐ来日だ。
 安倍晋三首相が主導している「国際女性会議WAW!」に出席するために。
 トランプ大統領は11月10日、11日にベトナムで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議と、それにつづいてフィリピンで行われるASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議に出席するためにホワイトハウスを離れる。  
 この日程の間を縫って日本、韓国、中国を訪問する。
 大統領に就任してから初めてのアジア歴訪だ。
 このときトランプ大統領を迎えるのは誰か。
 「すべては選挙の結果による。トランプ大統領と個人的な関係を強くしているのは安倍首相だが」(永田町筋)
 安倍晋三首相はアメリカ国内ですでに3度、トランプ大統領とひざをつきあわせての首脳会談をしている。
 大統領に就任する前はニューヨークのトランプタワーで。
 就任後はフロリダの別荘で。そして3度目は国連総会の開かれたニューヨークで。
 フロリダではゴルフを。
 電話会談はひんぱんに。
 年内には中国習近平国家主席の来日も進められている。
 これは安倍首相が中国の建国記念日「国慶節」の日に呼びかけている。

「静かに去る」

 衆院選に出馬せず、引退した自民党平沼赳夫氏。
 かつて「床の間を背にすると絵になる」と言われ、ゆくゆくは「総理大臣間違いなし」ともっぱらだった。
 自身、政権の座に強い意欲を燃やしつづけていた。
 だが、それは実現できないままに国会を去ることに。
 毛並のよさは折り紙つき。
 養父平沼麒一郎氏は元首相。妻真佐子さんは徳川家につながっている。
 風格もあり、まさに「絵になる」そのもの。
 だが、その裏では試練に見舞われてきている。
 衆院選では2度の落選を経験している。
 浪人中は真佐子さんが着物などを売って経済的に支えてきている。
 昭和55年に初当選してからも、山あり谷あり。
 経済産業相、通産相、運輸相などの要職を歴任。
 「ポスト小泉」に一番近いところにいたが、17年の郵政民営化に反対。
 一徹で、主義主張は絶対に曲げない。
 「ブレない政治家」(永田町筋)そのものを通しての郵政民営化反対。
 そのまま自民党から離れ、その後「たちあがれ日本」を結党。さらに石原慎太郎氏と「太陽の党」を結成。つづいて「日本維新の会」に合流、「次世代の党」を結成と、めまぐるしく変遷し、27年10月に自民党に復党。
 石原氏は平沼氏を「一本筋の通った剛直な政治家」と言っていた。
 最大の危機は06年12月。積み重なった心労が引き金となり脳梗塞に倒れた。
 それも郵政造反組との打ち上げ最中に。
 いま剛直な政治家は後ろを振り返らずに去った。

「ピリオドを打った亀さん」

 「当選しても一緒にやっていく相棒がいない」
 「亀さん」とも「ドン亀」とも呼ばれ長い長い議員生活を送ってきた亀井静香氏が国会議員活動にピリオドを打った。
 衆院選に出馬せずに引退。当選すること13回。永田町の表も裏も知り尽くしている「ドン亀」も80歳という年齢に決断を。
 「うさぎと亀さん」の童話では、亀さんはうさぎに勝って最後はゴールに飛び込む。
 しかし、永田町の亀さんは、首相というゴールにはついに飛び込むことができなかった。
 「政権取り」に熱く燃えまくった議員活動だった。03年には自民党総裁選に立候補している。結果は小泉純一郎氏に敗れ、05年には郵政民営化に反対して自民党を除名になってしまった。
 郵政民営化選挙は刺客を立てられ、どしゃぶりの雨の中をかけずりまわって勝利。ドン亀の意地を見せつけてくれた。
 自民党時代にも完全に干し上げられた「傘張り浪人」を味わっている。
 自民党を離れた後は、それこそ波乱万丈。風の吹くままに。
 05年に「国民新党」を旗揚げし、09年の鳩山由紀夫内閣では金融担当相を。
 その後も「波乱万丈」は続き、日本未来の党、みどりの風に身を寄せ、最後となった14年の衆院選は無所属での立候補。
 本人に言わせると「趣味というより、ストレス発散」で絵画を得意としており、東京・丸の内のパレスホテルで個展を開いてもいる。
 「達成感はない」
 深々と頭を二度下げ、亀さんは去って行った。

「とまどう支援団体」

 まったく先が読めない衆院選挙。
 「どこが勝利するか。終わってみなければわからない」(永田町筋)
 自民党が「1強」を守れるか、公明党は手堅く地歩を固めるか、希望の党が飛び出してくるか。
 立憲民主党はどうか、共産党は、維新の会は、日本のこころは、社民党はどうか。
 票読みができなくなっている。
 かつてない大乱戦にとまどいをみせているのは経営者と組合。
 経営者側の日本経団連には危機感が満ちている。
 危惧しているのは2009年の衆院選で民主党が政権をとったときの状況になること。
 榊原定征会長は「ポピュリズムになれば、日本経済は低迷する」と。
 民主党政権と同じ事態になることを恐れている。
 「外交も破壊された」と。
 日本商工会議所の三村昭夫会頭は希望の党が選挙公約に「原発ゼロ」を盛り込んできたことを懸念。
 もっと困惑しているのは民進党の支援母体であった連合。
 まさかの民進党の分裂。
 希望の党、立憲民主党、無所属の3つに割れてしまった。
 民進党大会で前原誠司氏が代表に決まったとき、「離反者は出る」と予測していたが、ここまで分裂してしまうとは。
 「見きわめがつかない」
 神津里季生会長は、選挙後についても、とまどいを隠せない。
 連合も一体ではなくなっている。
 連合本部は、特定政党を「支援しない」方針だが、連合東京は立憲民主党の公認候補を推薦している。

「衆議院はこんなとこ」

 東京のど真ん中、千代田区永田町1丁目7番1。霞ヶ関の官庁街を見下ろすようにそびえている国会議事堂。
 桜田門の交差点から坂道をのぼっていくと正面の突き当たりに。
 坂道の両側には北海道のあかえぞまつ、宮城県のけやき、沖縄県のそてつといったように日本全国、都道府県から贈られた木が植えられている。
 坂道の左側が和風、右側は洋風庭園。
 国会議事堂が建てられたのは1936年11月7日。17年の歳月、当時の金額で2570万円、工事延人数254万人をかけて。
 敷地面積は10万3001平方メートルで、東京ドームの約2・2個分。南北206・36メートル、東西88・63メートル。搭屋の一番上までは65・45メートル。
 御影石づくりの外観から「白亜の殿堂」と。
 いま、東京で一番の背高は東京スカイツリーだが、当時は国会議事堂の中央塔が日本一の高さを誇っていた。
 衆議院は正面に向かって左側。参議員は右側。
 国会議事堂といえば赤じゅうたん。延べにして4キロの長さ。
 新人議員はこの赤じゅうたんを踏んだとき「国会議員になった」の実感を。
 本会議場は衆議院も参議員も同じ広さ。畳にして450畳。
 同じ広さでも衆議院は議員数が多いのですみからすみまでぎっしり。
 席は議長席に向かって左から所属議員数の多い会派から順に。
 席の前は若手議員でベテラン議員になるほど後ろに。安倍晋三首相は最後部で、右隣は野田聖子総務相。

「議員会館と議員宿舎」

 「当選」と「落選」はまさに天と地の違い。
 まずあてがわれるのが議員会館。
 国会議事堂と道路一本へだてた裏手に衆院議員会館、参院議員会館が並んで建っている。
 衆院議員会館に一番近いのは東京メトロ千代田線の国会議事堂前駅。
 建て替えられ、10年7月20日から使用されている。
 建築費は衆院第一、第二の2棟で1174億円。
 旧議員会館に比べると議員事務所の広さは2・5倍。
 旧は40平方メートルで2部屋だったのに対し、新は100平方メートルで4部屋。
 旧は手狭で、ドアをあけてすぐの秘書室と奥の議員室。
 新は議員室、秘書室のほかに応接室、待合スペースも。
 衆院議員のための衆院赤坂議員宿舎が新しく完成したのは19年1月。
 国会議事堂に近く、地下鉄赤坂駅、溜池山王駅から徒歩3分の一等地にある。
 地上28階、地下2階。82平方メートルの3LDKが300戸。
 寝室が3部屋とれ、それに居間、食事室が。
 議員宿舎は地方からの議員のためのもので、海外にはあまりない。
 当初、スポーツジムやスカイラウンジを設けることになっていたが「豪華すぎる」の批判でこれはとりやめになっている。
 議員会館、議員宿舎とも「当選」してのもの。
 落選した議員は3日以内に、すべての荷物をまとめて議員会館を出なくてはならない。議員会館の廊下は引っ越し荷物の山に。
 当選議員には総務省で当選証書が授与される。