中央政界特報

■平成29年9月28日(木) 第5326号

「政治特報」

 「ポスト安倍」の有力候補、岸田文雄政調会長が精力的に動き、そして発言を。最大のライバル、石破茂元地方創生相とのバトルに突入だ。

 安倍晋三首相が政権に復帰した12年12月26日から外相に。
 8月の内閣改造で閣外に出るまで4年7カ月。
 歴代2位の長期にわたって外相をつとめた。
 これは強みになっており、と同時に弱みに。
 外国の首脳とは太いつながりが出来、安倍首相についで世界に顔を知られている。
 これは強みだ。各国の首脳との「親しい関係」は政権の座に就く上で大きい。
 弱みは世界に顔を知られても、国内では外務大臣は実績を評価されにくいこと。
 外相という立場から、国内に顔を売る場面が少なかった。
 岸田派のご意見番、古賀誠元幹事長は「長けりゃあいいというもんではない」と。
 これは岸田氏自身が痛感している。
 安倍首相の「引き留め」を固辞し、閣外に出たのもそれを痛感してのこと。
 政調会長というポストを得たことで、岸田氏は行動、発言が活発になっている。
 地方に出ての講演会、そして選挙の応援に。
 「ポスト安倍」を争っている石破茂氏は、国内に強い。くまなく全国を辻説法で歩いており、地方には絶対的な顔だ。
 それは12年の自民党代表選に表われている。
 地方の党員票では安倍首相に勝った。が、国会議員による決選投票では敗れ、政権の座には就けなかった。
 岸田氏は国会議員票には自信を持っている。
 岸田派は自民党内にあって、細田派、麻生派、額賀派につぐ4番目の勢力。
 あとは党員票をいかに集めるか。
 9月12日、岸田氏は自らの諮問機関として「未来戦略研究会」を設置した。
 国会議員と有識者によって構成した機関で、「アヘノミクスの次を見据えた経済政策」の議論を。
 発言も踏み込んできている。
 「安倍首相はタカ派、私はハト派」と「岸田カラー」を鮮明にしてきている。
 石破氏の「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則の「見直しをするべきでは」に対し、「三原則は維持していくべき」。
 憲法9条改正については「改正の考えは持っていない」と、あくまでも慎重な構え。
 消費増税については「行うべき」の考え方を明確にしている。
 政権取りは「安倍政権を支えていく」ことで、足場を固めていく戦略だ。
 体も鍛えている。議員会館のジムに通う議員の中で最も熱心。

「おきあがりこぼし」

 9月9日、民進党前原誠司代表の姿は宮城県にあった。
 訪ねたのは渡部恒三氏の私邸。
 渡部氏は自民党時代、旧竹下派の「七奉行」の一人。
 旧民主党時代は「民主党の黄門様」を自認していた。
 「永田町の表から裏までを知りつくしている」(永田町筋)
 前原代表が渡部氏宅を訪れたのは、いうまでもなく長老の意見を聞くために。
 渡部氏が取り出したのは二個のおきあがりこぼし。
 赤い着衣と青い着衣の対のおきあがりこぼし。
 渡部氏から「ふってみなさい」と言われ前原代表は「ドキドキする。凄く緊張する」とその顔は「マジ」でひきつった。
 それにはわけがある。
 12年前、前原氏は旧民主党の代表に就任したとき、やはり渡部氏からおきあがりぼしを振ることをすすめられている。
 このとき、こともあろうにおきあがりこぼしは起き上がらずに、倒れたままに。
 これがその後の前原代表を暗示するように、1年もたずして代表の座を退りぞいている。
 あのときの「悪夢」が脳裏に。
 それで「ドキドキする」とえらく緊張。
 結果は、おきあがりこぼしはユラユラと揺れたあと起き上がった。
 前原代表の嬉しそうな顔といったらない。
 だが、現実は厳しい。枝野幸男氏を破って代表に就任したものの、立ち上がりから民進党は大揺れだ。
 前原代表のキャッチフレーズは「一致結束」だが、離党ドミノが起こっている。

「厳しい反発」

 当選3回。初当選以来、トントン拍子で出世階段を駆け上がってきている自民党小泉進次郎筆頭副幹事長。
 党青年局長、復興政務官、党農林部会長、そして今年8月からは党筆頭副幹事長。
 父親の小泉純一郎元首相より出世のペースは早い。
 「俺よりはるかにしっかりしているよ」
 父親ということを抜きにして小泉元首相は感心している。
 「自民党のプリンス」と呼ばれ、選挙では応援に引っ張りだこの人気。
 やることなすこと、どれも高い評価を。
 そんな小泉氏が、なんと猛烈な反発を食っている。
 「ごまかしでしかない」とまで。
 反発の声を上げているのは経済界。
 日本丸のエンジンである経済界には三つの大きな団体組織がある。
 日本経団連、経済同友会、日本商工会議所がその三つ。
 この三団体がこぞって小泉氏に「異」を唱えている。
 小泉氏は自民党若手議員と組み「こども保険」の創設を。
 「幼児教育と保育の無償化」を目指しているもの。
 経済界が反発しているのは財源。
 小泉氏は財源として「企業経営者の年金返上」を提案している。
 富裕層による自主的な年金返上論に、経済界は「財源は本筋の消費増税で」と。
 これまで経済界は「将来の総理大臣」の呼び声の高い小泉氏には好意的なスタンスをとってきている。だが、いまバトルのゴングが鳴った。

「世界を駆ける」

 河野太郎外相が世界を飛びまわっている。
 「世界を相手」と言えば安倍晋三首相。
 「地球儀俯瞰的外交」を掲げ、この4年9カ月、世界に。
 「首相官邸にいるよりも、政府専用機で飛びまわっていることのほうが多いのでは」(永田町筋)とまで言われているほどだ。
 「世界の中心で日本は輝く」
 「必要とあれば、いつでもどこにでも行きますよ」
 ことあるごとに安倍首相はそう言っている。
 そんな安倍首相の上を行くように河野外相は世界に飛び出している。
 外交デビューは8月3日に外相のポストに就任して1週間後、東南アジア諸国連合(ASEAN)との外相会議に出席でフィリピンに。
 外交デビユーではいきなりティラーソン米国務長官、ラブロフ露外相と日米、日露外相会談を。中国王毅外相との会談では父親の河野洋平元外相との違いを鮮明に。
 8月16日には日米の外務、防衛担当閣僚による「2プラス2」に出席のため成田空港を飛び立っている。
 9月に入るや9日からカタール、ヨルダン、クウェート、サウジアラビア、エジプトの中東5カ国を歴訪。
 激しい対立が続いている中東和平に積極的に仲介にはいることをアピールしている。
 「世界を駆ける」では留学時代の人脈も生きている。
河野外相は米ジョージタウン大学に留学しており、ヨルダンのアブドラ国王は同窓生。
国会議員きっての「英語の達人」だ。
通訳なしの会談でも心配なし。

「吉田邸」

 「ワンマン」の異名をほしいままにしていた吉田茂元首相。
 政権の座にはじつに2616日も座っている。
 長期政権に強い意欲を持っている安倍晋三首相も、まだまだ吉田元首相の在任日数には及ばない。
 89歳の生涯を閉じたのは67年10月20日。
 亡くなったのは神奈川県大磯町の邸宅で。
 いま、吉田邸が大変な人気だ。
 吉田邸は09年に焼失しているが、大磯町が中心となって再建。
 今年4月から一般公開されている。
 戦後の日本の政治の舞台となった吉田邸。
 一般公開を待ちわびていたように、人が続々と押しかけている。
 「吉田邸と赤坂の迎賓館」を巡るバスツアーを企画し、運行している旅行代理店もある。
 これが大受けで、吉田邸の前には観光バスの列が。
 大磯町には伊藤博文、山県有朋、大隈重信、西園寺公望、寺内正毅、原敬、加藤高明、吉田茂と8人の首相が邸宅や別荘を構えた。
 そのなかでも吉田邸は「政治の舞台」として際立っている。
 吉田元首相本人があらゆる意味で際立っていた。
 1953年の「バカヤロー解散」。
 首相官邸から大磯の邸宅に車で通うため、専用ともいえる道路を整備。 
 「ワンマン道路」と言われていた。
 吉田元首相の血は孫の麻生太郎副総理兼財務相に継がれている。
 キューバ産の葉巻をつねに手から離さなかった。麻生氏もタバコは葉巻。バルダガスだ。
 吉田邸がにぎわっていることには「そうらしいな」と。

「人生100年時代」

 安倍晋三首相が新しい政策を打ち上げてきた。
 その名も「人生100年時代構想」。
 「人づくり革命」を具体的に進める上での有識者会議で、9月11日に初会合を開いている。
 まずは「看板政策には看板が欠かせない」ということか、茂木敏充人づくり革命担当相と、「人生100年時代」の看板を高々と入り口に掲げている。
 「人づくりは安倍内閣の最大のテーマ」
 安倍首相はそう強調している。
 自民党内には「人生100年時代戦略本部」を新設。
 本部長には8月の内閣改造で閣外に出た岸田文雄政調会長が。
 そして事務局長には小泉進次郎筆頭副幹事長が就任している。
 岸田政調会長、小泉筆頭副幹事長と、いまの自民党では一、二を争う人気者。
 「アピールするにはベスト」(永田町筋)といわれるスターを看板に。
 12年12月26日に政権の座に復帰してからの安倍首相は、つぎつぎに看板政策の花火を打ち上げてきている。
 まず最初に石破茂氏を担当相にした「地方創生」。
 ついで、女性の積極的な社会進出を進める「女性活躍」。そのあとには「1億総活躍」「働き方改革」と。そして「人生100年時代」に。
 その中身には「教育無償化」「全世代型社会保障の改革」などが。
 日本人の寿命はさらに延びていっている。総務省の公表によると65歳以上の男性は1525万人、女性は1988万人。
 一方で、内閣府の有識者検討会は、公的年金の受給開始年齢を70歳よりあとにという提言を。

「プレミアム金曜日」

 内閣府が発表した2017年4〜6月期の国内総生産(GDP)は実質成長率4・0パーセント。
 これは15年1〜3月期以来の高い成長率だ。
 具体的な内容を見てみると、個人消費が0・9パーセント増になっている。
 やはり内閣府が発表した国民生活に関する調査によると、現在の生活に「満足している人」が73・9パーセント。
 これは前年より3・8パーセントも増えている。
 GDPが成長し、国民の満足度もアップ。
 今年2月から政府や経済界の鳴物入りで始まったのが「プレミアムフライデー」。
 毎月最終金曜日は、午後3時に仕事を切り上げ、あとは「フリーにつかってください」というもの。
 消費を活発にさせようという狙いが込められている。
 安倍晋三首相も1回目のプレミアムフライデーは、午後3時に首相官邸を出て、山梨県鳴沢村の別荘に。
 そのままゴルフを楽しんでいる。
 現状のプレミアムフライデーはどうか。
 「結局は仕事を先延ばしするだけ」
 「家でゴロゴロするだけ」
 などといった声が多いのは事実。
 音頭をとった安倍首相自身、プレミアムフライデーを満喫したのは最初の1回だけ。
 そんな中、経済界から異議が出てきている。
 経団連の榊原定征会長が言っている。
 「見直しを検討したい」
 経団連は「プレミアムフライデー」の言い出し元。
 世耕弘成経済産業相も「産業界、消費者の声を聞き」と見直しの考えに。