中央政界特報

■平成29年9月7日(木) 第5323号

「政治特報」

 自民党の「プリンス」が動きだした。小泉進次郎筆頭副幹事長が、街頭に立ってのアピールを。安倍政権、自民党の足場固めに「進次郎パワー」は大きい。

 小泉氏が街頭に立ったのは茨城知事選の応援に。
 取手市、牛久市の2カ所で声を高くしている。
 訴えたのは世代交代。
「新しいリーダーを誕生させましょう」
 安倍晋三首相が「仕事人内閣」と強調している今回の内閣改造で、小泉氏は入閣しなかった。
 改造前には「間違いなく入閣するのでは」と言われていたのだが。
 「官房副長官ポストも含め、安倍首相は内閣の目玉にという考えでいたはず」(永田町筋)
 安倍首相自身、いまの小泉氏と同じ当選3回で小泉純一郎元首相に抜擢されて官房副長官に。その勢いで政権の座に。
 入閣しなかった小泉氏がまかされた仕事は筆頭副幹事長だが、そこには「幹事長室特命担当」という肩書もついている。
 「筆頭という意識はない。全力をつくすのみです」
 入閣はしなかったものの、確実に党内での出世階段を上がっているのは事実。
 2009年の衆院選で初当選。このとき28歳。
 いま36歳になっているが、パワーアップしている。
 これまで党青年局長、復興政務官、党農林部会長を。
 関東学院大学を卒業し、米コロンビア大学大学院に留学。
 そのまま米戦略国際問題研究所に勤務。
 ちなみに父親は慶応大学卒で、英国ロンドン大学に留学。
 父親の私設秘書を経ての国会議員。
 小泉元首相の「胆力」は永田町でいまでも語られている。
 その小泉首相を上回る「胆力がある」とまで言われている。
 これは小泉元首相も。
 「私より上だよ。私よりはるかにしっかりしている」
 小泉元首相は政府の役職(大蔵政務官)には初当選から7年かかっているが、進次郎氏は4年で復興政務官に。
 内閣を改造したことで、安倍内閣の支持率は上向いてきている。
 だが、昨年のいま頃にくらべると、はるかに低い。
 筆頭副幹事長として、二階俊博幹事長にかわって、テレビに出演することが多くなりそう。
 支持率を回復していくことができるか。
 小泉氏にとってもここは真価を問われる。

「第3次安倍第3次改造内閣・野田聖子総務相」

 3度目の大臣の野田聖子総務相。
 就任直後の記者会見で、それはもうキッパリと言い切っている。
 安倍晋三首相が3選を目指している来年の自民党総裁選に「必ず出ます」と。
 改造内閣で安倍首相は「お友達」の批判を避けるため、距離を置いてきた野田氏を総務相という重要閣僚で入閣させた。
 「ポスト安倍の動きを封じる意味もこめられている」(永田町筋)
 「ポスト安倍」の有力候補として名前があがっている岸田文雄前外相、石破茂元地方創生相、そして野田氏。
 3氏三様だ。岸田氏は「閣外に出て」のポスト安倍固めを。現に、地方をまわっての実績アピールに。
 野田氏は閣内に入ったことで「総裁選争いから一歩引くか」と思われていたが、まったくそうではなかった。
 これまでにも増して「首相」の座に強い意欲をみせている。
 93年の衆院選で初当選。戦後最年少で郵政相として入閣したのは37歳。
 このとき「歴史に名を残す大臣になる」と断言していた。小学校のときの作文には「総理大臣になる」と。
 改造内閣の「シンボル」として閣内に入ったことで、野田氏はいままた「女性初の首相になるのでは」としてクローズアップされている。
 前回、15年の総裁選では苦い思いをしている。
 出馬の手をあげたが、最終的に20人の推薦人を確保できずに断念。それもあと1人が足りなかった。
 民進党について「役目は終わっている」の見方。

「外交シーズン始まる」

 北海道・千歳基地の航空自衛隊特別航空輸送隊の動きがあわただしくなってきた。
 特別航空輸送隊が担っているのは政府専用機の運航。
 夏の間、翼を休めていたB747―440機が、また世界を飛びまわる。
 B747―400が導入されたのは1993年。2019年からは同じボーイング社の777―300ERと交替する。
 安倍晋三首相のスケジュールはよりハードになってきている。
 8月20日は日曜日だったにもかかわらず、東京渋谷区富ヶ谷の自宅には河野太郎外相、小野寺五典防衛相、秋葉剛男外務審議官らが入れ替わり立ち代わりに訪れている。
 秋風とともに外交に突入に。
 8月30日から9月1日まで英国のメイ首相が公賓として初めて来日。
 英国首相の来日は、昨年5月の伊勢志摩サミットに来日したキャメロン首相以来。
 安倍首相とメイ首相による首脳会談は今回で4回目に。
 内閣改造してすぐ、河野外相はフィリピン、米国に。小野寺防衛相も米国に飛んでいる。
 追いかけるように安倍首相は9月13日から15日にインドを訪問。モディ首相との首脳会談を。
 さらに9月中にはロシア極東のウラジオストックでプーチン大統領との首脳会談。
 9月下旬にはニューヨークでの国連総会に出席だ。
 内閣改造によって各世論調査で安倍内閣の支持率は上昇気配にはいっているが、5月までの段階にくらべるとまだまだ低い。
 外交でどう盛り返すことができるか。

「自民党5役・竹下亘総務会長」

 ロック歌手でタレントのDAIGOさん。
 大変な人気で、テレビに引っ張りだこ。
 いまほど売れていないとき、DAIGOさんが必ず口にしたのが竹下登元首相のこと。
 「ボクのおじいさん」と。
 竹下元首相の名前とともにDAIGOさんの認知度はあがり、最近では「ボクのおじいさん」と言うことは少なくなった。
 ところが、いま永田町で「DAIGOのおじさん」が話題になっている。
 DAIGOさんの名前を出し「DAIGOのおじさん」と切り出し、相手をなごませている竹下亘氏。
 内閣改造にあわせた自民党役員人事で「五役」のひとつ、総務会長に就任している。
 「DAIGOのおじさん」に間違いはない。
 竹下元首相の実弟。昭和21年11月3日、島根県生まれ。慶応大学経済学部を卒業し、NHKに。NHKでは報道記者、そしてキャスターを。
 その後兄登氏の秘書になり、平成12年に死去した兄の後を継ぐ「弔い合戦」に大勝して国会議員に。
 「DAIGOのおじさん」と切り出さなくても、選挙には滅法強い
 第2次安倍内閣では復興大臣を。
 この1年は、国対委員長として獅子奮迅だった。
 「TPP」(環太平洋経済連携協定)、「共謀罪」「カジノ解禁法」で手腕を発揮。
 野党にとっては手ごわい国対委員長だった。
 「竹下氏によって法案は成立した」(永田町筋)とまで言われている。
 そんな力量を安倍晋三首相は頼りにし、総務会長に。

「自民党五役・塩谷立選対委員長」

 安倍晋三首相は否定している。
 「そういったことは考えていない」
 巷間に流れている「解散、総選挙」について。
 たが、永田町では誰ひとりとして安倍首相の否定を信じていない。
 自民党二階俊博幹事長は「備えておけ」と解散ありの考え方。
 公明党山口那津男代表も「常在戦場」と党内を引き締めている。
 内閣改造によって支持率は上向いてきているとはいえ、安倍政権になってから、自民党はいま最大の危機的状況にある。
 そんな中で選対委員長をまかされている塩谷立氏。
 「すくなくても半年前までならともかく、いまここでの選対委員長は大変だ」
 党内から、そんな声が聞かれるほど。
 「安倍1強」「自民党1強」ではなくなってきており、解散となれば厳しい選挙になるのは避けられない。
 安倍首相の出身派閥である細田派に属している。
 改造内閣では細田派は大臣が4人から1人に減っている。
 塩谷氏にとっても、細田派にとっても、ここは踏ん張りどころ。
 1950年2月18日静岡県生まれ。慶応大学法学部卒業。米国アンバサダー大学に留学。
 麻生内閣では文部科学大臣を。
 当選8回だが、自身、選挙で苦渋を飲んだことがある。
 それだけに選挙の厳しさ、難しさはよくわかっている。
 公認問題も含め、「負けられない選挙」でいかに手腕を発揮するか。
 その真価が問われるときだ。

「自民党五役・岸田文雄政調会長」

 「長けりゃあいいというもんではない」とまで言われながら、安倍晋三首相の下で4年7カ月、外相を務めてきた岸田文雄氏。
 たっての願いを聞き入れてもらい、閣僚から外れ政調会長に。
 安倍首相は最後の最後まで、岸田氏の「外相留任」にこだわった。
 それぐらい岸田氏を信頼し、頼りに。
 「本当によくやっていただいた」と。
 閣外に出たのは政権の座への足場を固めるため。
 すぐさま動きに出ている。
 テレビにも積極的に出演。
 「私はハト派。安倍首相はタカ派」と安倍首相との違いを強調。
 選挙応援での街頭演説も。
 いずれも外相時代は世界を飛び回ることが多く、していなかったことだ。
 4年7カ月の外相としての実績に、就任時より3倍に増えた来日外国人観光客を上げている。
 安倍首相の任期は来年9月末。
 今年1月の党大会で自民党総裁の任期は3期9年への延長が決まっている。
 そこで注目されるのが来年の党総裁選。ここに名乗りをあげることが予想されているのは石破茂氏、野田聖子氏、そして岸田氏。
 閣内に入った野田氏は「必ず総裁選には出ます」と。
 昨年のいま頃と情勢は違ってきている。岸田氏が飛び出してきた。
 「ポスト安倍で岸田氏が本命になっている」(永田町筋)
 岸田氏の戦略は「禅譲」。安倍首相とは当選同期の桜だ。

「自民党五役・高村正彦副総裁」

 12年12月26日に政権の座に復活した安倍晋三首相。この4年8カ月、安倍晋三首相をしっかりと支えてきている高村正彦副総裁。
 自民党内にあって、副総裁というポストは「名誉職に近い」(永田町筋)
もので、実権を握っているのは幹事長。
 二階俊博幹事長が党内を仕切っている。
 だが、副総裁としての高村氏の存在感は絶対的だ。
 歴代の副総裁には大野伴睦氏、川島正次郎氏といった大物、重鎮が。
 いま高村氏はその大野氏、川島氏に並んでいる。
 安倍首相とおなじ山口来県の出身。同郷ということもあり、安倍首相は高村氏を絶対的に信頼している。
 安全保障法制、天皇陛下退位特例法。
 いずれも高村氏が党内をまとめている。
 「高村氏でなかったら、はたしてまとまったかどうか」(永田町筋)とまで言われているほど。
 安倍首相が高村氏から受けている援護は大きい。
 性格は恐ろしく短気。これは本人が言っている。
 「風呂は10分で上がる」
 若いときは「瞬間湯沸かし器」の異名をつけられていた。
 いまでも瞬間湯沸かし器ならではのところをのぞかせている。
 「気が短いことも確かだが、熱いといったほうがいい」(永田町筋)
 熱血漢なのだ。
 外務大臣、法務大臣、防衛大臣、経済企画庁長官などを歴任してきており、平成15年の総裁選には出馬している。
 少林寺拳法3段の腕前で、母校中大の監督を務めたこともある。無頼派だ。