中央政界特報

■平成29年8月10日(木) 第5319号

「政治特報」

 ここ8年で民進党は6人も党首がベンチに引っ込んだ。新代表選出で、はたして再生できるか、受け皿になれるか。

 蓮舫代表が誕生したのは昨年9月。そして辞任発表が今年7月27日。1年持たなかった。
 「遠心力に…」
 求心力を発揮できないままでの退陣を蓮舫代表はそう言っている。
 岡田克也前代表が退いたとき、蓮舫代表はバッサリと斬っていた。
 「そばにいて、こんなにつまらない男はいなかった」
 魅力がなかったと。
 だが、蓮舫代表は、いま岡田前代表を切った言葉のブーメランに。
 参院選では圧倒的な票を集めて当選したが、そこで魅力を使いはたしてしまったか。
 民進党が旧民主党で政権政党になったのは09年。
 国民の期待は大きかった。
 「新しい政治をしてくれるのでは」
 しかし、期待はわずか3年半で失望に変わってしまっている。
 政権を奪取し、また野党に転落してからの8年。
 めまぐるしい代表の入れ替わり。
 鳩山由紀夫氏、菅直人氏、野田佳彦氏、海江田万里氏、岡田克也氏、そして蓮舫氏。
 登板してはベンチに引っ込むことの繰り返し。
 この間、支持率は下がっていくばかり。
 各世論調査にそのことは表れている。
 「この8年で変わったことといえば、党名が民主党から民進党になったことだけではないか」(永田町筋)。
 この8年で変わったことはもうひとつある。
 「党のマスコットキャラクターが民主くんからミンシンにかわったこと」と揶揄されている。
 蓮舫代表の前に辞任を明らかにした野田佳彦幹事長はこんな恨み言を。
 「(蓮舫代表には)歯をくいしばってもまっとうしてほしかった。極めて残念だ」
 まだ、蓮舫代表に未練を残している。
 党内には「ここまで党を落としたのは野田幹事長の責任」といった声が強いのだが。
 代表選には民進党が再建できるかがかかっている。
 だが、同時に党が分裂する恐れもはらんでいる。
 それにも増して、国民の間に消えない「トラウマ」を払拭することができるか。
 新代表を決める代表選は8月21日告示、9月1日投票。

「夢を持ちつづける」

 7月31日、国会議事堂に小学生の声がはじけた。
 参議院本会議場に全国から150人の小学生が。
 国会は閉会しており夏休み。国会議員は地元選挙区に帰っており、セミの声ばかりだったが、この日の議場はにぎやかに。
 「子ども国会」が開かれ、安倍晋三首相も挨拶を。
 挨拶で安倍首相が強調したのは「夢」と「チャレンジ」の2点。
 「夢を持ち続けてください。夢に向かってチャレンジしてください」
 子どもたちはそれは熱心に安倍首相の話に耳を傾けていた。
 国会開会中のような野次もなく、安倍首相もご機嫌そのもの。
 夢だが、子どもたちは将来どんな職業に就きたいのか。
 つい1カ月ほど前にクラレが集計した調査によると、男の子の1位はスポーツ選手で以下、研究者、ゲームクリエーター、医師、教員、エンジニア、建築関係、スポーツ関係、公務員、大工・職人。
 女の子は1位が教員で、以下保育士、医師、看護師、動物園・遊園地、パティシェ・パン屋、薬剤師、獣医師、漫画家・イラストレーター、芸能人・モデルの順。
 男の子からも女の子からも「国会議員」はあがらなかった。
 「夢」と「チャレンジ」を説いた安倍首相のいま最も大きな夢は、今回の内閣改造が支持率盛り返しにつながること。
 第2次政権になってから今度で4回目の改造になる。
 その中で、最大の危機に直面しての改造だ。
 各世論調査では支持率は30パーセントを割り込んでいる。はたして改造が政権浮揚になるか。

「一人勝ち」

 立場は違うが、「政治家」「狙うは首相」という同じ舞台で競っている稲田朋美氏、蓮舫氏、小池百合子氏。
 いま3氏に明暗が。小池氏が一人勝ちになっている。
 7月27日、まったく同じ日に稲田氏と蓮舫氏が表舞台から退いた。
 稲田氏は防衛大臣の座を辞任。
 蓮舫氏は民進党代表の座を降りることを表明。
 昨年夏の内閣改造で防衛相のポストに就任した稲田氏は、失言に加え、南スーダン国連平和維持活動部隊の日報問題で追い詰められての辞任。
 蓮舫氏は東京都議選の惨敗、求心力の失墜からの辞任。
 稲田氏も蓮舫氏も「首相」が最大のターゲット。
 稲田氏は安倍晋三首相が後ろ盾ということもあり「最初の女性首相になるのでは」とまで言われていた。
 安倍首相がそれをしきりにプッシュしていた。
 蓮舫氏は旧民主党いらい、党として初の女性代表。
 「民進党政権」が実現すれば首相の椅子に。
 蓮舫氏自身が、強い意欲を燃やしていた。
 だが、ともに辞任。
 「まず首相狙いの芽は厳しいことになった」(永田町筋)
 稲田氏、蓮舫氏にひきかえ、さらにスポットライトを浴びている小池氏。
 昨年春に東京都知事に就任、今年7月2日の東京都議会選挙でも圧勝。
 「都民ファーストの会」は50人が立候補し、49人が当選というほぼパーフェクト。
 次なる目標、国政進出、そして自らの「首相」狙いに弾みがついている。
 「そういうことはございません」の言葉のはしはしに自信が。

「撮り鉄」

 民進党代表選に名乗りの前原誠司氏。
 「新しい社会像を実現したい」
 撮り鉄である。
 SLマニアには乗車して体感を味わう「乗り鉄」と、写真を撮る「撮り鉄」に大別されるが、前原氏は熱烈な撮り鉄。
 SL写真を撮りはじめたのは小学校のときからというからもう45年ほどになる。
 年季が入っている。愛里夫人との新婚旅行も「最後に走るSLがある」と北海道に。
 前原氏は「撮り鉄」として、自らに言っているのは「決定的なチャンスは一瞬しかない」だ。
 蓮舫代表の突如として辞任表明でめぐってきた代表選。
 前原氏にとっては「一瞬」のチャンスといえる。
 この決定的なチャンスをものにすることができるか。
 「仲間からはしっかりと応援されている」
 自信満々だ。
 昨年の代表選では蓮舫氏に敗れているだけに、なおのことリベンジの気持ちは強い。
 というより、絶対に負けられない戦いだ。
 「今回も敗れるというようなことになると、もう前原氏に代表の芽はなくなってしまう」(永田町筋)
 対する相手、枝野幸男氏は、前原氏の永遠のライバル。
 ともに1993年に初当選。以来、ことあるごとにライバルの火花を散らしてきている。
 前原氏は過去に一度、代表の椅子に座っている。2005年の代表選で菅直人氏を2票差で退けて。
 中学時代からアルバイトをして家計を助けてきている苦労人。
 撮り鉄の「一瞬」の強さを発揮できるか。

「仮面女子から」

 「民進党内にあって、徹底したリベラル派である枝野幸男氏。
 民進党代表選出馬にあたっても「リベラル」を強調している。
 安倍晋三首相が進めている改憲には反対。野党との共闘には前向き。
 「仕事をするには代表」と力が入っている。
 ガチガチのリベラル派ということで「偏りすぎるのでは」と思われがちだが、そうではない。
 なんと、アイドルグループ「仮面女子」のイベントにちょくちょく顔を出している。
 「AKB48」や「ももいろクローバーZ」にのめり込むのなら普通だが、「仮面女子」というところが枝野氏らしさ。
 「元気で一生懸命なのがいい。元気を与えてもらっています」
 仮面女子から「パワー」を得ている。
 そんなパワーを代表選にぶつけてくる決意。
 出馬表明は早かった。
 蓮舫代表が辞意表明をするや、間髪を入れずに「出ます」と発表。
 ここに代表の座をものにすることへの強い意欲が表れている。
 過去には一度も代表選には出ていない。消極的だった。このことで「火中の栗を拾おうとしない」といった批判まで。それが今回は意欲満々。
 東北大学を卒業。88年に司法試験に合格。
 国会議員になったのは93年の衆院選挙。日本新党から出て、初当選。
 その後、新党さきがけを経て民主党に。
 得意としている趣味はカラオケ。ノドには自信を持っている。
 中学、高校時代には合唱部に所属し、全国大会に出たことも。
 東日本大震災のときは、菅直人内閣の官房長官だった。

「安倍改造内閣・安倍晋三首相」

 12年12月26日に政権の座に復活してから、5年7カ月。
 佐藤栄作元首相、吉田茂元首相に次ぐ3番目の長期政権になっている。
 だが、いま政権をつづけられるかどうか、最大の危機に直面だ。
 そのことは各世論調査による支持率にハッキリと表われている。
 安倍政権が発足したときの支持率は60パーセント台に乗っていた。
 それが今や30パーセントを割り込んでしまっている。
 歴代政権を見ても30パーセントを下回ると同時に政権の座から転がり落ちている。
 橋本龍太郎政権の最後は25パーセント前後に、小渕恵三内閣の最後は30パーセント超だ。
 森喜朗内閣は10パーセントを下回ってしまった。
 第一次安倍内閣は1年しかもたずで、このときも30パーセントを切っていた。
 福田康夫元首相、麻生太郎元首相は20パーセント割れから退陣に。
 民主党政権では鳩山由紀夫元首相、菅直人元首相とも20パーセントを下回り、野田佳彦前首相がかろうじて20パーセントをわずかに上回ったが、選挙で大敗。
 民主党は3人の首相、3年半の政権で野党に転落している。
 安定した支持率を続けたのは小泉純一郎元首相だけ。
 内閣改造が安倍政権の息を吹き返すことになるか。
 かつて、佐藤元首相は「改造するごとに政権は弱くなる」と語っていた。
 安倍首相の前途は厳しい。改造が「吉」と出るか、それとも「凶」になるか。

「安倍改造内閣・麻生太郎副総理兼財務相」

 国会議員きってのセレブである。
 東京渋谷区神山町の私邸は敷地面積約2400平方メートル。
 地元福岡県飯塚市の実家は東京ドームがすっぽり入る広さ。
 身につけているものからもセレブであることが裏付けられている。
 スーツは学習院大学在学中から東京・青山の「テーラー森脇」で。
 酒はブランデー。ウヰスキーなら「マッカラン」。行きつけの店は帝国ホテルをはじめ都心の一流ホテルのバー。
 政権の座にあった09年は連夜のバー通いが批判されている。
 このとき「ホテルのバーはそんなに高くない」だった。
 手にしている煙草は紙巻ではなく葉巻。
 1940年生まれ。当選を重ねること12回。自民党の最長老。永田町のことならすべてを知りつくしている。
 だが、いまでも「枯れる」ということを知らない。その反対だ。ギラギラしたものを発散させている。
 7月20日、麻生派は山東派、谷垣グループから離れた佐藤グループを吸収。その勢力を59人に拡大している。
 これは自民党内にあって細田派につづく2番目の勢力。
 第2次安倍内閣が発足した12年12月から、副総理兼財務相のポストに。
 今回の改造でも、まっさきに留任が決まっている。
 自らの派閥のパワーを増したことで、永田町では「このさき、安倍首相に代わって、政権を担当する気持ちのあらわれ」といった見方までされている。