中央政界特報

■平成29年7月20日(木) 第5316号

「政治特報」

 東京都議選で惨敗した自民党。安倍晋三首相は内閣改造で「危機」を乗り越える構え。焦点は小泉進次郎氏が入閣するかどうか。

 まったくの惨敗だった。57議席で第1党だったのが、23議席に激減。
 小池百合子知事の「都民ファーストの会」に第1党の座を奪われてしまった。
 これを小泉氏はバッサリだ。
 「自民党自身がまいた種」
 安倍首相がこの危機を乗り越えるには、内閣改造しかない。
 ドイツでのG20(主要20カ国・地域首脳会議)、そのあとノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークの欧州各国訪問から帰国するや、改造内閣の人選に取りかかっている。
 「失敗はゆるされない。改造内閣で失敗したら、その時点で安倍内閣は終わってしまう」
 永田町ではそう言われている。
 「政権を奪回したときの、初心に戻る」
 12年12月26日に発足させた第2次安倍内閣は、谷垣禎一氏を法相に起用するなど、「重量内閣」を作った。
 「初心に戻る」ことで、今度も仕事のできるスペシャリストをズラリと並べることが予想される。
 その中で、一番の「目玉」は小泉氏。
 「支持率を回復させるには思い切った手にでること」(永田町筋)
 小泉純一郎元首相も一度支持率が40パーセントを割り込んだときがある。
 田中真紀子外相を閣外に出したときだ。
 このとき小泉首相が切ったカードは電撃的な北朝鮮訪問。
 いま安倍首相にある最後といっていいカードは改造。それも国民に強くアピールできる人事。
 小泉氏は現在、党農林部会長のポストにある。
 昨年秋の改造でも「入閣」の見方があった。
 このときは安倍内閣の支持率は高く、小泉氏も入閣には消極的だった。
 だが、いまは違う。安倍内閣の存亡すらかかっている。
 小泉氏は2009年の衆院選で初当選。以来、青年局長など党内の出世階段を駆け上がってきている。
 衆院当選3回。まだ35歳という若さだが、「ポスト安倍」にも名前があがっているほどの人気。
 「自民党のプリンス」を閣内に取り込むことができるか。
 党内には「要請されたら、入閣するのではないか。いまの自民党の危機を見過ごすことはしないはず」の見方があるのだが。

「最長記録は続く」

 佐藤栄作首相、吉田茂首相に次ぐ長期政権になっている安倍晋三首相。
 併せるように高村正彦副総裁も在任記録を更新していっている。
 高村氏が更新中の記録は副総裁としての連続在職で、今年1月29日に田中角栄、三木武夫政権下で副総裁だった椎名悦三郎氏に並び、以後独走態勢に。
 連続ではなく在職日数では岸信介、池田勇人総裁の下での大野伴睦氏(2142日)、池田、佐藤総裁の下での川島正次郎氏(1886日)がいるが、高村氏もすでに1700日を超えている。
 中央大学法学部を卒業し弁護士に。国会議員としては衆院当選12回。自民党の長老議員だ。趣味は少林寺拳法。
 外見は細い体だが、気骨は「骨太」。
 しかも恐ろしく気が短い。これは本人が言っている。
 「風呂は10分であがる」
 胸にあることは、ストレートに口に出してくる。
 加計学園問題で民進党、共産党、社民党、自由党の野党が安倍首相を激しく追及していることに対し「ゲスのかんぐり」と。
 安倍首相と同じ山口県出身で副総裁として、後ろから、そして側面から全面的にバックアップしている。
 14年には集団的自衛権の行使を認める憲法解釈変更をリード。
 自民党総裁任期延長もとりまとめている。
 副総裁に就任したのは第2次安倍政権発足と同時。
 副総裁は幹事長と違い実権はないが、党内のまとめ役として存在は大きい。
 自民党結党いらい、副総裁の椅子には11人が座っている。

「夕方はひっそりとは」

 国会議事堂、首相官邸のある永田町に隣接する霞ヶ関。
 日本を動かす中央官庁がズラリと軒を並べている。
 いま日本中から注目されている文部科学省は霞ヶ関の中央に。
 その霞ヶ関の人の流れが7月からやや変わった。
 「婚活」ではない。「終活」でもない。
 「夕方を活かす」が霞ヶ関で始まっている。
 政府の方針によって、国家公務員の勤務時間に変更が。
 朝型勤務への切り替えで、退庁時間が早くなっている。
 終業時間は1時間早くなって午後5時15分に。
 4時以降の会議は原則禁止。これによって早朝に人の流れが。
 7月1日から始められており、8月31日まで。
 「終業時間がはやくなったこと」を知らずに、霞ヶ関を訪れる企業、団体、地方自治体関係者などにはとまどいが。
 これだけではない。7月24日は、霞ヶ関の庁舎まで出勤せず自宅で仕事をする「テレワークデー」だ。
 もっとも実態のほうは完全に「夕方を活かす」にはなっていない。
 夜9時、10時をすぎても省庁によっては部屋の灯りは消えていない。
 外から見ても、これまでと同じような「煌々たる」建物が。
 今年の2月からは月末の金曜日の仕事を午後3時に切り上げる「プレミアムフライデー」がスタートしている。
 これは霞ヶ関の中央官庁だけでなく、民間企業も。
 だが、これまた意図する通りにはいっていない。低調のようだ。
 日本人の意識改革はまだまだ時間がかかりそう。

「小沢氏が1番」

 ここのところ影がかすみがちな自由党小沢一郎代表。
 永田町でその言動が話題になることが少ない。
 「静かそのもの」(永田町筋)
 テレビのバラエティー番組に出演といったように、違うところに顔が出ている。
 かつての小沢氏は、それこそ言動のすべてが話題になっていた。
 「剛腕」の異名をほしいままにし、自民党幹事長時代は自らが面接官となり「首相を決める」ことまで。
 自民党を飛び出してからも新党を旗揚げしては、つぶすという「クラッシュアンドビルド」の繰り返し。
 旧民主党(現民進党)に政権をもたらしてもいる。
 だが、小沢代表の現状は寂しい。
 自らが代表を務める自由党はミニ政党に。
 そんな小沢代表が話題の中心になった。
 7月3日、衆参両院から公開された国会議員の2016年分の所得報告書で。
 衆院議員468人、参院議員193人の合計661人の所得ランキング。
 平均所得は約2400万円。
 ちなみに所得が1億円を超えた議員は3人。
 小沢代表は約4400万円。
 この金額は各党党首の中でトップ。
 5年連続して1位の座に君臨ということに。
 2位は安倍晋三首相、3位は維新の会の片山虎之助氏。以下、公明党山口那津男氏、自由党山本太郎氏、日本のこころの中山恭子氏、共産党の志位和夫氏、民進党の蓮舫氏。
 小沢代表には理事を務める日大などからの報酬、顧問料が。

「首相を支える」

 自民党の派閥模様が変わった。
 麻生太郎副総理兼財務相が率いる麻生派が勢力を拡大し59人に。
 二階俊博幹事長の二階派も43人に膨張している。
 そんな中、「静かなること山のごとし」と静寂を保っているのは額賀福志郎元財務相が会長を務める額賀派。
 かつての額賀派はこうではなかった。
 派閥の起源は30年前に遡る。
 1987年7月4日、竹下登氏が田中角栄元首相の田中派(七日会)から、新派閥「竹下派」を旗揚げ。
 「経世会」として自民党の主役の座に。
 経世会の合言葉は「一致団結箱弁当」で、それはそれは固い結束を。
 この年の11月に竹下氏は首相に就任している。
 津島雄二氏のあとを額賀氏がひきついで会長に。
 月日は流れて30年。7月初めに都内のホテルで「派閥結成30年パーティー」を開いている。
 麻生派が勢力を拡大したことで額賀派これまでの細田派につぐ2番目の座から3番目に。
 細田派96人、麻生派59人、額賀派55人、岸田派46人、二階派43人、石破派19人、石原派14人、谷垣グループ20人に。
 派閥としての今後のスタンスについて、額賀氏は記念パーティーの挨拶で断言している。
 「これからも安倍政権を支えていく」
 主流派としてのポジションを堅持だ。
 額賀氏は、早大政経学部を卒業。国会議員になったのは橋本登美三郎氏の後継者として。防衛庁長官、財務相、党政調会長などを歴任。当選11回。

「G20の議長を」

 安倍晋三首相は12年12月26日に政権の座に復活してから、最大の危機に直面している。
 各世論調査の結果、支持率は激落だ。
 政権維持で「危険水域」とされる40パーセントを割り込んでしまっている。
 歴代首相も40パーセントを切ったところで一気に求心力を失い、政権の座から転がり落ちている。
 「1強」をほしいままにしていた安倍首相もその危機に。
 「まったく先は読めなくなってきた。内閣改造でどこまで盛り返すことができるか」(永田町筋)
 すくなくても5月の段階までは「1強」はびくともしなかった。
 3月の党大会では自民党総裁任期は3期9年に延長されている。
 安倍首相の長期政権への思いは強い。
 それも桂太郎首相をも上回る長期政権を。
 そしていま、さらにその気持ちを強くしている。
 今年のG20(主要20カ国・地域首脳会議)はドイツで開催された。
 このG20は19年には日本で行われることが決定している。
 人口で世界の約3分の2、GDP(国内総生産)で世界の5分の4余を占めるG20。
 10年には韓国ソウル、16年には中国杭州で開かれている。
 昨年、日本は三重県伊勢志摩で開かれたG7(主要先進7カ国)の議長国に。
 議長を務めた安倍首相は高揚していた。
 12回目にして初めての開催国に。
 それだけに19年のG20の議長にやる気満々。
 そのためには長期政権が欠かせない。

「5人目は」

 「都民ファースト」から「国民ファースト」へ。
 小池百合子東京都知事が国政への進出を着々と進めている。
 「そういうことはございません」
 そう否定しているが、その言葉のあとにこうも言っている。
 「いろいろな動きはでてくるかもしれません」
 国政進出への意欲ありありだ。それは行動に表われている。
 都議選で大勝するや、すぐさま「都民ファーストの会代表」を辞任している。
 「国政進出を考えての動きといえる」(永田町筋)
 「国政あり」をハッキリと口にしていたのは若狭勝衆院議員。
 若狭氏は小池氏に近く、同一歩調できている。
 7月3日に小池知事とともに自民党から離党届を受理され、まさに「都民ファースト」の参謀といったところ。
 小池知事が絶大な信頼を寄せている。
 その若狭氏は言い切っている。
 「年内にも国政への動きが出てくる」
 都民ファーストは都議会選で55議席獲得という大勝。
 だが、そのまま国政に進出できるわけではない。
 国政で新党を旗揚げするには5人の現職国会議員が必要。
 その顔ぶれも見えてきている。
 まず側近の若狭氏。そして民進党を離党した長島昭久衆院議員、日本維新の会を除名された渡辺喜美参院議員、無所属の松沢成文参院議員が永田町ではささやかれている。
 あと1人で政党設立の5人になる。
 5人目に誰が出てくるか。若狭氏によればすぐにも「決まる」感じになっている。