中央政界特報

■平成29年6月29日(木) 第5313号

「政治特報」

 安倍晋三首相の足元が揺らいでいる。合わせるように「ポスト安倍」の動き、発言が目立ってきている石破茂前地方創生相。「次は鳥取県の番」となるか。

 鳥取県が「星取県」に改名した。といっても観光政策の面でだが、平井知事は声を高くしている。
 「星取県になります」
 鳥取県は環境省が行った全国星空継続観察で全国1位に。
 県内のどの市町村からも「天の川」を見ることができる。流星も見やすい。
 いま鳥取県がなにかと注目され、話題になっている。
 一昨年、スターバックス・コーヒーが日本で最後、47番目にオープンしたのも鳥取県。このときは新聞、テレビで大々的に取り上げられた。
 鳥取県には強いものがある。その第一は鳥取砂丘。これは絶対的だ。ゲゲゲの鬼太郎の故郷、境港市は鳥取県。ここには中国からの「爆買いツアー」の大型船が接岸する。
 スイカ、梨、ラッキョウは鳥取県の名産。
 県民の間からは「鳥取県の時代到来」の声が。
 鳥取県といえば石破茂前地方創生相。
 「不滅」とまでいわれている安倍晋三首相だが、ここにきて足元が揺らいできている。
 各世論調査にそのことが。
 森友学園問題、加計学園問題、そして「共謀罪」の強行採決などで、支持率がダウン。
 5月頃まではびくともせず、50パーセント前後を堅持していたのが、減少傾向に。
 6月15日、国会内でひとつの勉強会が開かれた。
 野田毅前党税制調査会長が会長を務める自民党議員による「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」だ。
 出席したのは40人。いずれも安倍首相のアベノミクスに「異」を唱える顔。
 「1強」の安倍首相にこれまで反発するような会合、勉強会は開かれていない。それが、40人もが集まり「アベノミクス」に批判の声を。
 そしてだれよりも注目されたのは石破氏が顔を出したこと。
 野田聖子氏に誘われての参加だ。
 石破氏は言い切っている。
 「言うべきことは言う」と。
 安倍首相に真っ向から対峙する胸の内を明らかにしている。
 石破氏は鳥取県出身。
 山口県出身の安倍首相は自慢している。
 長州から8人の首相が誕生していることを。
 鳥取県からはまだ1人の首相もいない。石破氏の狙いは「次は鳥取県」だ。

「百合子写真集」

 俳優草刈正雄が60歳を過ぎて出した写真集が話題になっている。
 本人もすっかり舞い上がっており「次は裸の写真集を」と意気込んでいる。
 写真集は芸能人ばかりではない。
 政治家の写真集も売り出されており、これがまた話題に。
 小池百合子東京都知事の写真集だ。
 双葉社から出版された「YURIKO KOIKE」(本体2020円)で、帯には「私の全てはここから始まった」のサブタイトルが。
 カメラマンの鴨志田孝一氏が25年間にわたって撮りつづけてきた膨大な中から130枚をセレクトしている。
 ページをめくると「新人議員時代」「愛犬との撮り下ろし」「エプロン姿」「スポーツ」「カラオケ」「都知事誕生」「世界のTOKYO」などのコーナーに分かれており、46歳で子宮筋腫の手術で入院したときの病床の写真も。
 表紙はエジプトの遺跡、スフィンクスをバックにしたもの。
 小池知事は関西学院大を中退し、エジプトのカイロ大学に留学。
 ここで通訳のアルバイトを。小池知事の今日はここに始まっている。
 帰国後、フリーのアラビア語通訳をつとめ、これがきっかけでキャスターに。
 当初、5000部の初版刷りの予定だったが「百合子人気」で初版1万5000部という驚きの発売になっている。
 写真集では小泉純一郎元首相も出しており、この売り上げは20万部というベストセラーに。
 「YURIKO KOIKE」はどこまで売り上げを伸ばすか。

「議員連盟」

 高齢者の医療が大きな問題になっている。
 世界一の長寿国の日本。高齢者は増加の一途で、問題の深刻さはますます増してきている。
 高齢者の医療を地域で支える在宅医療の仕組みを考える議員連盟が6月15日に発足された。
 自民党の国会議員による議員連盟で、代表には田村憲久前厚生労働相が就任している。
 今後、積極的に在宅医療についての論議を進めていくという。
 ところで、国会内には議員連盟が目白押しだ。
 どれくらいあるか。ベテランの国会職員でも正解を答えるのは難しい。
 その内容も実に多岐にわたっている。
 いま最も活発に動いているのは「国際観光産業振興議員連盟」だ。
 自民党細田博之氏が会長を務めており、「日本にカジノを」と統合型リゾート施設(IR)に積極的。
 珍しいのは日本全国にある山車などを保護していこうという「山・鉾・屋台行事議員連盟」。
 「演歌・歌謡曲を応援する国会議員の会」もある。これには超党派の議員80人ほどが集まっている。
 昨年発足した議員連盟に「豆腐店をバックアップしよう」というものが。
 最近10年で5000店以上の豆腐店が廃業している。そこで「豆腐文化を守れ」と。
 鹿児島県南西沖に沈んでいる戦艦大和の引き揚げを目的にした議員連盟もある。
 国会内のトイレを掃除する「国会掃除に学ぶ会」も。
 議員連盟の活動が効果を発揮した事例は多い。
 富士山の世界遺産登録での議員連盟の動きは活発だった。

「静かに熟考の場」

 分単位で動いている内閣総理大臣。
 いったん官邸入りすると、つぎつぎに面会者が。
 びっしりと詰まったスケジュールに追いまくられている。
 中曽根康弘元首相は昼食を食べそびれたときのために、デスクの引き出しの中にバナナを入れていた。
 「いつでも食べられ、腹もちもしていいね」と。
 過密日程では、自分を取り戻すことも難しい。
 安倍晋三首相が最も「ゆったり」できるのは東京・渋谷区富ケ谷の自宅から、首相官邸までの自動車通勤のとき。
 首都高速に入るため、時間にして15分あまりだが。
 首都高速にはいるところで事故に一度あっているが、車内で癒しを。
 安倍首相が使用しているのはトヨタが誇る旗艦車センチュリー。
 エンジンV12、排気量は5000CC、全長5・27メートル、全幅1・89メートル。
 レクサスとともに内閣総理大臣の専用車だ。
 ちなみに米国大統領の専用車はキャデラック。
 それも普通のキャデラックとは違う特別装備がほどこされている。
 「ザ・ビースト」(野獣)と呼ばれ、装甲車のよう。
 ボディーには特殊鉄鋼、チタン、アルミなどの素材が組み合わされており、ロケット弾もはね飛ばす。
 安倍首相は昨年9月15日、東京・内神田の警視庁神田運転免許更新センターで運転免許の更新をしている。
 もっとも自ら運転することはない。
 いま、安倍首相は大きく揺さぶられている。内閣の支持率も減少傾向になっている。
 内閣総理大臣車の中で何を思っているか。

「秋に復帰か」

 6月16日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニの宴会場「鶴の間」に歓声が起こった。
 「鶴の間」で開かれたのは自民党の谷垣禎一前幹事長が率いる谷垣派(有隣会)のパーティー。
 参院の自民党、公明党、日本維新の会、日本のこころの各党に挨拶まわりをした安倍晋三首相もかけつけた中で、谷垣氏のメッセージが流された。
 「一日も早い復帰へ準備している」
 谷垣氏は昨年7月16日、東京都内で趣味のサイクリング中に転倒。そのまま入院に。
 当初は「軽傷。大事をとっての入院」と言われていたが、これがそうではなかった。
 「頸椎損傷」で、秋の内閣、党役員人事で幹事長の座から降りている。
 あれから11カ月、現状をメッセージでこう明らかにしている。
 「リハビリに専念している」
 「けがからの途上」としながらも、秋には復帰をにじませている。
 サイクリングは谷垣氏の一番の趣味。国内最大の自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」にも出場し、完走している。
 もっともサイクリングでの転倒は09年11月15日にも。このときは昨年の転倒のような大事にはならなかったが、周囲をヒヤリとさせたものだった。
 谷垣氏のリハビリ中に、谷垣派は分裂。
 麻生太郎副総理兼財務相の派閥「為公会」からの「大宏池会」構想が起こり、一部所属議員がそれに同調して派閥から脱会。
 「大宏池会構想」には谷垣氏は反対している。
 復帰の意欲は秋の人事をもにらんでいる。要職への就任を。

「アフリカと結びつきを」

 2019年の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)は横浜市で開催されることが閣議で決定。
 日本政府のアフリカ開発会議に期待するものは熱い。
 「アフリカとの連携をより強く」だ。
 「次世代の世界はアフリカが引っ張っていく」が世界の共通認識になっている。
 アフリカは資源の宝庫であり、人口も世界を圧倒することに。現在、アフリカは54カ国で、約11億人余の人口が。
 人口増加は急ピッチで、2050年には25億人になると予測されている。
 人口増に加えて経済成長も著しい。そして豊富な資源。
 天然ガス、石油をはじめ金、銀、銅、ウラン、プラチナ、スズ、亜鉛、石炭、クロムなどなど、アフリカ大陸の各国に埋蔵されている。
 増える人口、伸びる経済、地下資源の宝庫。
 これらによってGDPも驚異の伸張が見込まれている。
 2050年にはいまの7倍以上に。
 そこで、各国がアフリカに。
 米国、フランス、インド、中国、韓国、そして日本などなど。
 なかでも中国のアフリカ支援は突出している。
 そこで日本政府はアフリカ開発会議へ力が入っている。
 国連常任理事国入りを目指す上でもアフリカの力は欠かせない。
 日本政府、国連、アフリカ連合委員会などの共催で第1回が開かれたのは1993年。
 昨年、ケニアの首都ナイロビでの第6回会議では、日本の22企業・団体が180件ほどの覚書を締結し、84企業が展示会に展示をしている。

「解散が気になる」

 参院での共謀罪採決を最後に通常国会は6月18日で閉会している。
 国会は夏休みに。
 森友学園問題、加計学園問題で国会終盤は大混乱だった。
 今国会で成立した法案は63本。天皇陛下退位特例法、介護保険法改正などなどが。
 成立率は95・5パーセントと、14年の国会いらいの高い数字になっている。
 それでも成立をみなかった法案の中には政治分野男女共同参画推進法案といった重要法案も。
 夏休みにはいった国会だが、衆院議員には暑い夏になる。
 昨年暮れから今年春先に吹いていた「解散風」はおさまっている。
 とはいえ、まったく風がなくなってしまっているわけではない。
 「解散はすべて安倍首相の胸一つで決まる」(永田町筋)
 国会終盤にきての波乱で、安倍晋三内閣、それに「絶対的」と言われている「1強」に微妙なカゲリが見え始めている。
 「危険もあるが解散することで支持率をあげることができる」が永田町の定説だ。
 現在の衆院議員の任期は18年12月13日まで。
 「任期をまっとうすることはまずありえない」(永田町筋)
 解散が遅くなれば自民党のベテラン議員には厳しいことに。
 高齢議員は出馬しにくくなり、引退の道を選ばなければならないことにもなりかねない。ならば解散は早いほうが。
 いつまた吹きだすかしれない解散風。
 自民党議員の多くは当選2回以下の若手。夏休みは地元に張り付いての田の草取りに励むことに。