中央政界特報

■平成29年6月1日(木) 第5309号

「政治特報」

 「ポスト安倍」の動きが騒がしくなってきている。ここにきてその名前が浮上してきているのは丸川珠代五輪担当相。日本に女性の首相は誕生するか。

 永田町にはこんなささやきが。
 「安倍首相は丸川五輪担当相を首相候補に育てようとしている」
 安倍晋三首相は長期政権に強い意欲をあらわしている。
 来年9月の自民党総裁選で再選されれば、21年9月までの政権担当の可能性が開けてくる。
 現状は安倍首相の「1強」。
 次期政権狙いの岸田文雄外相に「もうしばらく待ってくれ」とまで。
 「待っていられない」とばかり、手をあげてきているのは石破茂前地方創生相。
 自民党内もあわただしくなってきている。
 麻生太郎副総理兼財務相が派閥勢力拡大に動き、二階俊博幹事長も派閥「師志会」の仲間を増やし、42人に。
 そんな中に丸川五輪担当相の名前が。
 五輪担当相に就任してからここまで、目立った動きはほとんど見られなかった。
 五輪会場施設問題でも小池百合子東京都知事の「都民ファースト」ばかりが話題に。
 5月16日、安倍首相は丸川五輪担当相に指示を。
 「東京都には関係なく、まとめるように」と。
 永田町に「首相候補に育てようとしている」のささやきが起きたのはそれから。
 「全国遊説をはじめている石破前地方創生相を牽制する意味も含まれている」(永田町筋)が、女性首相という考えがでてきていることも。
 これまでにも「女性首相論」が。
 田中真紀子元外相をはじめとして、小池百合子東京都知事、野田聖子衆院議員、稲田朋美防衛相らの名前があがってきている。
 現状はどうか。小池氏は自民党総裁選にも出馬するなど「その気満々」だったが、党内では孤立。
 野田氏は前回の総裁選では立候補に必要な25人の推薦者が集まらなかった。
 稲田防衛相は安倍首相が強く「プッシュ」しているが、防衛相のポストに就任してからは厳しい状況が続いている。
 丸川五輪担当相は1971年1月19日生まれ。
 東大経済学部を卒業し、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。
 「朝まで生テレビ」などを担当。15年から1年間、ニューヨーク支局に。
 議員バッジをつけたのは19年。安倍首相に口説かれての出馬。このとき東京選挙区で4位当選だったが、25年の選挙では100万票以上を獲得しトップ当選。
 20年6月16日に東京虎ノ門のホテルオークラで自民党大塚拓衆院議員と結婚。
 安倍首相は「結婚生活は私たちを見習ったらいい」とスピーチ。
 「永田町の恋」として話題になっている。

「中曽根父子」

 父親が元首相で息子が現職国会議員といえば、小泉純一郎元首相、小泉進次郎衆院議員の父子があげられるが、話題性、知名度では中曽根康弘元首相、中曽根弘文参院議員父子。
 5月15日、中曽根元首相は99歳の白寿を迎えた。誕生したのは1980年。大正2年。
 国会議事堂に近い東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急の宴会場「鳳凰」で祝う会が開かれた。
 200人を越す祝いの客が。安倍晋三首相も4時近くに「お祝い」にかけつけている。
 政権の座につくこと1806日という長期政権に。
 在任中に国鉄の民営化を断行している。
 白寿を迎えても、元気そのもの。
 5月3日に憲政記念会館で行われた「憲法改正」の会にも出席。
 白寿を祝う会では祝い客を前に、持論の「憲法改正」の思いを語っている。
 「新たな憲法のもとに、未来を切り開いていくべき」
 政権在任中は、それはもう健康には気を配ってきている。
 テニス、水泳、座禅に取り組み、机の引き出しには、昼食を食べそこねたときなどのために「バナナ」が。
 5月24日には共著「国民憲法制定への道」を文芸春秋から出版。
 文部大臣外務大臣を歴任している息子の中曽根弘文参院議員は、2020年東京五輪へ向け、6月の理事会で日本ホッケー協会の会長に就任。
 政界、財界に多くの人脈を持っており、それをフルに発揮することが期待されている。弘文氏は71歳。

「火花」

 「火花」といえば、又吉直樹氏が芥川賞を受賞した小説の「題名」。
 永田町で「火花」といえば丸川珠代五輪担当大臣と小池百合子東京都知事の関係が上げられている。
 両人の間でそれは激しい火花が散っている。
 「女の闘いは怖い」といったことまでいわれているほど。
 どれほどの「火花」か。お互いにバッサリと斬り合いを。
 丸川五輪相はこうだ。
 小池知事を「スタンドプレーはできるが、チームプレーはまったくできない」と。
 さらにたたみかけるように、
 小池知事が誕生したとき、「1、2年間、都政は停滞してしまう。時間も税金も無駄になる」
 一方、小池知事のほうも負けていない。
 「スカートをはいた五輪大臣がいるというのに」と国側の取り組み方を皮肉っている。
 丸川五輪相のことに触れるときは、いつもの「百合子スマイル」もぎこちなく、ひきつっている。
 丸川五輪相と小池知事ははじめからこんなに仲は悪くはなかった。
 その反対で「きわめて仲がよかった」(永田町筋)と言われている。
 年齢は小池知事のほうが上。1952年7月15日生まれ。丸川五輪担当相は1971年1月19日生まれ。
 国会議員になる前の仕事は同じだ。
 ともにテレビのキャスター出身。
 小池知事はかつて結婚したことがあるが、バツイチ。
 丸川五輪担当相は2008年に自民党大塚拓衆院議員と「永田町」の職場結婚をしている。

「TPPで話題に」

 石原伸晃氏がTPP担当相として、久しぶりに表舞台に。
 首相官邸で開かれる閣議。その前の写真撮影で石原氏は閣僚としてナンバー3の座に腰かけている。
 正面の真ん中は安倍晋三首相。ナンバー2の安倍首相の左隣には麻生太郎副総理兼財務相。
 そして安倍首相の右隣の席に石原氏が。
 当選回数、閣僚のキャリアなどで、石原氏は安倍内閣の表紙の一人だ。
 だが、これまでほとんどといっていいほど目立っていない。
 閣僚としての発言もなければ、動きもない。
 「ポスト安倍」がジワリと騒がしくなってきているが、これにも石原氏は話題にのぼっていない。
 そんな石原氏が大臣として、話題の舞台に。
 閣僚としての担当はTPP。
 5月21日、ベトナムのハノイで米国以外の11カ国によるTPP(環太平洋経済連携協定)の閣僚会合が開かれた。
 石原氏はこれにTPP担当相として出席。
 まったく久しぶりの表舞台とあって力が入っている。
 ハノイに入ったのは会合の2日前だ。
 会合のイニシアチブをとるように、「米国との橋渡しをまかせて」と。
 トランプ大統領によってTPPから離脱している米国をつなぎとめる役を買って出ている。
 石原氏の影がかすんだのは環境相時代の「最後は金目でしょ」の問題発言から。
 昨年春には小池百合子氏の東京都知事選出馬のゴタゴタから自民党東京都連会長の座も辞している。
 TPPで浮上してくることができるか。

「マニフェスト」

 民進党にとって「マニフェスト」(政権公約)と言う言葉は、心臓をえぐられるような響きがある。
 「トラウマになっているのでは」
 永田町ではそんな言われ方も。
 09年の衆院選挙で大勝し、政権の座をものにした民進党の前身、旧民主党。
 このとき、「一にマニフェスト、二、三にマニフェスト」だった。
 旧民主党の合言葉のように。
 だが、このマニフェストが結局は政権を手放すことにつながってしまった。
 「マニフェストという言葉は耳ざわりがよかったが、実行が伴ってこなかった」(永田町筋)
 野党に転落してからは、党内からは「マニフェスト」という言葉はまったく聞かれなくなっている。
 国会の場で、安倍晋三首相がしきりに口にしているのが「対案」。
 蓮舫代表との党首対決でも「民進党は対案がない。対案を出してください」と。
 ここで蓮舫代表は口ごもってしまう。
 安倍首相はこうも言っている。
 「口だけでなく、結果ですよ、政治は」
 対案がない。
 民進党の一番の弱みになっている。
 そんな中、民進党がマニフェストの素案をまとめてきた。
 前原誠司元外相が会長を務める党内の「尊厳ある生活保障総合調査会」がまとめあげたものだ。
 安倍首相の「アベノミクス」に対抗する経済戦略に力を入れている。
 安倍首相が放った「三本の矢」を否定している。
 「対案を出しては」という安倍首相に対抗ということに。

「総力戦」

 6月23日告示、7月2日投開票の東京都議選。
 日本の首都の選挙に、自民党は国政選挙に匹敵する総力戦の構えに入っている。
 「もはや、地方選とはいえない。それぐらい自民党は力を入れている」(永田町筋)
 東京都連にまかせていられないとばかりに、党本部が首を突っ込んできている。
 5月13日に都議選の総決起大会が開かれたが、会場となったのは永田町の党本部。
 安倍晋三首相はメッセージだったが、菅義偉官房長官は自らが出席。
 政権幹部が出席したのは異例のこと。
 菅官房長官のゲキがまた激しかった。
 「パフォーマンスで戦う相手に負けるわけにはいかない」
 小池百合子都知事のキャッフレーズになっている「ファースト」を皮肉り「ラストではないか」とも。
 都議選の選挙ポスターには安倍首相の上半身のアップが。
 「進める責任、東京を前へ」がキャッチコピー。
 公約として打ち出しているのは「築地市場の豊洲早期移転」だ。
 選挙戦略は小池知事を「決められない知事」として徹底して攻める。
 5月28日に知事に就任して300日の小池知事。
 2020年東京オリンピック、そして築地市場問題。
 小池知事は「私ほど決めている知事はいない」と反論しているが、もたつきが見えるのは事実。ここを自民党は集中攻撃。
 安倍首相も自ら重点候補の応援に入ることを明らかにしている。
 まさに国政選挙なみの総力戦態勢だ。

「千客万来」

 国会議事堂の隣にある首相官邸。
 旧官邸を取り壊し、2002年、小泉純一郎首相のときから使用されている。
 地上5階、地下1階。延べ床面積は2万5千平方メートル。旧官邸の2・5倍の広さだ。
 内部の地下1階は危機管理センター。職員が24時間態勢で危機に備えている。
 1階は官邸詰めの記者クラブと会見室。2階には大小のホールを配置。
 正面玄関は3階にあたる。
 安倍晋三首相、菅義偉官房長官、閣僚らが車で乗りつける。
 この正面玄関が大にぎわいになっている。
 外国からの要人がつぎつぎに。
 「千客万来とはこのこと」(永田町筋)
 安倍首相は外国に出かけることが多いが、訪れる外国要人はそれにもまして多い。
 連休明けをみても5月15日にモロッコのアブドゥルハキム・ベンシャマシュ上院議長。16日にはハリス米太平洋軍司令官。17日にはニュージーランドのイングリッシュ首相。18日にはエジプトのアブデルアール国家議長。
 そして19日にはアルゼンチンのマクリ大統領がやってきた。
 それこそ、ひきもきらずといった感じだ。
 イングリッシュ首相、マクリ大統領を迎えたときは、隣の首相公邸で安倍首相夫妻主催の歓迎夕食会を。
 イタリアのシチリア島で開かれるG7(主要先進国首脳会議)に出席のため羽田を飛び立ったが、往復の政府専用機の旅が、ひと息つける唯一の場所になっている。