中央政界特報

■平成29年5月25日(木) 第5308号

「政治特報」

 「憲法改正」を強調した安倍晋三首相。新憲法施行を2020年とも明言している。そこには2021年までの政権担当への自信が。

 5月9日、参院予算委員会で民進党蓮舫代表との32分間におよぶ対決。
 ここでも安倍首相は「憲法改正」を断言。
 それも第9条改正の優先に言及している。
 「私達の世代の責任おいて」と。
 自民党内にも安倍首相の発言には批判の声があがっている。
 「このことは党内でも一度も話し合われたことはない」と石破茂前地方創生相。
 だが、安倍首相は強気。
 2020年を施行の年と定めたことについて、「東京オリンピック、パラリンピックがあり、日本の新しいスタートの年にあたる」と。
 安倍首相が「憲法改正」に言及してきたことに、永田町では長期政権へ向けてのギアを踏み込んだとの見方が強い。
 「憲法改正。それも自衛隊の存在を明記することを言い切っている。これこそ長期政権への自信からくるものだ」
 蓮舫代表には痛烈なひと言も浴びせている。
 「蓮舫さん」とあえて名前を出し「政治家は立派なことを言うだけではなく、結果を出さなくては」
 自民党総裁の任期が2期6年から3期9年に延長されることは1月の党大会で正式に決定している。
 安倍首相の長期政権の道が開けてきた。
 だが、「長期政権」が確定したわけではない。
 乗り越えていかなくてはならない山はある。
 今後の主な政治日程は18年9月に自民党総裁選、同年12月で衆院議員の任期切れ。19年夏には参院選。
 「まず最初の山は総裁選だが、再選間違いなしの確信を持っている。そうでなかったら、断言はできないはず」(永田町筋)
 石破茂前地方創生相が来年秋の総裁選への出馬の意欲を明らかに。
 それでも、再選されれば任期は2021年まで。東京オリンピック・パラリンピックの翌年までに。
 戦後の最長の総理大臣になる。
 現在、最長の佐藤栄作首相の2798日、2番手吉田茂首相の2616日を一気に抜き去ってしまう。
 そればかりではない。明治から大正にかけ通算2886日も政権の座にいた桂太郎首相の在任日数をも越えてしまう。

「当然と主張」

 自民党小泉進次郎農林部会長が言い切っている。
 安倍晋三首相が「憲法改正」を明らかにしていることに。
 野党からは安倍首相に激しいブーイングが。
 自民党内からも批判が。
 そんな中、小泉氏はズバリ、言い切っている。
 「明文化するのは当然のこと。私の地元、横須賀からも護衛艦いずもが出港している。いま国際関係は非常に緊迫している」
 安倍首相が自衛隊の存在を9条改正にもってくることを明らかにしていることについても、
 「自衛隊は国民に信頼されている」と。
 自民党内にもある憲法改正に批判的な声。それを承知で小泉氏は「当然のこと」と。
 小泉氏が国会議員のバッジをつけたのは09年の衆院選挙。
 このときから思い切った発言をしている。
 初当選したときには「自分には親の存在が大きくものを言っていたのは確か。人は親の7光りと言っているが、そんなものではない。自分の場合は14光りです」
 当選後、「自民党のプリンス」としてトントン拍子に出世階段をかけあがってきている。
 すでに当選3回。長老議員の公認をめぐっては、公認に反対の言を。
「君もいずれは老人になる」とたしなめられたこともあるが、「私はそこまではやらない」と自説を通してきている。
 父親の小泉純一郎元首相は「俺より上だな」とまで。
 「当然と」発言したときは、さすがにその顔は紅潮していた。
 それでも、一言、一言、自身に言い聞かせるようにハッキリと。

「待ったなし」

 民進党蓮舫代表にとって「待ったなし」の勝負の時が迫ってきている。
 東京都議選だ。7月2日投開票の都議選の結果によっては「一気に退陣に追い込まれる」(永田町筋)ということにもなりかねない。
 蓮舫代表の強みは攻撃力。
 論争で相手を徹底して追い詰めていく。
 「リアル蓮舫」とまで言われ、鬼の形相で。
 「待ったなし」の時が迫ってきているのに、攻撃力にカゲリが。
 5月9日の参院予算委員会。安倍晋三首相と真正面から対峙したが、攻撃は空回りだった。
 安倍首相にかわされ、いなされてしまっていた。
 「具体的な提案を出さなくては」
 さらに「政治家は結果を出さなくては」と。
 傍聴席の判定は「安倍首相の優勢」に。
 リアル蓮舫はどうしてしまったのか。
 森友問題には触れずじまいで、憲法改正で押しまくろうとしていたが、反撃を浴びてしまうとは。
 安倍首相に「外形ばかりではなく、内容を問題にしてもらいたい」とまで。
 攻めまくっているときの蓮舫代表は迫力があるが、守勢にまわると弱い。
 これはこれまでの代表質問でも明らか。
 東京都議選。民進党の都議がつぎつぎに離党していっている。
 「民進党の看板では戦えない」
 そんな声が。
 すでに14人が離党。そのなかには小池百合子知事の「都民ファーストの会」に走った者も多い。
 東京は蓮舫代表の地盤。
 ここで踏ん張らないと、それこそ「蓮舫おろし」に。
 「待ったなし」だ。

「100人中の1人」

 都庁担当記者との定例記者会見。
 担当記者を前に、小池百合子都知事は得意げにこういったものだ。
 「ちょっと自慢させてもらおうかしら」
 小池知事の手には米国のタイム誌が。
 タイム誌の恒例の企画に「世界で最も影響力のある100人」というのがある。
 人気企画で、世界の著名人の中から影響力のある100人をピックアップしている。
 それに小池知事が選ばれた。
 日本人としてただ1人。習近平中国国家主席、米国のドナルト・トランプ大統領、ロシアのプーチン大統領は選ばれているが、安倍晋三首相は入っていない。
 まさに小池知事が日本を代表するように。
 東京都知事の椅子に座ってから1年になる。
 この1年、小池知事はブームを巻き起こしてきている。
 だが、ここにきて逆風が吹きだしているのも事実。
 築地市場の豊洲移転問題。それに2020年東京オリンピック・パラリンピックの問題。
 5月9日、東京都内で行われた9都県市首脳会議で、小池知事は各県知事から厳しい集中砲火を浴びた。
 とくに東京オリンピックの会場になる神奈川県黒岩祐治知事、千葉県森田健作知事、埼玉県上田清司知事からは怒りの声をぶつけられている。
 仮説施設に対する費用分担で。
 永田町からはこんな声も聞かれだしている。
 「ピークはもうすぎたな」
 7月の都議選でも「百合子スマイル」をふりまくことができるか。

「和食をもっと世界に」

 増加の一途の来日外国人観光客。
 この勢いでいくと東京オリンピック・パラリンピックの2020年には4000万人の外国人の来日も期待できる。
 来日外国人観光客の「お目当て」のひとつは日本料理。
 寿司、すきやき、天ぷら、懐石料理。
 さらにはおでん、そばなどのソウルフードまで。
 和食に感嘆の声を上げた首脳も。
 米国オバマ前大統領は国賓として来日したとき、安倍晋三首相から「すし」で「おもてなし」を受けている。
 東京・銀座の「すきやばし次郎」で。
 食したのはおまかせコース。こはだ、トロなどを口にし、「素晴らしい」と感激。
 プロ野球選手にも寿司大好き人間がいる。
 日本ハムのレアード内野手で、ホームランを打つと、寿司を握るポーズを。
 最大の念願だった「すきやばし次郎」でも食している。
 予約がとれずやっとの思いで。
 和食は世界でも認められ、世界遺産にも登録だ。
 「和食をもっともっと世界にひろめてもらいたい」の要請があった。
 5月10日、東京都内で国連食糧農業機関(FAO)のジョゼ・グラジアノ・ダシルバ事務局長が講演。
 「日本食を世界に」と訴えている。
 いま世界で大きな課題となっているのは飢餓、そして肥満だ。
 この問題をどう解決していくか。
 そこで健康食としても評価の高い和食を世界に広めていくことを、ダシルバ事務局長は説いている。

「異議あり」

 2020年東京オリンピック、パラリンピックの年に憲法改正を施行する考えを明らかにした安倍晋三首相。
 野党からは激しい「反対」の声が。
 「首相のための憲法改正には絶対反対」は民進党蓮舫代表。
 共産党志位和夫委員長は「変える必要はない」と。
 「安倍政治を終わらせる」は社民党吉田忠智党首。
 自民党と連立を組む公明党山口那津男代表は「もっと議論を深めていかなくては」と慎重論を。
 反対の声は自民党内からも起きている。
 「党内で議論されてもいない」と石破茂前地方創生相。
 そんな声が飛び交う中、注目されているのは岸田文雄外相の「反対」発言。
 「今、早急に改正しようという気持ちはない」と真正面から安倍首相に「異」を唱えている。
 12年12月26日に安倍政権が発足して以来、ずっと外相のポストをまかされている。
 安倍首相の信頼は厚く、岸田外相も安倍首相にさからうような言動はいっさいしていない。
 石破氏とともに「ポスト安倍」に最も近い位置にある岸田外相の政権の座狙いの戦略は石破氏とは違う。
 安倍首相からの禅譲を目指している。安倍首相も「禅譲」をにおわしている。
 4月19日、東京芝公園の東京プリンスホテル大宴会場「鳳凰の間」で開かれた岸田派のパーティーで、岸田外相に向かって「いましばらく我慢してほしい」と。
 憲法改正で「反対」の声をあげたことで、禅譲ばかりでなく力でも「ポスト安倍」狙いを。

「声は届くか」

 社民党はゴールデンウィーク明けの5月8日から新しい党本部でスタートを切っている。
 新本部といっても、なんとも寂しい。
 国会議事堂から離れてしまった東京都中央区湊3丁目。
 旧社会党時代の党本部は国会議事堂のすぐそば、三宅坂にあった社会文化会館。
 大きさは自民党本部と張りあっていた。地上7階、地下1階で総面積は7022平方メートル。
 自民党本部は地上7階、地下3階、総面積14604平方メートル。
 だが、社会文化会館は老朽化のため取り壊しで2013年に引っ越しを。
 引っ越したのは千代田区永田町の貸しビル。社会文化会館とはくらべようにならないほど手狭になったが、それでも国会議事堂には近かった。
 そして、再度となった引っ越したビルは一度目の引っ越し先の半分の広さしかない。
 賃料は約3分の1になったとはいえ、なんとも寂しい党本部に。
 社会文化会館のときは、委員長室だけで50平方メートルの広さがあった。
 すべて選挙での敗戦続きによるもの。選挙のたびに議席を減らしていくばかり。
 安倍晋三首相は2020年に、改正憲法の施行をめざしている。
 これに吉田忠智党首は「安倍政権を終わらせる」の声を。
 その吉田党首も昨年の参院選で議席を失っている。
 党勢の衰退で政党交付金も目減り一方だ。
 各世論調査の結果では支持率は1パーセントそこそこ。党勢の衰退に加え、党本部は国会から遠くなった。社民党の声は国会に届くか。