中央政界特報

■平成29年5月18日(木) 第5307号

「政治特報」

 自民党二階俊博幹事長の存在感がますます増している。安倍晋三首相に唯ひとり物申す「ご意見番」だ。

 4月25日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニの大宴会場「鶴の間」は人、人であふれかえった。
 5000人超で、入りきれない人まで。
 二階幹事長が率いる二階派(志師会)による政治資金集めのパーティーはまさに盛大だった。
 午後5時過ぎからの「経済財政諮問会議」が終わるや、安倍首相はかけつけて挨拶。
 「志師会あっての安倍内閣です」
 国会でも、自民党にあっても「1強」の安倍首相。
 とりわけ自民党内は安倍首相の前に声も出ていない。
 そんな中にあって、二階幹事長だけが声をあげている。
 安倍首相が森友学園問題で野党の厳しい追及を受け「関係していれば首相も国会議員も辞める」と発言したことには「軽々に言うべきでない」と。
 ロシア、プーチン大統領と安倍首相の首脳会談は「なんの成果もなかった。がっかり」とバッサリ切って捨てている。
 かと思うと、米トランプ大統領との「日米首脳会談は「大成功だった」と。
 叱る一方で褒める。二階幹事長ならではのもの。安倍首相の「ご意見番」そのものだ。
 憲法改正70年の節目に、安倍首相は改憲にさらに踏み込んだ発言を。これに対して二階幹事長は「大いに結構だ。積極的に協力する」と言い切っている。
「安倍首相は誰よりも二階幹事長に気を使っている。二階派のパーティーでの発言がそのすべてを物語っている」(永田町筋)
 幹事長のポストに就いたのは昨年9月。半年が過ぎたばかりのところだが、自民党内は「二階イズム」が浸透しきっている。
 幹事長としてまず手をつけたのが自民党総裁の任期延長。
 2期6年を3期9年に引き延ばしてきた。
 これによって安倍首相には2021年9月までの長期政権の道が開けてきている。
 二階幹事長は党内の「ポスト安倍」の動きも封じてしまっている。
 「安倍の次は安倍。なんら躊躇することはない」
 二階派は新たに吉川貴盛元農林水産副大臣を仲間に加え、勢力は42人にふくれてきている。
 1939年2月17日生まれ。78歳。
 この年齢をまったく問題にしていない。
 「年齢なんか関係ない」と。

「大勲位の叫び」

 1918年5月27日生まれ。99歳になる。来年には100歳に。
 長寿日本をまさに象徴している中曽根康弘元首相。
 5月1日、中曽根元首相の姿は国会議事堂のすぐ隣り、東京・永田町の憲政記念館に見られた。
 今年は日本国憲法が制定され70年になる。
 憲政記念館で開かれた「新しい憲法を制定する推進大会」に中曽根元首相は出席。
 安倍晋三首相に続き、現職の国会議員と元議員とで構成されている新憲法制定議員同盟の会長として、声を高くしている。
 3日の憲法記念日。安倍首相は憲法改正をアピールする集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法を施行する年にしたい」と。
 中曽根元首相は安倍首相を全面バックアップだ。
 杖をついてはいたが、しっかりとした足取りで演壇に向かい、
 「いまの憲法は日本に豊さをもたらした。だが、時代とともにさまざまな問題に直面している。日本の新たな未来を開いていかなくてはならない」
 憲法改正の必要さを改めて強調。
 東京帝国大学卒業後、内務省に。海軍主計中尉を経て、終戦のときは海軍少佐。
 1982年から87年11月まで、日数にして1806日、総理大臣として政権を担当。
 国鉄、電電公社の民営化を。
 議員退陣後は「昭和の妖怪」の異名をほしいままにするご意見番役を。
 90歳の卒寿のときにはこんな句を。
 「長旅も卒寿も新茶も夢の中」
 卒寿になっても「現役議員のように夢の中でさまよっている」と。

「地元で田の草取り」

 今年のゴールデンウィーク。
 世界中が緊張状態にあることで「渡航を控える」人も多くいたが、それでも海外に出かけたのは59万5000人余。
 羽田、成田、関空などの空港はごったがえした。
 連休中の渡航といえば、国会議員。
 夏休みとともにゴールデンウィークには毎年、国会議員の外遊が集中する。
 渡航費は税金でまかなわれることもあり、批判の的にもなっている。
 今年の連休は国会議員の外遊は少なかった。
 連休中の永田町はひっそりと静まりかえっていたが、議員が外遊したためではない。
 地元の選挙区に帰ってしまっていたためだ。
 「緩み」がみられる若手議員に自民党二階俊博幹事長は「足止め」を。
 「外国に行くより、選挙区に戻って、自分の足場をしっかりと固めよ」
 この「禁足令」に反発の声も。
 小泉進次郎自民党農林部会長もその一人。
 「子供ではあるまいし、議員個人の責任の問題」
 結局、連休中の外遊議員は130人余に。
 もっとも閣僚の渡航は多かった。
 安倍首相はロシア、英国に。岸田文雄外相は米国、オーストリア。麻生太郎副総理兼財務相はブラジルにと、20人の閣僚のうち11人が外国に。
 若手議員だが「禁足令」が出なくても、外遊どころでなかったのは事実。いつ解散があるかもしれない。
 自民党の若手は安倍首相人気で当選してきている「安倍チルドレン」がほとんど。選挙地盤が弱いことで共通している。田の草取りをし、票のつなぎとめに懸命だった。

「おやじは凄い」

 「おやじは凄い」
 そう感嘆の声をあげている自民党小泉進次郎農林部会長。
 政権を担当すること5年半。
 在任中は「自民党をぶっ壊してでも」と郵政民営化を断行。
 そして国会議員のバッジを外してからは、「原発ゼロ」をライフワークとして日本全国を講演で飛び回っている。
 その一方、4月28日夜には東京・赤坂の料亭「津やま」で山崎拓元自民党副総裁、武部勤元幹事長、二階俊博幹事長、小池百合子東京都知事と会食。
 政権の座を退いた直後こそひっそりと「鳴りをひそめて」いたが、いまは活発な動きを。
 とくに「脱原発」に力が入っており、安倍晋三首相を厳しく批判している。
 「大ウソをついている」
 小泉農林部会長が感嘆の声を発しているのは、こうした永田町がらみの父親に対してではない。
 プライベートの父親に対して。
 なんと、つい最近、小泉元首相は60代の女性との映画デートを激写されている。
 小泉元首相は離婚しており、バツイチだ。
 いらい、独身を通してきている。
 政権担当時はファーストレディーが不在で、ちょっぴり寂しい顔をしていたものだ。
 それが75歳になったいま、デートを激写されるとは。
 「おやじはカッコいいですよね。75にもなってデート場面を写真に撮られるんだから」
 小泉家は小泉元首相、長男の俳優孝太郎氏、そして進次郎氏もみんな独身。この中で父親がホットな話題を提供だ。

「復党」

 二階俊博幹事長になってから、自民党に復党者が続いている。
 5月1日には山東昭子氏が委員長を務める党紀委員会は与謝野馨氏の復党を発表。
 7年ぶりに自民党に復党してきた。
 官房長官、財務相など要職を重ねていた与謝野氏が自民党を離れたのは平成22年4月3日。
 時の谷垣禎一総裁に離党届を提出。
 谷垣総裁が用意したうなぎ付きの幕の内弁当に手を出さずに総裁室を出ていっている。
 離党の理由は「党運営への不満」。
 「新しい政治を進めなくては、自民党に明日はない」と。
 理由などから、「もう完全に与謝野氏は自民党とは関係のない人間になった」(永田町筋)と言われたものだ。
 実際、離党した後の与謝野氏は平沼赳夫氏、園田博之氏らと新党を旗揚げ、さらには旧民主党にも。
 それが7年たち野中広務元幹事長らに続いて復党だ。
 復党を認めたことを山東委員長は「自民党を積極的に応援してくれた」と。
 永田町の見方はこうだ。
「自民党としては7月の東京都議選をにらみ、支持者を拡大したいという考えがあってのこと。与謝野氏の人脈に期待している」
 与謝野氏は2006年10月に東京・築地の国立ガンセンター中央病院で咽頭ガンの手術をしている。13時間におよぶ大手術だった。
 3カ月間入院。それから1年おかずして第一次安倍内閣の官房長官に就任している。
 党への貢献は山東委員長が言うように高い。

「ドラゴンスリーパー」

 国会という「闘いのマット」でも、世論という「国民のマット」でも民進党は元気がない。
 国会では森友問題をはじめとした追及も、安倍晋三首相にかわされてしまっている。
 そして、各世論調査では支持率が伸び悩み。
 10パーセントを大きく下回り、共産党に支持率で追い抜かれそう。
 この現実に顔色を失ってきている野田佳彦幹事長。
 自らが領袖の派閥「花斉会」の幹部で、側近の蓮舫氏を代表に就任させているが情況は極めて厳しい。
 しかも、党内には旧民主党を野党に転落させた野田幹事長への不満の声は依然として強い。
 「責任もとらずに、幹事長はないだろう」
 7月には東京都議選がある。
 さらには、安倍晋三首相が突然「解散、総選挙」にくるかもしれない。
 「このさき、党勢を復活できないでいると、蓮舫代表、野田幹事長の立場は危くなる」(永田町筋)
 挽回の策、手はあるのか。野田幹事長はその策をプロレスに。
 4月30日、千葉市の幕張メッセで行われた「ニコニコ超会議」で、野田幹事長はプロレスラー藤波辰爾氏と対談。
 野田幹事長は国会議員の中で一番のプロレスファン。
 船橋高校時代は柔道で鳴らし、2段の実力。プロレスラーでは故ジャンボ鶴田氏の大ファンだった。
 自ら「ドスンパンチでは負けない」と。
 藤波氏からは必殺技ドラゴンスリーパーを教わっている。
 「受けて立て」と、安倍首相に。 

「過半数が現実のものに」

 自民党が恐れていたことが現実のものになりそう。
 4月18日夜、東京・赤坂の料亭「津やま」で「まったくの偶然」(小泉純一郎元首相)で顔を合わせた安倍晋三首相と小池百合子東京都知事。
 このとき安倍首相は小池知事に「お手やわらかに」のひとことを。
 何に対してお手やわらかにか。
 その言葉の先には6月23日告示、7月12日投開票の東京都議会選が。
 「総理がごあいさつにこられました」
 小池知事は、笑って後は語らず。
 それでも同席した二階俊博自民党幹事長から「都議選が終わってからの協力態勢の話をいただきました」と会談の中身をチラリと。
 余裕だ。この余裕は、やはり強気に裏打ちされたもの。
 都議選へ向けての小池知事が率いる「都民ファーストの会」の公認候補擁立は着々と、しかも自民党を圧倒する勢いで進んでいる。
 料亭「津やま」で安倍首相は「お手やわらかに」と言ったが、小池知事はまったく手加減なし。
 「お手やわらかに」の正反対。
 告示まであと1カ月余の時点で、擁立する公認候補と推薦候補は60人を越すのは確実に。
 当初、「候補は多くても40人前後ではないか」といった見方がされていたが、それをはるかに上回る候補者の擁立だ。
 東京都議会の定数は127議席。
 協力関係を築いた公明党の公認候補を合わせると、一気に過半数獲得は難しいことではなくなってくる。
 小池知事の選挙応援は公明党から入っている。