中央政界特報

■平成29年3月30日(木) 第5300号

「政治特報」

 民主党内がまた揺れだした。昨年、合流したばかりの旧維新の党出身グループが仲間割れ。蓮舫代表、野田佳彦幹事長に新たな難問が。

 民主党時代のマスコット「民主くん」に代わる新しいゆるキャラ「ミンシン」が愛嬌を振りまいた3月12日の党大会。
 蓮舫代表は「政治生命を賭けて政権を取る」とこぶしをふりあげていた。
 それから4日後の16日、旧維新の党出身国会議員が分裂。
 2つに割れ、松野頼久元官房長官が新グループを結成。12人が同調している。
 残った13人は江田憲司代表代行を頭にしたグループでまとまっている。
 旧維新の党出身者が民進党の前身、民主党に加わった時点で「分裂は時間の問題」と見られていた。
 松野氏と江田氏の政治姿勢が相反するもので、昨年秋の党代表選では松野氏は前原誠司元代表を支持し、江田氏は蓮舫氏を全面的に支援。
 これで両者の対立は決定的に。
 2つに割れるまでの半年間、一度も全員が集まっての会合を開いたことがなかった。
 それが分裂後は、松野グループ、江田グループはそれぞれ会合を開き、グループの結束をはかっていくという。
 民進党は派閥の集合体だ。
 民主党として発足したのは1996年。
 その後、合体をくりかえしてきている。
 これによって党内にはつぎつぎに派閥が。その結果、政策の違いが。
 「それぞれの派閥が自分のスタンスを変えようとしない。党が一丸となるのがきわめて難しい党になっている」(永田町筋)
 代表選で支援しなかったことからも明らかなように、松野氏のグループは蓮舫代表との間にこれまで以上に距離を置くことになるのは確か。
 これは蓮舫代表にとって厳しいものに。一段と足元が揺らいでくる。
 それでなくても、代表に就任して半年たったいま、蓮舫代表は瀬戸際に追い詰められたまま。
 党内が「一致団結」できないことは、目指していた原発の「2030年ゼロ」に踏み込めなかったことが証明している。
 党大会は支持率伸び悩みをあらわすように、「ガンバロー」の雄叫びもいまひとつ弱々しかった。
 7月の都議選に出馬予定者の欠席が目についていた。
 そんな中での旧維新の党議員の分裂。
 蓮舫代表は笑っても、その笑いはこわばっている。
 支える野田幹事長の表情も厳しい。

「結党以来初」

 「共産党は変わる。党名を変えてもいい」
 昨年の正月、ニュー共産党を目指していることを明らかにし、永田町に衝撃を起こした志位和夫委員長。
 そんな中、志位委員長が国連総会に出席。
 3月22日から4月1日までニューヨークを訪れ、国連本部での「核兵器禁止条約」制定交渉の会議に。
 志位委員長自身が言っているように、まさに「歴史的」だ。
 共産党が結党されたのは1922年。今年で結党96年目。
 この間、山あり谷あり。そのことは衆院選、参院選での比例区得票数に如実に現れている。
 98年の参院選での得票数は約800万票。これがピークで、10年の参院選では約350万票までに減少してしまった。
 昨年の参院選では約600万票まで盛り返し、このとき比例区で42人が立候補し、5人が当選している。
 次期衆院選挙ではピークだった98年を上回る850万票獲得を目標にしている。
 志位委員長体制になったのは2000年。35歳で党書記局長になり、93年の衆院選で初当選。
 酒はウォッカが好きで、冷凍庫に入れてキーンと冷やしてから飲んでいる。
 昨年から党は大きく変わろうとしている。
 党名の変更を本気に。党内に党名委員会まで発足の動きも。
 そして選挙は「野党共闘」を前面に打ち出しており、候補者調整の主導権を。
 党名変更には永田町では「本当に変えてきたら自民党にはえらい脅威」の声も。
 泣き所は党員の高齢化だが、目が離せない。

「凄腕幹事長が本気に」

 自民党二階俊博幹事長の低い声に怒気が。
 「さらに目にあまることが続けば」
 怒りの矛先は小池百合子東京都知事に対して。
 昨年初夏に「グリーン旋風」を巻き起こし、都知事に就任。
 以来、小池知事は主導権を。
 東京オリンピックの会場問題、築地市場の豊洲移転問題には二階幹事長は「タッチすることではない」と無視を通してきている。
 が、都議選が目前に迫り、国政選挙につながってくる状況についに怒りがこみあげてきたか。
 「都民ファースト」をかかげる小池都知事に都民もメディアも飛びついている。
 「小池知事のやることすべてに拍手が起こっている」(永田町筋)といわれる「小池1強」状態。
 都議会選が近づくにつれ、小池知事の元に走る都議会議員。自民党からも。民進党からも。さらに公明党は小池知事が率いる「都民ファーストの会」と選挙協力をすることを決定している。
 これには安倍晋三首相も二階幹事長も「公明党の協力がなくても選挙を勝ち抜く」と。
 小池知事は都議会だけの制圧ではなく、国政にも狙いを。
 そのことは「国政研究会」を立ち上げたことでも明らか。
 「小池知事の最終的な狙いは首相の椅子だろう」
 永田町ではそういった見方までされている。
 小池知事はいまでも自民党員。
 「党に進退は預けている」と言っているが、自ら出ようとはしていない。このことも二階幹事長のこめかみに青筋を立てさせている。

「西に東に」

 閣僚の動きがあわただしくなった。
 米トランプ大統領が誕生してから3カ月に。
 トランプ政権の動きにあわせるように、世界も動きだした。
 安倍内閣の閣僚では麻生太郎副総理兼財務相、世耕弘成経済産業相が大臣室から飛び出している。
 麻生財務相はG20(主要20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)出席のためにドイツに。
 米国がトランプ政権になってから初のG20。
 麻生財務相は米国のムニューシン財務長官と初会談をしている。
 世耕経済産業相は米国に。
 コーン国家経済会議議長らと会談を。
 トランプ大統領は「アメリカファースト」で保護主義を前面に打ち出してきている。
 TPP(環太平洋経済連携協定)からも離脱してしまっている。
 日本を名指しで批判してくる回数が多くなってきた。
 トランプ政権が目指しているのは日米二国間交渉。
 これは日本にとっては厳しいことになってくる。
 西に東に飛び出しはじめた閣僚たち。
 安倍晋三首相も首相官邸から飛び出している。3月19日から22日までドイツ、フランス、イタリア、ベルギーのヨーロッパ4カ国を歴訪している。
 この4カ国訪問で、12年12月に政権の座に就いてから、実に52回の外国訪問となった。
 これはこれまでの最多記録だった小泉純一郎元首相の51回を超え、新記録に。
 世界が揺れているだけに、閣僚の海外出張はますます多くなる。

「ゴルフ会場も落着へ」

 2020年東京オリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相。
 久しぶりに報道陣に対している。
 バレー会場、水泳会場、ボート会場の変更問題のときは、連日のように苦虫をかみつぶしたような顔で報道陣の前に。
 会場問題がまた2つ、解決した。
 野球・ソフトボールの一部試合を福島県で開催することを国際オリンピック委員会(IOC)が決定の断を。
 会場は福島市にある県営あづま球場。
 東日本大震災の復興支援という形に。
 「東京五輪は復興ニッポンというタイトルからスタートしているわけだから」
 野球の開幕試合は、福島になる見方を森会長はしている。
 これでまた一つ問題が解決し、残っていた競技も落着に。
 ゴルフだ。会場となっている埼玉県川越市の霞ヶ関CCが「女性を締め出している」ことに、IOCバッハ会長は「男女平等にならなければ、認められない」の考え方を示していたが、女性解禁に。ゴルフ会場が決着したことで、森会長の体からトゲは全部とれた。
 組織委員会会長の椅子に座ったとき「最後のご奉公」と。
 就任後には肺がんの手術もしている。
 「こんなものは切ってしまえばなんともない」と会長職を続行中。
 東京オリンピック・パラリンピックまであと3年。
 いま永田町は「森友学園」騒動で紛糾している。かつて「永田町のドン」の異名をつけられていた森会長だが、いまは永田町とは距離を置き東京五輪にかかりっきり。

「空白区がゼロに」

 次期衆院選挙はいつになるか。
 衆院議員の任期満了前に「解散あり」が永田町の見方。ここにきて「春にもあるか」の声も。
 各党とも候補者擁立作業は最終段階に。
 そんな中、自民党は公明党が候補者を立てる9選挙区を除き、全部の選挙区の候補者を決めた。
 これまで唯一の「空白区」となっていた愛知2区。
 擁立したのは田畑毅衆院議員(比例東京)。
 この選挙区は自民党にとって「泣き所」になっている。
 民進党の古川元久・元国家戦略相が2000年以降、6回連続して当選。議席を守りつづけている。
 全選挙の候補者が決定したことで、自民党は「いつでも選挙」への構え。
 空白区がなくなったことで、あとは「前進あるのみ」に。
 永田町の上空はいま「乱気流」気味だ。
 「森友学園問題」で安倍晋三首相は、野党からの激しい追及にあっている。
 「これまでの選挙のように自民党の独り勝ちということにはならないのではないか」
 永田町ではそういった見方までされている。
 「自民党の若手は苦戦するはず」といった選挙予測の声まで。
 自民党全衆院議員のうち、123人が選挙地盤の弱い当選1、2回生議員。
 安倍首相人気で議員バッジをつけた「安倍チルドレン」たち。
 野党が共闘してくると、これまでの選挙のようにはいかなくなってしまう。
 そんな状況の中での空白区解消。
 「なにがなんでも1強を堅持」が空白区解消に表れている。

「伸びない支持率」

 民進党の支持率が伸びない。
 各世論調査で民進党の支持率は10パーセントを割り込んでしまっている。
 国会は「森友学園」問題で安倍晋三首相、稲田朋美防衛相が集中砲火にあっているというのに、民進党の支持率は低迷したまま。
 3月6日、民進党野田佳彦幹事長はプロレスリングをはじめとした格闘技の聖地、東京・後楽園ホールのリングに上がった。
 プロレスが大好きで、故ジャンボ鶴田氏の大ファンで知られているが、自らがプロレスの試合を闘ったたわけではない。
 連合の春闘集会に出席だ。真っ赤なジャンパーを身につけ、安倍首相を激しく批判。
 「血がたぎる」
 と、語るその顔は紅潮していた。
 6日後の12日には党の定期党大会で、「ガンバロー」の声を。
 蓮舫氏が代表の座に就任して半年が過ぎた。
 党として初の女性代表を実現させたのは野田幹事長。
 蓮舫代表の後見人といったところ。蓮舫代表を誕生させたことで、自らも表舞台に復帰。
 それだけに力が入っている。
 なのに支持率は上昇する気配さえ感じられない。
 鳩山由紀夫元首相、菅直人元首相、そして野田前首相と続いた3年半の民主党政権。
 「民主党政権の3年半が国民にはいまだにアレルギーになっており、トラウマになっている」(永田町筋)
 民主党時代のマスコット「民主くん」を戦力外にし、新しいマスコット「ミンシン」を登場させているが。