中央政界特報

■平成29年3月2日(木) 第5296号

「政治特報」

 第二次政権になってから、4年2カ月の安倍晋三首相。支持率は堅調。G7(主要先進国)の中で安定度は際立っている。

 ヨーロッパが揺れている。
 今年、ヨーロッパの主要国では重要な選挙が続く。
 3月15日にはオランダで総選挙。4月、5月にはフランス大統領選挙、6月にはフランス国民議会選挙、9月〜10月にはドイツ連邦議会選挙。
 どの選挙も波乱含みだ。
 「トランプアメリカに続け」とばかりに、反既成政党が伸びている。
 オランダはヘルト・ウィルダース党首の「オランダ自由党」が。
 フランスではマリーヌ・ルペン党首の「国民戦線」が勢いを増している。
 そしてドイツではフラウケ・ペトリ党首の「ドイツのための選択肢」が。
 どの国も問題を抱えている。
 オランダは失業率が高い。経済立て直しが急務だ。
 フランスはEU離脱問題が争点に。
 ドイツはメルケル首相が進める難民問題が。
 すでにイギリスはEU脱退で政権が交代しており、イタリアも憲法改正の国民投票で政権が代わっている。
 これからのオランダ、フランス、ドイツの選挙結果によっては、欧州はさらに大きく揺れてくる。
 かつて、日本の政権は目まぐるしく交替した。
 森、安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田の各内閣は1年前後で退陣。
 世界から「まるで回転ドアのよう」と揶揄されたものだ。
 サミットに出席する首相の顔は毎年代わり、発言力も弱かった。
 それがいま、安倍首相はG7ではドイツのメルケル首相に続く長期政権に。
 しかも、その足元はさらに強化されている。
 3月5日の自民党大会で、総裁任期は3期9年に正式に決定する。
 これは米大統領の2期8年よりも長期に。
 米トランプ大統領との日米首脳会談で、安倍首相の自信と強気は増している。
 サミットをはじめ国際会議では「長さ」がものを言う。
 国家元首、大統領、そのあとに在任の長い首相の順。在任の短い首相ははやくから部屋に入っての待機。部屋を出るのは一番最後。
 今年、イタリアでのサミットは安倍首相がリーダーシップをとることになる。
 「世界の中心で輝く日本」
 通常国会の所信表明演説で強調している。

「小泉内閣を抜く」

 安倍晋三内閣の支持率が堅い。そのことは各世論調査で明らかに。
 民主党野田佳彦幹事長は米トランプ大統領と首脳会談をした安倍晋三首相をこう揶揄している。
 「ドラえもんに出てくるスネ夫と同じで、ジャイアンにものが言えない」
 ゴルフまでもまじえた日米首脳会談をバッサリだ。
 国民の見方はどうだったか。
 野田幹事長の揶揄とは違う結果だった。
 首脳会談後の安倍首相の支持率は、世論調査によるとアップしてきているものも。
 昨年12月、ロシアのプーチン大統領との日ロ首脳会談で落とした支持率を挽回だ。
 北方領土問題で進展がなかったことで、自民党内からもこのときは批判があった。
 二階俊博幹事長も「成果がなかった」と厳しい評価をしていた。
 安倍首相が政権の座に復帰したのは12年12月26日。
 このときの支持率は60%をやや上回っていた。
 これまでで最も支持率が高かったのは13年春。このとき70%超にまで伸ばしている。
 最も低くなったのは15年夏。新国立競技場が白紙になったときで、「政権維持で危険水域」とされている40%を割り込んでしまった。
 昨年12月に中曽根康弘元首相を抜き、今年5月には小泉純一郎元首相を抜き、政権在任日数で歴代3位に。
 支持率でも小泉元首相と並ぶ高い数字を叩きだしてきている。
 政党支持率でも自民党はアップして民進党はダウンしている。

「絶対的なドン」

 自民党二階俊博幹事長が78歳になった。
 誕生日は1939年2月17日。
 感想は「なにもない」だ。
 その口調はいつもとまったく同じ。ボソッと。年齢、キャリアと自民党にあって最長老。
 自民党に限らず、全国会議員の中での「ドン」の存在に。
 「いま永田町のカレンダーを書いているのは二階幹事長。思いのままに書いている」(永田町筋)
 これまでにも永田町には「ドン」がいた。
 金丸信氏、青木幹雄氏といった時の実力者がカレンダーを書いていた。
 昨年秋に幹事長のポストに就いてからというもの、それこそ「凄腕」ぶりを発揮だ。
 昨年秋には「解散風」を。
 その一方で安倍晋三首相の長期政権への道づくりを。
 自民党総裁任期を2期6年から3期9年に。
 「安倍さんの後は安倍さん」
 そこまで言い切っている。
 いま、面と向かって二階幹事長に反論できる人はいない。
 自民党OBをつぎつぎに復党させているが、これに対しても反対の声は小さい。
 谷垣禎一氏が趣味の自転車で転倒、後を継いでの幹事長。
 安倍首相の信頼は絶対といえるほど厚い。
 二階幹事長が「ドン」の足場を固めているのは、人脈の広さ、それに面倒見のよさ。
 それらを総合した「人心掌握術」は他の長老議員を圧倒している。
 米トランプ大統領と安倍首相の首脳会談については「成功だった」と。

「葉巻の煙り」

 国会が「タバコの煙り」で騒がしい。
 政府の「受動喫煙対策強化法案」がタバコに火をつけた。
 「愛煙家」と「禁煙家」が正面からぶつかっている。
 まず自民党内で火がつき、煙りが。
 これは民進党にも。赤松広隆前衆院副議長らが「分煙推進議員連盟」を立ち上げ「禁煙」に「ノー」の声を。
 そんな騒ぎを横目にゆったりと葉巻をくゆらせているのは麻生太郎副総理兼財務相。
 国会議員にはタバコを手から離せない「愛煙家」が多い。
 自民党では石破茂前地方創生相。民進党では野田佳彦幹事長。
 ともに1日20本以上は灰にしている。
 だが、そんな愛煙家たちも、口にするのは普通の紙巻タバコ。
 葉巻を楽しむのは麻生副総理兼財務相ぐらい。
 それも年季がはいっている。
 麻生ファッションは祖父、吉田茂元首相ゆずりだ。
 英国調のものばかりで、スーツは学生時代から  あつらえている。
 帽子、マフラー、手袋とすべてに神経を配っている。
 そしてファッションを完璧にしているのが葉巻。吉田首相といえば葉巻がトレードマークだった。
 孫の麻生副総理兼財務相はホテルのバーでブランデーと葉巻バルタガス。
 国会内の「タバコ騒動」には首を突っ込んできていない。
 マイペースで葉巻の香りを楽しんでいる。
 受動喫煙ではかなり周囲をけむたい思いにしてしまっているが、自分のスタイルを押し通している。

「アベノミクスの不安」

 消費が伸びていない。子育て世代、シルバー世代の消費が伸びないだけではない。39歳以下の若い世代でもいっこうに消費が伸びていない。
 安倍晋三首相が議長を務める経済財政諮問会議でそのことが明らかに。
 お金はどこにいっているのか。
 世の中に出回っているお札の総額は昨年末の段階で100兆円を超えている。
 それでも消費は伸びない。金利の低下などの理由で「たんす貯金」に。
 内閣府が公表した2016年10月〜12月期の国内総生産(GDP)は前期比0・2パーセント増。
 安倍政権が発足したときの名目GDPは495兆円だった。
 4年を経た今の名目GDPは537兆円。
 安倍首相は胸を張り、声を高くしている。
 「GDPは増えている。アベノミクスによるもの」
 失業率は低くなり、有効求人倍率は高くなっている。
 これにも安倍首相は声を高くしている。
 仕事、雇用が増えていることを「全国津々浦々まで」といった言い方で。
 それでも消費は伸びない。
 賃金が上がっても、将来に対する不安が国民の間には根強い。
 政府は2017年度のGDPの成長率を実質1・5%とする数字をはじきだしている。
 安倍首相はアベノミクスをさらに推し進めていくことを強調している。
 「エンジンをふかしていく。矢を放ちつづける」
 はたしてこの先、個人消費は増えていくことになるか。
 長期政権を確かなものにするためにも、アベノミクスの真価が問われる。

「動き出した」

 民進党細野豪志代表代行が動きだした。
 2月16日、自らが領袖をつとめる派閥「自誓会」の会合で、声を高くしている。
 「憲法を議論しよう」
 安倍晋三首相は憲法改正に意欲的だ。自身が政権を担当している間に改憲を目指している。
 この改憲に民進党は消極的。
 そんな中にあって細野代表は改憲に積極的。「改憲論者」だ。
 その細野代表が動きをみせはじめた。
 今春にも改憲私案の策定を目指している。
 「民進党内にある改憲のイニシアチブをとろうということだろう」(永田町筋)
 その先にあるのは代表の椅子。
 昨年秋に代表の座についた蓮舫代表には「魅力ある政党」の期待の声がかけられていたが、現実は寂しい。
 各世論調査の結果、民進党の支持率はまったくの伸び悩み。世論調査のなかには「ダウン」していっているものも。
 党内には蓮舫代表、野田佳彦幹事長に批判的な声がある。
 細野代表代行は、党内にあってトントン拍子で出世階段をかけあがってきている。
 「代表になれるのでは」とも言われている。
 だが、ここ一番という勝負どころで決断を下せないできている。
 15年の代表選、そして16年の代表選。
 2度も出馬の意欲を表明しながら、最後は手を引っ込めている。
 「リーダーになれない男」のレッテルを貼られるありさま。
 派閥「自誓会」の勢力は15人。他派閥の掛け持ちは認めていない。腹はすわってきているか。

「芸能界の人脈」

 2月15日、安倍晋三首相の顔が東京・目黒の「目黒雅叙園」に見られた。
 午後7時20分過ぎに現れ、すぐにいなくなったが、会場は首相の登場とあって「どっと」湧いた。
 宴会場で行われていたのはタレントなべおさみ氏のパーティー。
 人脈の広さをあらわすものだ。
 安倍首相の芸能界の人脈といえば、俳優の津川雅彦氏。
 食事をしながら会談する回数では、津川氏が最も多い。
 今年、注目されたのは俳優杉良太郎氏だ。
 正月明け早々の1月15日から6日間、安倍首相は今年初の外国訪問としてフィリピン、オーストラリア、ベトナム、インドネシアの4カ国を回っている。
 このとき、1月16日、ベトナム・ハノイでのグエン・スアン・フック首相との会談に、杉氏は出席。
 それも会談の日本側随員の一人として。
 杉氏は約30年にわたってベトナムで社会福祉活動、それに文化交流を行っている。
 このことで日本とベトナム両国の「特別大使」を任命されている。
 それにしても首脳会談の席に同席はかつてないこと。
 杉氏は2月28日からの天皇、皇后両陛下のベトナム初訪問にあわせてもベトナム入り。
 安倍首相の芸能界の人脈では片岡鶴太郎氏とも会食を。
 みなみこうせつ氏、さだまさし氏のコンサートには足を運んで楽しんでいる。
 芸能人との人脈は昭恵夫人とのつながりによるものも。