中央政界特報

■平成29年2月23日(木) 第5295号

「政治特報」

 日米首脳会談を終えた安倍晋三首相。トランプ大統領は年内に来日する。永田町では「解散はいつに」の声が。解散風は本当に強まるか。

 日米首脳会談でトランプ大統領との「緊密な連携」を世界にアピール。
 このことで安倍首相は高揚している。
 「トランプ大統領と親しく話し合ってきた」
 個人的な信頼関係ができたことを強調。
 安倍首相の高揚で、永田町にはまたまた「解散」の声が。
 昨年12月に衆院議員は4年の任期を折り返している。
 すでに各党とも次期選挙へ向けての候補者を内定ずみだ。
 「常在戦場」と自民党二階俊博幹事長が言えば、民進党野田佳彦幹事長も「ある」の見方を。
 安倍首相は新年明けの互礼会で「今年の選挙はまったく考えていません」と断言している。
 だが、ここにきて情況に変化が。
 「安倍首相としては早い時期に解散に踏み切ったほうが優位に戦える」(永田町筋)
 ふたたび吹き始めた解散風の根拠は多い。
 まず一番にトランプ大統領との会談の勢いのあるうちに。
 首脳会談の成果が「ウイン、ウイン」だったことを安倍首相は会心の笑みで表現している。
 第二に支持率の高さにある。
 各世論調査の結果、安倍政権の支持率は右肩上がりだ。
 ひきかえ野党のほうは民進党の支持率が伸び悩みのまま。
 世論調査によってはダウンしているものも。
 第三に野党の間で進められている選挙共闘。
 共産党が積極的で、民進党、共産党、自由党、社民党による「共闘」に安倍首相が神経をとがらせているのは確か。
 定数295の小選挙区での民進党と共産党のすみ分けの進捗によっては、自民党は厳しい選挙になってしまう。
 自民党衆院議員の3分の1以上の123人は、当選1、2回の若手議員。
 選挙基盤が弱く二階幹事長が「場合によっては候補者を差し換える」と叱咤の声を高くしているほど。
 第四は小池百合子東京都知事のパワー。
 千代田区長選でも圧勝。小池パワーはとどまるところを知らない。
 小池旋風が裏付けるよう、「無党派層」の動きを自民党幹部は恐れている。
 酉年は「激動の年」といわれている。
 93年には自民党は野党に転落。05年は郵政選挙で政権を奪い返している。
 まったく相反する結果が出ており「激動の年」であることは安倍首相も言っている。
 その激動の年だけに、今後目が離せない。

「理想の上司」

 なんとも気になるランキングが発表されている。
 明治安田生命保険が行ったアンケート調査。
 それは今春、就職する予定の新社会人に行ったもので、イメージする「理想の上司」。
 調査結果で男性の1位は内村光良氏、2位はタモリ氏、3位は池上彰氏。
 ベストテンには原晋氏、所ジョージ氏、イチロー氏、関根勤氏、中居正広氏、城島茂氏、林修氏が。
 女性の1位は水卜麻美氏、2位は天海祐希氏、3位は吉田沙保里氏。
 ベストテンには石田ゆり子氏、有働由美子氏、澤穂希氏、ローラ氏、いとうあさこ氏、真矢ミキ氏、大江麻理子氏。
 男性の1位になったお笑芸人の内村氏は前年の5位からのアップだ。
 「親しみやすい」「優しそう」がトップになった理由。
 政界から理想の上司を選ぶとしたら、ランキングはどうなるか。
 安倍晋三首相は安定政権で、二階俊博自民党幹事長は「安倍さんの後は安倍さん。世界を相手にできるのは安倍首相」とまで言い切っている。
 トランプ米大統領の一言でいま世界が揺れている。
 「外交」を得意とする安倍首相の出番は多い。
 人気者といえば小泉進次郎自民党農林部会長。
 若くて独身、イケメンとあって女性からも圧倒的な人気を集めている。
 野党では蓮舫民進党代表。
 白いスーツでの国会質問はすっかりおなじみ。
 そしていま政界で「旬」にある小池百合子東京都知事。テレビに登場しない日はないほどの人気だ。
 だが、政界全体の人気が沈み込んでいるのは事実。

「ゴルフは友をつくる」

 国会の場で「ゴルフのやりすぎ」を追及されたことのある安倍首相。
 「ゴルフは私にとって大きな意味がある」と突っぱねているほど、ゴルフを「首相の業務の一つ」に。
 そのゴルフが効果を発揮した。
 1月11日、米国フロリダ州のコースでトランプ大統領とプレー。
 いまから60年前、安倍首相の祖父、岸信介首相はアイゼンハワー大統領とラウンドし、親交を築きあげている。
 このときの二人のスコアはアイゼンハワー大統領が74、岸首相が99。
 祖父の後を継ぐように安倍首相もトランプ大統領と「個人的な親交」を約束している。
 まさにゴルフが取り持つ縁だ。
 「これでもう国会でゴルフを詰問されることはないだろう」(永田町筋)
 安倍首相のゴルフ好きなことは所有している会員権の口数が裏付けている。
 衆院議員の中でトップの8口。
 年季がはいっており、初当選したときにすでに8口保有していた。
 もっとも全部のコースでプレーはしていない。地元の山口県のゴルフ場の会員権は文字通り、「名前」だけに。
 一番よく通っているのは、別荘のある山梨県の「富士桜カントリー倶楽部」だ。
 トランプ大統領とのマッチにそなえ渡米前の2月4日には「よみうりゴルフ倶楽部」でクラブを振っている。
 トランプ大統領も大のゴルフ好き。
 ちなみにオバマ前大統領も8年間の在任期間中、時間を作ってはコースに出ていた。

「首相代理」

 2月10日から2月13日まで総理大臣と副総理が日本を留守に。
 安倍晋三首相は米国訪問に麻生太郎副総理兼財務相と岸田文雄外相を同行した。
 この間、首相代理として首相官邸を守ったのは菅義偉官房長官。
 内閣が発足したときに首相代理の順番は決められており、菅官房長官がその役を。
 ちなみに米国の場合、大統領の後継継承の順番は副大統領、下院議長の順で20番近くまで決まっている。
 安倍首相が日本を留守にしている間に、大きな動きが。北朝鮮がミサイルを発射。
 首相代理の菅官房長官は12日午前の記者会見で「怒り」の声をあげている。
 第二次安倍政権が発足した12年12月26日からずっと官房長官のポストにあり、これは歴代官房長官として最長記録を更新中だ。
 日に午前と午後の2回の定例記者会見。
 内閣のスポークスマンとして、安倍首相から絶大な信頼を寄せられている。
 「ポスト安倍」には岸田外相、石破茂前地方創生相が有力候補としてあがっている。
 実際、岸田外相、石破氏は後継への意欲をあらわし、派閥の強化などに動いている。
 だが、永田町では菅官房長官の名前をあげる声が多い。
 「最終的には菅官房長官が飛び出してくるのでは」
 ダークホースとしての見方だ。
 当の菅官房長官は「まったくそんなことは考えていない」と。しかし、官房長官としての安定度は際立っている。

「主役の座に」

 麻生太郎副総理兼財務相が「安倍劇場」の主役に。
 日米間の経済問題を一任された麻生副総理兼財務相の意気込みは強い。
 米国側はペンス副大統領が担当だ。
 安倍晋三首相とトランプ大統領の首脳会談で「経済協議」が設けられることが決定。
 これを麻生副総理兼財務相とペンス副大統領が進めていく。
 ペンス副大統領はホワイトハウスの中でも「知日派」として知られている。
 だがトランプ大統領が掲げているのは「アメリカファースト」だ。
 知日派のペンス副大統領が相手になるとはいえ、手ごわいことになるのは避けられない。
 自動車貿易の問題、TPP(環太平洋経済連携協定)の問題、新たな通商枠組みなど、難問山積だ。
 「日本の将来を決める大事な交渉になる」(永田町筋)
 麻生副総理兼財務相にとって、政治家としての真価を問われるものに。
 初当選は1979年。以来当選を重ねること12回。これまでの経歴は総理大臣まで務めている。
 政界のことはすべて知り尽くしている大長老議員でもある。
 また、日本の国会議員の中にあって群を抜くセレブ。
 ファッションセンスは祖父ゆずり。手には葉巻が。
 胸に思っていることはストレートに口に出してくる。このことで時として物議をかもすが、強心臓なことでも突出している。

「3期目狙いへ」

 旋風を巻き起こしている小池百合子東京都知事。
 テレビのワイドショー、報道番組に取り上げられない日はない。
 小池パワーによって、自治体の「トップ」が注目されてきている。
 森田健作千葉県知事は「3選」への出馬を明らかに。
 芸能界から政界に入り、衆院議員のあと千葉県知事に。
 そして、名古屋からも声があがってきている。
 河村たかし市長が「3期目」を目指す方向に。
 「どえりゃあ名古屋にせんと」
 名古屋市長選は4月9日告示、4月23日に投開票。
 これまで出馬について沈黙を通していたが、決断がついたようだ。
 小池都知事の大ブレークが各自治体のトップを刺激しているのか。
 河村市長も小池知事、森田知事と同じく国会議員の議員バッヂをつけていた。
 昭和23年11月3日、名古屋生まれ。一橋大学商学部卒業。平成5年の衆院選に初当選。日本新党、新進党、自由党と渡り歩き、10年12月に民主党に。
 小池知事は5月の都議会選挙には自らが起こした政治塾「希望塾」から候補者を擁立、60議席以上の獲得を目指している。
 河村市長も名古屋市長として地域政党「減税日本」を立ち上げ、28議席を獲得し、市議会最大会派に。
 自治体のトップといえば、大阪府知事、大阪市長を務めた橋下徹氏、宮崎県知事を経験した東国原英夫氏がいる。
 小池パワーによって、自治体の「長」を目指す選挙が全国で注目されることになりそう。

「外交の表舞台に」

 萩生田光一官房副長官が外交の表舞台に立った。
 ワシントンのホワイトハウスで行われた安倍晋三首相とトランプ大統領とによる日米首脳会談。
 「日米同盟の強化」で一致し、共同声明を発表。
 この首脳会談は今後の日米関係にとってきわめて大きな意味を持つ会談になっている。
 萩生田官房副長官にとっても大きな首脳会談に。
 米国側の会談同席者はペンス副大統領ら5人。
 その中にはトランプ大統領の長女、イバンカさんの夫で大統領上級顧問を務めるジャレッド・クシュナー氏、大統領の最側近、スティーブン・バノン主席戦略官兼上級顧問の顔も。
 バノン主席戦略官兼上級顧問は文字通り、トランプ政権の戦略頭脳。
 その主張は激しく、トランプ大統領は絶大な信頼を寄せている。
 日本側の同席者は麻生太郎副総理兼財務相、岸田文雄外相、萩生田官房副長官、谷内正太郎国家安全保障局長、佐々江賢一郎駐米大使。
 これまで首脳会談には世耕弘成氏が官房副長官として常に同席していた。世耕氏が経済再生相に就任したことで、萩生田氏が外交会談の最前線に。昨年10月に第3次安倍改造内閣で就任している。
 まだ、半年もたっていないところでの大舞台。
 1963年8月31日、東京生まれ。
 明治大学商学部を卒業し、八王子市議、東京都議を経て、国会議員になったのは2003年の衆院選挙で初当選。
 福田改造内閣では文部科学政務官を。
 安倍首相に信頼されており、党筆頭副幹事長、党総裁特別補佐などを歴任している。