中央政界特報

■平成29年1月12日(木) 第5289号

「政治特報」

 新しい年、2017年。酉年だ。永田町には多くの酉年がいる。自分の年ということで、その動きは活発になりそう。

 酉年生まれの人は「頭がよくて考え深い」といったことが言われている。その一方で「決断力に欠ける」とも。
 永田町の酉年は岸田文雄外相、石原伸晃経済財政相、石破茂前地方創生相、小泉進次郎自民党農林部会長、谷垣禎一前自民党幹事長、中谷元前防衛相、野田佳彦民進党幹事長、大田昭宏元国土交通相、平沢勝栄自民党衆院議員、川端達夫民進党衆院議員ら。
 実にこの中に「ポスト安倍」の有力候補が岸田氏、石原氏、石破氏、小泉氏と4人も。
 「次の総理大臣はトリ年生まれになる公算が強い」(永田町筋)といった言われ方さえされている。
 実際、それぞれに意欲を。
 岸田氏は第2次安倍内閣が発足した12年12月からずっと外相のポストに。
 「長ければいいというものではない」
 岸田派の最高顧問、古賀誠元幹事長はそうハッパをかけているが、外相としては歴代最長。
 世界を飛びまわっており、安倍首相についで国際的に顔が知られている。
 昨年夏には沖縄で派閥研修会を開いており、攻めのスタイルも。
 岸田氏の「ポスト安倍」の戦略は「禅譲」だ。
 安倍首相とは当選同期。安倍首相の信頼は厚い。
 石原氏はこれまで総裁選にも出馬しており「政権の座」に的を絞り込んでいる。
 環境相時代の失言いらい、影が薄くなってきているが、今年に巻き返しを目指している。
 有力候補の中で、最も積極的な動きに出ているのは石破氏。
 派閥ぐるみで全国遊説を行っており、「地方票獲得」が最大の戦略。
 12年の総裁選でも決選投票で安倍首相に敗れたものの、地方票では圧勝していた。
 一番若いトリ年の小泉氏は、安倍後について「まだまだ自分には早い。もっと経験を積んでから」と一歩下がっているが、周囲は熱い。
 外国を見ても40代の首相が多くみられるようになっている。
 カナダのトルドー首相は44歳。
 昨年退陣したイタリアのレンツィ首相は41歳だった。
 自民党総裁の任期は3期9年に延長されたことで、安倍首相は21年9月までの政権担当も可能。このとき小泉氏は40歳に。
 石破氏、岸田氏は18年の総裁選での「勝負」を目指している。
 「やりますよ」
 石破氏は地元、鳥取県の会合でそう断言している。

「永田町劇場の主役・安倍晋三首相」

 安倍晋三首相の新年は元日、宮中での新年祝賀の儀に始まっている。
 暮れから正月にかけては東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」で過ごした。
 1日に東京・六本木の映画館「TOHOシネマズ」で映画「海賊と呼ばれた男」を鑑賞し、2日には早速大好きなゴルフを神奈川県茅ケ崎市の「スリーハンドレッドクラブ」で。
 昨年暮れの12月15日にはロシアのプーチン大統領を地元山口県長門市に迎えて首脳会談。
 12月26、27日にはハワイに飛び、米オバマ大統領と最後の首脳会談。そして真珠湾に慰霊。
 申年の昨年は自ら「動」と言っているように、それこそ世界を飛び回った。
 今年は昨年を超えるハードな年になりそう。
 1月20日には米国45代大統領にドナルト・トランプ氏が就任する。
 昨年までと同じような日米関係になるか。
 これについては永田町では「まったく予測がつかない」の見方が。
 安倍首相は訪米。そしてオーストラリア、ベトナム、フィリピン、インドネシア訪問。さらにはロシア訪問も検討されている。
 国内にあっては、昨年暮れからジワリと吹いていた「解散風」が一気に強まることも。
 安倍首相は「そういったことはまったく頭にない」と否定しているが、永田町は「臨戦態勢」に入っている。
 政権の座に復帰して以来「アベノミクス」を強調してきている。
 「アベノミクスは成功している」と。
さらに「アクセルを踏み込む」とも声を高くしている。

「永田町劇場の主役・麻生太郎副総理兼財務相」

 第2次安倍政権が発足いらい、ずっと副総理兼財務相の座にいる麻生太郎氏。
 安倍晋太郎首相とは「政界セレブ」の仲。
 昨年、考え方の違いもあったが、安倍首相を支えるというスタンスは変わっていない。
 血筋をたどっていけば、安倍首相とのつながりは堅固だ。
 財務相として世界蔵相会議などで、ひんぱんに外国を訪問している。
 そのときのスタイルは凄みがある。
 黒のベルサリーノの帽子、黒いコート、白いマフラー、黒い手袋。手には葉巻が。
 外国メディアから「ギャングスタイル」と評されているがまったく気にしていない。
 我が道を行くで、蔵相会議でも一目置かれている。
 そんな麻生氏だが、昨年はいまひとつ目立った言動がなかった。
 「まったく静かだった。表に出ることもほとんどなかった」(永田町筋)
 珍しく表に出た衆院福岡6区補選では苦い水を飲んでいる。応援した候補者が落選。
 安倍首相が政権の座に返り咲いたとき、「麻生氏も、いま一度政権を目指す気持ちでいるのでは」といったことも言われていた。だが、いまやそういった声も聞かれない。
 「安倍首相にどんどん仕事をしてもらう」
 安倍内閣の「ご意見番」としての居場所がすっかり決まっている。
 安倍首相も財務相として全面的に頼りにしており、内閣改造のたびにまっさきに「続投」を依頼してきている。
 東京渋谷の自宅の敷地は約2400平方メートル。まさにセレブだ。

「永田町劇場の主役・菅義偉官房長官」

 菅義偉官房長官が「すっかりはまってしまっているものがある」ともっぱら言われている。
 フィットネスクラブで汗を流すことだ。
 官房長官は内閣でナンバー2のポスト。
 日に午前と午後の2回、官邸での記者会見に応じている。
 そのスケジュールのハードなことは安倍晋三首相にも劣らない。
 それこそ分刻みで動いている。
 そんなこともあり、体を動かす運動はまったくしていない。
 それが昨年からフィットネスクラブが話題に。
 このことで永田町では、「ポスト安倍狙いではないか」の声が。
 安倍首相の自民党総裁の任期は3期9年に延長が決まった。
 これによって最長21年9月まで政権を担当することも。
 総裁任期が伸びたことで「ポスト安倍」に名前の挙がっている石破茂前地方創生相、岸田文雄外相、野田聖子元郵政相は戦略の練り直しを迫られている。そんな中、急浮上してきているのが菅官房長官。
 当の菅官房長官はそういった声を頭から否定している。
 「まったく考えたことはない」
 あくまでも安倍首相を黒子として支えていくこと強調している。
 フィットネスに汗を流しだしたのは、安倍首相に刺激されてのものだという。
 安倍首相は週末になると東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」内のフィットネスクラブに通っている。
 菅官房長官が体を鍛えはじめたことで、永田町は騒がしくなってきているのは確か。

「永田町劇場の主役・二階俊博自民党幹事長」

 自民党では細田派、岸田派、額賀派、麻生派、石原派、石破派、山東派、二階派と8派閥が勢力を競い合っている。
 その中で、いま最も勢いがあるのが二階派。
 派閥会長の二階俊博幹事長が「永田町のドン」として実権を振るっていることがすべて。
 谷垣禎一氏が趣味の自転車で転倒したことで幹事長に。
 自民党各派の夏の研修は軽井沢の避暑地などが多いが、二階派は和歌山県の高野山の寺、「無量光院」などで行われている。
 二階幹事長が地元和歌山の出身ということもある。
 精進料理を食しながら「同じ釜の飯を食って」の結束固め。
 幹事長に就任以来、二階幹事長は永田町のカレンダーを描きつづけている。
 「二階幹事長の青写真の通りに進められている」(永田町筋)
 まず最初に手をつけたのが自民党総裁任期を2期6年から3期9年への延長。
 これによって安倍晋三首相は最長21年9月までの政権担当の道が開けてきた。
 「力のある人には長く首相をやってもらいたい。当然のことではないか」
 ピシャリと「ポスト安倍」の声を封じてしまっている。
 永田町の上空に「解散風」も吹かしている。
 いったんは収まったかにみえたが、今年は早々に「解散」があるかも。
 これまた二階幹事長のカレンダーによるもの。
 元自民党議員の自民党復党が続いている。これも二階幹事長の主導によるもの。
 「ドン」としての迫力は増す一方だ。

「永田町劇場の主役・小泉進次郎農林部会長」

 小泉進次郎自民党農林部会長にとって、昨年は「試練の日々」だった。
 JAと正面からぶつかり、額にたっぷりと汗をかいている。
 衆院当選3回。これまでとんとん拍子で自民党内の出世階段をかけあがってきている小泉氏が初めて直面した試練といっていい。
 注目されているのは結婚。
 1981年4月14日生まれの36歳。
 結婚適齢期の真っただ中にある。
 だが、昨年も「結婚」の「ケ」の字もなかった。
 ウワサのケムリも立たないままで新しい年を迎えてしまった。
 自民党きっての人気者で「自民のプリンス」。
 選挙のたびに、応援依頼がびっしりで、日本中を駆け回る。
 昨年7月の参院選でも走りまわった。
 それほどの人気者だが、結婚にはまだ興味を持っていない。
 野田聖子氏からは「はやく結婚して、少子に貢献してほしいもの」といったエールを送られているが、聞き流している。
 「まだ結婚する気はないです。とくに国会内での結婚はない」
 国会という職場結婚には強い拒否反応まで。
 15年に復興庁の元女性とのデートを週刊誌に書かれたことはあるが。
 実兄の俳優小泉孝太郎氏も独身。
 バツ一の父親小泉純一郎元首相も「結婚したら」といったことはひと言も言っていないようだ。
 自分も結婚したのは35歳を過ぎてからで、バツ一の経験から強く勧めないのか。
 大臣になるのが先か、それとも結婚するのが先か。

「永田町劇場の主役・小池百合子東京都知事」

 衆院議員ではなく東京都知事の小池百合子知事。
 都知事の椅子に座ってからも、その影響力は永田町にも及んでいる。
 「都連だけでなく、自民党本部も小池知事の言動に神経をとがらせている」(永田町筋)
 永田町劇場では欠かせない主役だ。
 ショートカットが行動力をアピールし、スーツ姿は颯爽としている。
 「体形はキャスターをしていたときとほとんど変わりません。おかげで着るものも当時のもので心配ありません。着回ししてますよ」
 64歳という年齢をまったく感じさせない若々しさだ。
 きまっているショートカットだが、一時、ロングヘアにした時期がある。
 2009年の衆院選挙で小選挙区で敗れ、比例復活したときだ。
 「次の衆院選で勝利するまで切らない」とのばしていた。
 「臥薪嘗胆ヘア」と自ら名付けていたセミロングを約1年9カ月。
 それをバッサリと切ったのは2011年12月。
 「長いのは不評だった。自分でも似合わないと思っていた」
 ショートヘアはお気に入りだ。
 今年、小池知事はどう動くか。昨年以上に注目されている。
 最大の焦点は夏の東京都議会選挙。
 小池知事が新党を旗揚げし、都議会に乗り出すことも。
 小池塾には約4000人の参加者がいる。
 新党には小池知事も意欲を持っている。
 都議会の定数は127人。自民(60人)、公明(23人)が計83人で過半数を握っている。それが様変わりしそう。