中央政界特報

■平成28年12月15日(木) 第5285号

「政治特報」

 世界が変わる。先が読めない。来年のG7(主要先進国首脳会議)の顔ぶれが大きく変わる。安倍晋三首相がリーダーシップをとることができるか。

 今年もあとわずか。2016年は世界中が緊張する年になった。
 5月26、27日、三重県で開催された伊勢志摩サミット。
 議長国の安倍晋三首相は終始高揚していた。上機嫌だった。
 出席した首脳は米オバマ大統領、仏オランド大統領、英キャメロン首相、独メルケル首相、加トルドー首相、伊レンツィ首相、そして安倍首相。
 伊勢湾をバックにした記念撮影で安倍首相は中央に立ち、右隣りにオバマ大統領、メルケル首相、レンツィ首相。
 左隣りオランド大統領、キャメロン首相、トルドー首相。
 円卓を囲んだ会議では「世界経済のリスク」を強調。
 サミットが初めて開催されたのは1975年、フランスのランブイエで。日本が議長国を務めたのは79年、86年、93年、2000年、08年、そして今年と6回。
 この41年間でサミットを取り巻く環境は大きく変わっている。
 当初はG7だけで世界のGDP(国内総生産)の約80%を占めていたのが、いまでは50%ほどにまで下がってしまっている。
 G7が地盤沈下しているのにひきかえ、存在感を増しているのが97年に始まったG20。
 今年1年間で世界は大きな様変わりに。
 6月24日、国民投票によってイギリスはEU(28カ国が加盟)から離脱。
 キャメロン首相は退陣し、メイ首相に。
 11月には米次期大統領選に不動産王のドナルド・トランプ氏がクリントン氏を破って勝利。来年1月20日に、正式に大統領の椅子に座る。
 フランスも揺れている。来年4月と5月に大統領選挙が行われるが、オランド大統領が再選を断念している。
 揺れているのはイタリアも。
 憲法改正の国民投票で否決されたレンツィ首相が辞任。
 ドイツのメルケル首相は「4期目」を目ざす考えを表明しているが、欧米はまさに激動の年となっている。
 来年のサミットはイタリアで開催されるが、顔触れは大きく変わる。
 メルケル首相は4期となれば16年の政権担当。これはコール元首相と並んで戦後の歴代最長に。
 安倍首相がメルケル首相に続く。自民党は総裁の任期を3期9年への延長をきめており、このままいけば安倍首相は21年9月まで政権の座に。
 この事実から、安倍首相がどう立ち位置をとってくるか。

「ミシュラン3つ星」

 東京・銀座のすし店「すきやばし次郎」にまた星がついた。
 日本ミシュランタイヤによる「ミシュランガイド東京2017」で、3つ星を維持。
 2017年版で三つ星をつけられたのは12店、二つ星が54店、一つ星が161店。
 ミシュランが東京の名店に星をつけだしたのは07年。
 今年で10年目になるが、この10年間、変わらずに三つ星にかがやいたのは4店。
 港区の日本料理店「かんだ」、品川区のフランス料理店「カンテサスン」、目黒区のフランス料理店「ジョエル・ロブション」。そして「すきやばし次郎」だ。
 「すきやばし次郎」は有名店で知られているが、その名をより有名にしたのは米オバマ大統領の来店。
 15年に国賓として来日したオバマ大統領はすきやばし次郎で「おもてなし」受けている。
 オバマ大統領が口にしたのは3万円の「おまかせコース」20貫。
 「おいしい」と絶賛。
 すきやばし次郎が開店したのは1965年。東京五輪の翌年。開店からずっと同じビルの地下1階。カウンターのみの10席の小じんまりとした店だ。
 メニューはおまかせコースのみ。
 店主の小野二郎氏は91歳になる。
 26歳の時に和食からすしに転向。
 2014年には「一筋に励んできた」ことを讃える「黄綬褒章」を受章している。
 安倍首相はトランプ次期大統領をすきやばし次郎で「おもてなし」することがあるだろうか。これは注目される。

「強気発言の真意は」

 民進党野田佳彦幹事長の強気ともとれる発言、行動が続いている。
 幹事長のポストで表舞台に返り咲くまでは言葉をかみしめながら、慎重に語るのを身上としていた。
 それがいま、ここにきて永田町がびっくりする発言をしている。
 次期衆院選挙での共産党との選挙協力について。
 ストレートに胸の内を口にしたのは11月27日、地元千葉県船橋市での会合。地元での会合とあり、気やすさもあったのか。
 「以前の野田氏からは考えられないこと。民進党内からも驚きの声があがっている」(永田町筋)
 蓮舫氏を代表にかつぎ、幹事長のポストに就任して4カ月。
 蓮舫代表が安倍晋三首相に激しく迫った党首討論の前日には、自民党二階俊博幹事長と東京都内で会食を。
 これには安住淳代表代行も同席していたが、蓮舫代表から注意を受けている。
 党内には野田氏の幹事長就任に反対する声はいまでも多い。
 12年末に解散に踏み切り、政権政党から転落したことへの批判が。
 押し切っての復活だが、これまでのところ民進党に「勢い」が生まれていないのも事実。
 そのことは各世論調査で明らか。
 上昇している自民党支持率に対し、民進党の支持率は伸び悩みが続いている。
 このまま次期衆院選挙に突入となったら民進党は厳しい。
 それでも強気とも思える発言は策があってのことか。幹事長としての内はいかに…。

「党首討論」

 12月7日、安倍晋三首相と民進党蓮舫代表が向き合った。
 今国会での初の党首討論。蓮舫代表にとってはもちろん初めて党首として安倍首相との対決に。
 この党首討論、民進党側からの要請によるもの。
 民主党代表の座に座ったのは9月15日。
 民進党として初の女性代表ということで、蓮舫代表の意気込みは強かった。
 また、期待の声も強かった。
 現実はどうか。各世論調査の結果では、民進党の支持率は伸びない。
 岡田克也氏が代表を務めていた民主党時代と同じく、低空飛行をつづけている。
 10パーセント前後の支持率はそのまま選挙結果につながっている。
 東京10区、福岡6区の衆院補選は惨敗だった。
 蓮舫代表の存在感がかすんでしまっている。
 臨時国会の会期延長が決まったことで、永田町には再び「解散風」がジワリと吹き始めてきている。
 伸び悩みの支持率に党内からは衆院選を心配する声が上がっている。
 選挙となれば選挙資金だが、これでも民主党は厳しい。
 12月2日、総務省が公表した2015年の政治資金収支報告書でそのことは明らか。
 自民党が前年より9・8%増の約263億円の収入があったのに対し、民進党は旧民主党として約94億円。自民党の3分の1でしかなかった。
 政党交付金を受けていない共産党のほうが約190億円と民進党の倍以上を集めている。
 「攻めには強い」蓮舫代表だが、代表になってからは「攻めのほうもにぶっている」(永田町筋)と厳しい状況にある。

「つぎはシンガポール」

 日本の「トップセールスマン」を自任している安倍晋三首相。
 歴代首相で群を抜く外国訪問。そのカバンの中には「メイドンジャパン」の商品がしっかりと詰め込まれている。
 セールスで力を入れているのが原子力発電と新幹線。
 「どこにでも、いつでも飛んでいきます」
 フットワークのよさを発揮している。
 だが、売り込みは容易でないのも事実。
 インドネシアでは新幹線の受注を九分通り、手中におさめながらさいごにきて中国にさらわれてしまった。
 原子力発電では、ベトナムとほぼ話がまとまっていながら、これまた土壇場でキャンセルに。
 インドネシア新幹線、ベトナムの原子力発電ともに金額がネックに。
 それでも新幹線では巻き返しを。インド新幹線が正式に決定している。
 11月に来日したモディ首相との首脳会談で決着をつけた。
 インド新幹線は全て日本の技術で2023年に開通の予定に。
 インドに続き、いま安倍首相はシンガポール新幹線に全力投球。
 12月1日、来日したトニー・タン大統領と首相官邸で会談。
 シンガポール・マレーシア間の高速鉄道計画で日本の新幹線技術を売り込んでいる。
 シンガポール新幹線はシンガポールとマレーシアの首都、約350キロを1時間半で結ぶもので、2026年を開業予定にしている。
 入札は来年春にも。
 競争相手と考えられるのは中国。
 インド新幹線につづき、安倍首相はシンガポール新幹線も手にするか。

「アベノミクスとカジノ」

 日本にもカジノが。「統合型リゾート施設(IR)整備推進法案」が動きだし、「カジノ解禁」の流れに。
 IRは国際会議場、宿泊施設などを一体となって整備する法案。
 「カジノ法案」といった呼ばれ方をされている議員立法。
 2020年の東京オリンピック時に4000万人の来日外国人観光客の目標を打ち出している安倍晋三首相の、狙い通りの方向に。
 12年12月に政権の座に復活してから「アベノミクス」に向けて3本の矢を放っている。
 その中の1本の矢「成長戦略」の柱のひとつとしてカジノを。
 アベノミクスに対する批判の声は高くなってきている。
 野党からは「アベノミクスは失敗している」とも。
 それだけにIR整備法案に安倍首相は力が入っている。
 安倍首相自身、14年5月にはシンガポールのカジノを視察している。
 観光振興の面だけでなく、地方創生にもつながっていくことへの期待が。
 「日本にもカジノを」の声があがったのは1999年。
 当時の石原慎太郎東京都知事が「お台場」の構想をぶち上げたのがはじまり。
 2002年には超党派の議員による「議員連盟」が結成され、本格的な動きに。だが、その後衆院の解散で廃案に。
 経済波及効果は「5兆円は下らない」といった見方までされているが、問題が多いのも事実。
 まず危惧されているのは「ギャンブル依存症患者」の増加。厚生労働省の推計でいまでさえ疑いのある人は540万人余も。

「人気観光スポット」

 政府は2020年東京オリンピック時に4000万人の外国人観光客を見込んでいる。
 東京都内は人気観光スポットが目白押しだ。
 その中の一つが永田町にある。
 国会議事堂がその人気スポット。
 東京ドーム2個分という広い敷地の中にある国会議事堂。
 ここで法案が審議され、国の方向が示されていっている。
 この国会議事堂には日本全国でここにしか吹かない風が吹く。
 それは「解散風」。夏の終わりころ、解散風は強さを増し、秋口にはいると静まっていた。
 それがここにきてまた吹きだしている。
 12月で衆院議員は4年の任期の折り返しを。
 解散は首相だけが持っている専権事項。
 安倍晋三首相の決断ひとつで折り返しを迎える衆院は解散ということも。
 「常在戦場だ」は自民党二階俊博幹事長。
 かくして、いまの永田町で衆院議員は落ち着かない。
 臨時国会は11月30日が会期末だったが、12月14日まで延長に。
 人気スポット国会議事堂の見学は衆院、参院とも平日午前8時から午後5時まで受け付けており、約270人いる衛視がガイドをしてくれる。
 国会開会中の本会議傍聴は、受付で先着順に。
 ちょっと面倒なのは委員会の傍聴。これには議員を通じて委員長の許可が必要。
 地元選出の議員などを通じての申請を。
 国会議事堂には安倍首相をはじめとした議員のグッズも販売されている。
 観光の人気スポットとあって、年間100万人ほどの人が訪れている。