【寄稿】滋賀県議会議員 井阪 尚司

■平成30年6月10日(日) 第18138号

=県政NOW スキルやノウハウが継承されない危うさ=

    井阪氏

 今、企業収益の伸びと高い株価が今の日本経済を支えていると言われています。至る所で人手不足が起こり、パートや臨時雇用で働く人が増え、ICTやAIを駆使して働き方改革を進める企業も出てきました。一方で、国の借金が増え、所得格差が広がり、年金が減らされたり支給年限が延ばされるなど、将来への不安が払拭できない状況にあります。ピケティが言う、汗を流しての労働所得よりも、配当金や地代などの権利所得の方が上回る勢いなのです。
 滋賀県議会では、働き方改革に関する特別委員会を設置して2年目になりますが、議論の中心は、残業を減らし時間内密度を高めて効率の良い仕事をどう進めていくのか、会議の見直しや管理運営面でどのように改善していくのか等であります。一方、国会では、働き方改革関連法案について、年収の高い専門職を労働時間から外す「高プロ」では、労働時間がきちんと把握されなくなり、過労死が起きても認定されにくくなるのではないかとの指摘がされています。
 こうした中、新たな問題が起こりつつあります。財政改革や企業収益の確保で進められてきた人員削減が限界になり、非正規やパート職員に頼らざるを得ない状況になっているのです。このことが、今まで蓄積されてきた仕事の専門性を継承できなくしており、将来にあらゆる面で影響するとの指摘です。
 人手不足と正職員の削減で、仕事の処理や納期が遅れるか、仕事を外注に出すということになりますが、上司は働き方改革も進めなければならないことから板挟み状態にあるのではないかと察するところです。こうした影響は、県にも及んでいます。発注する事業が度々入札不落になったり、原材料の高騰で追加予算を組む事態になったり、人手不足により社会資本整備が遅れがちになるなど、懸念されることが増えているのです。全分野でイノベーションを興し、社会全体が蓄積してきたスキルやノウハウをどう活かすかを真剣に考え、日本の技術力と生産性が低下することは避けなければなりません。将来を見据えた対策を求めて参りたいと思います。




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