今橋理子教授が講演 桜に託した「希望と再生」

■平成30年4月16日(月) 

=ゆかりの東近江で「織田瑟瑟展」=

講演する今橋教授(西蓮寺)。後ろは織田瑟瑟の作品。

 【東近江】 桜は日本全国そこかしこに植樹され、日本人の「桜好き」は伝統と言ってもいい。そんな日本人と桜の関係を探る今橋理子・学習院女子大学教授の講演会「人はなぜ桜を植えるのか」がこのほど、江戸時代後期の女流画家で、桜を生涯描き続けた、織田瑟瑟(しつしつ)の展覧会とあわせ、菩提寺である西蓮寺(東近江市川合寺町)で開かれた。
 この中で今橋教授は、日本人の「桜好き」のルーツを神話に求めた。神話では、天照大神の孫で稲の神ニニギノミコトが、桜の女神コノハナサクヤヒメをめとったことから、稲作信仰と桜が強く結びつく。
 サクラの「サ」は神を意味し、「クラ」は座であり神の居場所を指す。このため、「田んぼのそばに桜を植えることが多いのは、日本人の記憶に隠された祈りがあるから」とした。
 また、戦死を美化する戦中の政治宣伝で使われたことに触れ、「日本史の汚点」と指摘し、日本人が桜に本来託した思いを織田瑟瑟の「桜画」から探った。
 瑟瑟の桜画は、気品がありながらも、力強いタッチが特徴で、とくに葉脈を勢いよくはね上げる。これは、桜を「死」と正反対の「再生」の象徴とみて、「再び満開の花を咲かせる桜の生命力を、自ら重ねた思想」と推測。
 締めくくりに、桜の女神コノハナサクヤヒメが富士山の浅間神社に祭られた背景を、「富士は古くから『不死』に通じ桜と重ねて輪廻転生(りんねてんしょう)の信仰対象だった。未来永劫に続く、命の継承が祈られている」と語った。


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