来春発行予定の神田町史「郷土の歴史知り、故郷に愛着を」と期待

■平成30年4月15日(日) 第18090号

=人口減の危機感、編さん後押し=

原稿を校正する編集委員長の巽さん

 【東近江】 東近江市神田町自治会は、地域の歴史をまとめた町史発行を来年4月に予定している。編集の中心を担うのは、編集委員長の巽與志春さん(61)。発行のきっかけは、加速する少子高齢化による人口減少だった。
 同市のほぼ中央、愛知川沿いに位置する八日市地区神田町自治会は、左岸沿い3集落、右岸沿い1集落で構成され、河桁御河辺神社(かわけたみかべじんじゃ)が鎮座するなど古い歴史をもつ。人口は、少子高齢化と若者の流出で、1990年の283人から、2015年には205人と、3割近くも減少した。
 危機感を強めた巽さんは「このままいくと15年後には高齢化率が53%を超え限界集落になってしまう。住民に地域の歴史を知ってもらい、愛着をもってほしい」と考え、3年前から、資料集めで市埋蔵文化センターや図書館、古老のもとへ足繁く通うようになった。
 調べだすと、何気なく過ごしていた地域で、知らないことが多かった。例えば、織田信長の側室「お鍋の方」にまつわる言い伝えだ。
 お鍋の方は、現在の永源寺高野町に拠点を構えた豪族、小倉右京之亮に嫁していたが、右京之亮が佐々木六角氏に討たれた後、信長の側室となった。
 口伝では、本能寺の変が起こった当時、お鍋の方は、神田町にあった侍女「ふみ」の実家に滞在していた。実家とされる旧家には、今でも「おなべさん」と呼ばれる塚があり、住民が花や水を供えて祭っている。
 古老の話しでは、「子どもの頃、悪さをしたり、ぐずったりすると、親から『おなべさんが悲しいと言って、泣いてはるで』とおどかされ、怖くなっておとなしくした」という。
 このほか、河桁御河辺神社などの社寺や、同町出身で信長・家康に使えた澤氏、いぼの治癒に効く「いぼ地蔵」、自治会の統計、歴代役員名簿、土地改良事業、住民からの寄稿を収録予定している。
 自治会事業としては、今年1月の総会で正式決定し、現在は巽さんを含む7人の編集委員が最終校正に入っている。冊子はA4カラー、40―50ページで、来年4月に200冊を発行する。
 巽さんは「家族の団らんで郷土史が話題にしてもらえる、親しみやすい冊子に仕上げたい。これをきっかけに、魅力ある地域づくりにつながれば」と期待している。


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