朝桜中1年木田さん文科大臣賞

■平成30年1月14日(日) 第18012号

=全国中学生人権作文コンテスト=

左から朝桜中の坂東邦彦教頭、木田さん、藤田教育長(教育長室)

 【東近江】 全国中学生人権作文コンテスト(法務省主催)で文部科学大臣賞(第3席)を受賞した東近江市立朝桜中学校1年生、木田美映(みはゆ)ミシェルさん(13)はこのほど、東近江市教育委員会を訪問し、受賞を藤田善久教育長に報告した。

豊かな人権感覚と温もりある家族愛 藤田教育長に受賞報告

県内の作品が大臣賞に選ばれるのは14年ぶり。
 このコンテストは、次代を担う中学生が人権問題について作文を書くことにより、人権の重要性や必要性に理解を深め、豊かな人権感覚を身につけることを目的とするほか、入賞作品を広く周知することで、一般に人権尊重思想を広く啓発するもの。
 木田さんは日本人の母親と日系ペルー人の父親をもつ自らの体験をもとに、「地球人でええやんか」と題した作文を応募した。この結果、全国7358校、96万390人の中から文科大臣賞に選ばれ、1月5日に法務省法務大臣室で表彰を受けた。
 木田さんは「受賞はとてもうれしくて、自分の書いた作文を世の中に出してくれた担任の先生と、審査員の人たちに感謝の気持ちでいっぱい」と喜び、将来は「父のように人のためになる活動をしたい」とした。
 藤田教育長は「外国人を理解してもらうため活動してきた両親の思いが伝わってくる内容に感激しました。今後のグローバルな活躍を期待しています」と、賛辞の言葉をおくった。

第37回全国中学生人権作文コンテスト 文科大臣賞「地球人でええやんか」
東近江市立朝桜中学校1年 木田 美映(みはゆ)ミシェル


 小学校4年の帰りにいつもの通り集団で仕事のおばちゃんとすれ違うと、不意に外国籍のおばさんが、私に
 「あなた何人?」
と聞いてこられました。
 私が、日本人だと答えるとその人達がすごく笑うのでとても不思議に思い、そのことを家に帰って母に話すと
 「あー、今まで話してなかったけどあんたは地球人やねん」
と真顔で母は答えました。なんぼなんでも4年生の私にそんなテレビみたいなふざけた答えは通用せぇへんと思ったけど、そう考えると皆と違うこともいくつか思い当たりました。そういえば私の名前は他の人に比べて長い。省略して記入しようとすると怒られる。そしてお父さんの顔は、やたら濃いし、時々知らない言葉で電話している。なんぼなんでもだまされへんで。私の気持ちとは裏腹に母は話し続けました。
 「あんたのお父さんは日系ペルー人や。お父さんのおじいちゃんはイギリス人で、そのおじいちゃんのお父さんとお母さんがイギリス人とイタリア人、お父さんのお母さん、すなわちおばあちゃんは日系ペルー人、そのお父さんが日本人、お母さんがペルーの人や。そんなお父さんと結婚したお母さんは日本人や。そやし、あんたは国籍は日本やねんけどいろんな国の血と誇りが混ざった代表でもあるんやから地球人でええやんか」と…。なんとアバウトな…。
 だいたいうちの母は大ざっぱというかなんというか一言では言い表せないところがあるとは小さいながら気付いてはいたけど、なんぼなんでも地球人なんて言い訳が通用するわけがない。「だからまじめに何人なん?」。私は再度大声で確認すると「だいたいお父さんの国ではたいていの人が色々な国の血が混じってる人ばっかりやから何人何人てそんなことあまり言わはらへんねん。だから国籍は日本やけど地球人でええやん」。小学生の私としては本当に釈然としないまま時が過ぎました。それからも時々そんな話が出ましたが、ことあるごとに地球人という答えしか返ってこないので、お姉ちゃんに最近その話をすると、お姉ちゃんから私の知らないお父さんとお母さんの話が出てきました。
 今でこそ私の両親は私たちのスポーツの応援ばかりに追われていますが、お姉ちゃんが小さかった時はお姉ちゃんを連れて学校や公民館など色々な所に外国の生活の現状を皆に話しに行っていたようです。お父さん達日系の人が日本に働きに来て、その時子供達が言葉もわからず、学校の先生も親も皆困っていたそうです。そんな中で今の生活や文化を知ってもらおうと、お父さんおばあちゃんで料理教室を開いたり、民族ダンスを披露したり、そのダンスにお姉ちゃんも出たことがあったと話してくれました。そういえば、今も外国の民族衣装などが家にあるし、アルバムで自分の民族衣装を着た姿の家族の新聞の切り抜きがあることを思い出しました。私は母にお姉ちゃんが話したことを聞きました。すると、「そうやねん、お父さんはあなた達子供が生まれた時に外国の子達が色々困ってる現状を見て、自分の子達が日本で暮らしやすい未来をつくるぞって決心しはってん。だから、1人にできることは小さいけど、今色々な人に話す機会があるならと、仕事が終わってから遅くまで色んな活動をしてはった。お父さんは『今は種をまく時期や。自分の行動が子供が少し大きくなった時に芽を出して、大人になった時花咲いてたらそれは大成功や、だからがんばる』て言ってはったな」と、話してくれました。私は今の父から想像しなかった一面を聞いた気がしました。
 私達が困らない世の中って?私は何に困ってる?普通に学校に行って友達も仲良くしてくれる。市役所やお店に行っても外国の人が皆と同じように働いている。そう考えた時初めてお父さんの目指していた当たり前や普通の暮らし、そしてお母さんのあのふざけた「地球人でええやんか」の意味が、パズルの1ピースが入るように自分の中にしっくり収まって意味深い言葉であることがやっと理解できました。そうか!私のこの中に流れる血は色々な国の人の声・魂・叫び・想いが詰まっているんだ。それは私だけでなく友達もそうで脈々とつながる血のリレーが私達に受け継がれているんだということを。だからこそ精一杯生きてよい世の中を次の未来につないでいかないといけないのだということが。
 私はやっとわかりました。当たり前や普通のありがたさを。そしてそれは以前あった人達の苦労の上にあるということも。
 先生。今度私は誰かに「何人?」って聞かれたら、
 「地球人でええやんか」。
 ちょっとお茶目なこの切りかえしを、みんなにも使ってみようかな?と思うのです。
(原文のまま)


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