「この世界の片隅に」上映第13回東近江市芸術文化祭
=「足らなくなったものは何か」片渕監督が語る映画背景=
【東近江】 核兵器禁止条約の制定を推進したNGO連合「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)にノーベル平和賞が授与されるなど「核なき世界」への国際世論が高まっている。そのような中、戦時下の広島を描いたアニメーション映画『この世界の片隅に』が16日、東近江市芸術文化祭のイベントとして八日市文化芸術会館で上映された。初上映から400日目となったこの日に、監督・脚本を務めた片渕須直氏のトークショーも開かれ、映画に対する思いが語られた。
こうの史代氏のマンガ原作を映画化し、不特定多数の支援者からインターネットで資金を集めるクラウドファンディングで制作された同作は、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞などを受賞するほか、世界各国でも上映の輪を広げている。
本編では、軍港のある広島の呉に18歳で嫁いだ主人公すずを中心に、戦時下でも穏やかな日常生活を営む人々の姿や思いが細やかに描かれ、主人公の気持ちに共感する人たちで大きな話題を生んだ。
上映を終え、会場の大きな拍手とともに登壇した片渕監督は、昭和8年12月から昭和21年の1月までを描いた物語に触れ、「夏を描く戦争の映画が多いが、戦争はその時だけではなかった。戦争が終わってもすずさんやその周りの人たちの生活はずっと続いている」と観客に語り、「物がない苦労など、大変だったことを描くのも大事だが、戦前の生活には、まちにクリスマスの音楽が流れたりと、色々な物が自由に売買されていました。それから足らなくなっていくものが何なのか、この映画で描けて良かったと思います」と映画に込めた思いを語った。
また、海外の反響も大きく、「アメリカで会った10代のイランの学生が、映画を見て子どもの頃を思い出したと言われ、私たちにとっては70年前のことだが、世界では今でも身近に感じる人々がたくさんいることを思い知らされました。また、そういった人たちにこの映画を受け入れてもらえるのかと思ったが、主人公の気持ちがよく理解できると言ってくれ、本当にありがたかった」と話し、世代に残り続ける映画になることを願った。
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