【寄稿】滋賀県議会議員 今江 政彦

■平成29年9月5日(火) 第17903号

=県政NOW 「医療現場から見える子どもの貧困」=

    今江氏

 6月の県政ナウで「子どもを虐待と貧困から救う」というテーマで投稿させていただきましたが、今回は医療現場で子どもの貧困がどのようにとらえられているのか、考えてみました。
 今、社会全体で子どもの貧困対策が問われていますが、そもそも子どもの貧困とはどのような状況をいうのか。この課題の入門書といわれている「子どもの貧困ハンドブック」(かもがわ出版)によると「子どもの貧困」とは、子どもが経済的困窮の状態におかれ、発達の諸段階における様々な機会が奪われた結果、人生全体に影響をもたらすほどの深刻な不利を負ってしまうことと定義されています。また、子ども時代の貧困が大人になっても解消されず、次の世代の子どもにも貧困が継続する世代間連鎖という深刻な状況も指摘されています。全国各地で子どもの虐待が社会問題となっていますが、その大きな要因の一つに貧困があるのは言うまでもありません。
 しかし、貧困の実態は見えにくい面があり、顕在化した時にはもう手遅れの状態になっているというケースも少なくありません。医療現場でも子どもの貧困が見えにくいといわれる中、先日参加した貧困対策の議員研修会で長野県の小児科医師和田浩先生の貴重なお話を聞く機会がありました。和田先生は医療者にできることとして、困りごとがあればとりあえずの相談相手となる、結果として安心感を与えることができる、貧困の支援団体につなげること、貧困層では親も子も自己肯定感が低い場合が多いので「頑張ったね」と自己肯定感を高める、物資・食料援助、そして、貧困をなくす根治療法として小児科医の立場から税制・雇用・教育・社会保障などの改革や提言を行っていくことが必要とおっしゃっていました。
 特に制度に関しては子どもの医療費の窓口医療無料化をすることが医療分野での子ども貧困対策として最優先の課題であると強く訴えられました。窓口無料化についてはコンビニ受診が増えて医療崩壊につながるのではないか、貧困層は生活保護で救済すべきという意見があるようですが、むしろ社会全体で子どもを健全に育てるためには必要な医療給付を制度化することが重要と考えます。今、滋賀県では子どもの窓口医療無償化は未就学児については県が補助して統一されていますが、小中学生については19市町で対応は異なっています。
 その一つの原因として市町村が未就学児以外の窓口負担の無料化や減額をすると国庫負担や調整給付金を削るというペナルティーがあることも大きいと思います。子どもの貧困問題は日本の将来を大きく左右し、夢や希望も奪ってしまいます。今一度あらゆる観点から貧困問題にアプローチしようと思います。




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