泥沼化する野洲市民病院問題(4)

■平成29年8月10日(木) 第17811号

=「私たち民間に任せるべき」=

野洲市が構想する公立病院と同規模の病院を経営する生田氏(県議会自民党県議団控室)

◇野洲
 野洲市のJR野洲駅南口で予定されている市立野洲病院整備計画が、市当局と反対派市議の対立で前に進まない状態となっている。そこで、野洲市民病院構想(199床)と同じ規模をもつ医療法人社団美松会・生田病院(湖南市)の理事長で、野洲病院への関心が高く、市民病院反対派議員の指南役として勉強会の講師も務めた県議の生田邦夫氏(69)に民間病院経営者の視点を聞いた。(高山周治)

独自試算では稼働率70%
2年後の黒字困難では


 ―野洲市民病院整備構想をどう見るか。
 生田
 そもそも現在の民間の野洲病院がなぜダメになったのか総括していない。民間病院なのに、職員はおんぶに抱っこしてもらえる公立病院のように考えていた。資金繰りが厳しくなっても、市が助けてくれると甘えていた。総括抜きに国と県に頼った今回の計画は問題だ。
 ―市の計画では2年後に黒字化となっているが。
 生田
 2年目の黒字化は困難だろう。毎年、一般会計から投入しても経営できない市立病院をもつ時代ではない。
 野洲市民病院計画の収支の試算は、病床(ベッド)の稼働率を85%に見積もっているが、私の独自試算では厳しめにみて70%。これでは経営は成り立たず、患者負担(入院費用の加算)を増やして不足分を補うしかない。
 民間は100%近くまで稼働率を上げて、患者負担を減らしている。それに対し公立病院は一般的に経営努力しないで加算して患者負担を増やしている。

 ―民間病院は儲けに走り不採算部門から撤退するとの意見もある。
 生田
 それは違う。民間病院は、地元地域において、医療そして介護で、不採算部門も受け持っている。

 ―市の説明会に出席しての感想は。
 生田
 団塊世代が75歳になる2025年問題を控えて、来年は医療の診療報酬と介護報酬が同時改定され、さらに厳しくなる。報酬点数が下がる。しかし、市の説明には何度も参加しているが、一切この話が出なかった。医療介護包括ケアの話も。これは問題だ。

 ―どうすれば中核病院を整備できるか。
 生田
 人口5万人の自治体は公立病院をもつ時代ではない。市民病院はつくらず、私たち民間に任せるべき。私が理事長を務める「さつきグループ」(医療法人社団美松会、社会福祉法人近江和順会などで構成)は、医療、介護のあらゆるサービスを展開し、利用者は1日約1200人。切れ目のないサービスを24時間、365日応えられるよう懸命に努めている。それでも黒字には程遠い。
 今回の市民病院計画は、病院経営を取り巻く環境を直視していない。野洲市には、隣の守山市民病院の現状を見なさい、時代を見なさいと言いたい。


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