ライバル市場開設に「々恐々」慢性的な赤字経営の滋賀食肉センター

■平成29年7月13日(木) 第17858号

=と畜頭数低迷で累積赤字膨らむ=

と畜計数の計画と実績

 滋賀食肉センター(近江八幡市)の慢性的な赤字経営が続く中、京都食肉市場(京都市)の新市場開設(来年4月)で「戦々恐々」とする声が出ている。生産農家の出荷が県外へ流れ、収入の柱である解体手数料が減収する可能性があるためだ。同センターの台所事情と展望を取材した。(高山周治)

 「経営改善のための経費削減はやり尽くしているので、後は、と畜数を増やすしかない。一番の根本だが、本当に大丈夫か」。今月6日の県議会・環境農水常任委員会では、県議が念を押した。
 これに対して県の担当者が、もとになる子牛繁殖による増頭対策による生産基盤強化や、生産農家に県食肉センターに出荷するよう呼びかけると回答すると、県議はセンターの老朽施設や国内高値の利用料(解体・販売委託)を念頭において「京都の方が最新施設で魅力的な値段を掲げるのに、県が生産農家に情緒的なお願いをしてもどうか」と県内牛の流出を危惧した。
 京都食肉市場のと畜実績は2016年度で約9300頭で、大半が府外から集まる。輸出対応できる最新施設を備える新市場開設で、「さらなる集荷力アップをめざしたい」と意気込む。


滋賀食肉センター(近江八幡市長光寺町)

 一方の滋賀食肉センターは、安全安心な食肉を安定的に供給することを目的に、県の出資が大半を占める食肉公社と食肉市場の2法人などで2007年度に操業開始された。県内牛の約8割以上が集まる県内唯一のと畜場、食肉地方卸売市場である。
 このように県が最大出資者として設置されたが、開設当初から経営は苦しい。
 昨年度の累積赤字は、センターの施設を整備管理する滋賀食肉公社約10億円、解体と受託販売する滋賀食肉市場約4億4000万円となっている。
 経営悪化の大きな原因は、解体手数料が収入の主な柱なのに、牛や豚が思うように集まらなかったことだ。牛でみると、開設当初07年は計画で1万頭を見込んだが、実績は8300頭と大幅に及ばなかった。その後、計画では11年度に1万2000頭に増加すると見込んでいたが、実際は8000頭台にとどまった。
 担当の県畜産課は「10年前の開設時は近隣府県になかった輸出対応の施設で集荷増を期待したが、結果的にそうならなかった。市場間の集荷競争が厳しくなる中で、京都市場の情報収集に努めるとともに、滋賀の強みである『近江牛』のブランド力を高め、県内牛の増頭対策をと畜頭数増につなげたい」と、経営改善に注力する構えだ。
 ちなみに経営健全化計画(17年度〜21年度)では、累積赤字を最終年度で5億3000万円に圧縮する。


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