迫るPCBの廃棄期限(中)

■平成29年6月22日(木) 第17840号

=県立高5校 業者委託で処分費4100万円削減=

※表の数字は、5校への取材と業者確認により作成した。

◇全県
 1968年に食用油に混入し多くの人が健康被害にあった「カネミ油症事件」が発生し、72年に製造が禁止されたポリ塩化ビフェニル(PCB)。事業者や学校などで保管されているPCB廃棄物やPCB使用製品の処分期限が迫っている中、5つの県立高校では独自に専門業者へ委託したPCB廃棄物の分別調査によって計4100万円の処理費用が削減されていたことがわかった。(石川政実)

 PCBが使用された電気機器には、高圧変圧器や高圧コンデンサー、蛍光灯などに使われる安定器がある。製造禁止後もなかなかPCB廃棄物処理施設が設置できなかったため、自治体や事業所ではPCB廃棄物を30年以上保管するケースが多い。
 2016年8月から施行されたPCB特措法の改正で、廃棄物だけでなく使用中の蛍光灯の安定器などについても期限内の廃棄が義務づけられた。自治体や事業所は、高濃度PCBについては、京滋地域などは20年度末、低濃度は26年度末までに処分をしなければならない。期限内に処分を行わない場合、「3年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金または併科」となる。
 環境省と経済産業省は昨年10月に事業者向けのパンフレットを作成したが、その中で1977年3月までに建築・改修した古い建物についてはサンプル調査でなく全数調査をするよう求めている。
 県の施設は昨年3月時点で、県庁舎等が160、学校65、警察施設269の計494施設に上っているが、PCB対策の要の県循環社会推進課に1977年3月以前の県の施設数を問い合わせしたところ、「実数を把握していない」という返事だった。ここにも縦割り行政の弊害が出ている。
 県内の各学校では、PCB含有のおそれのある蛍光灯安定器などの高濃度PCB廃棄物を、ドラム缶で保管している。
 ちなみに県立甲南高校など表の5県立高校が昨年、保管中のPCB含有安定器の廃棄物について、独自で分別調査を専門業者に委託していた。
 甲南高校の奥健二事務長は「何十年も安定器の廃棄物を保管しているため安定器の銘板がわかりにくかったり、製造メーカーに問い合わせても時間がかかったりするので、専門業者に分別を委託した。その結果、PCBが含まれていない非PCB廃棄物が86%もあった。高濃度PCB廃棄物(安定器)の処分費用がキロ当たり3万240円かかるため、約1千万円の処分費が削減された。県内学校のすべてで専門業者らに分別調査を委託すれば、税金の無駄遣いが防げる」と話した。
 表の通り、5校だけで計4100万円が削減された。専門業者への委託料が1校当たり数十万円だけに費用対効果は高い。PCB廃棄物の正確な分別やPCB使用製品の全数調査は結果的に税金のムダ遣い防止につながるのに、県教委の動きは依然として鈍い。


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