ミサイル文書で学校現場混乱 県教委の要請で児童生徒に配布

■平成29年5月18日(木) 第17810号

=2市は「不安あおる」と配布見送り 問われる県の危機管理体制=

市町の防災担当者を集めた弾道ミサイル対応に関する説明会(県危機管理センター、4月25日)

◇全県
 朝鮮半島情勢の緊迫化を受けて、先月下旬、弾道ミサイル飛来時の対応に関する文書が、県教育委員会の要請で県内の多くの小中学校で保護者向けに配られたが、「いたずらに不安をあおる」として一部の自治体では見送られた。現場の混乱はなぜ起きたのか、県や県・市教委の対応を検証した。(高山周治)

 この文書は、弾道ミサイルが飛来した場合に備え、学校の臨時休業などについて通知したもの。児童生徒は4月25日、担任教諭から説明を受け、配られた文書を家庭へ持ち帰った。
 県教育委員会によると、弾道ミサイルをめぐる対応の検討は、県防災危機管理局から連絡を受けて4月14日から始め、同月20日にあった県立学校(高等学校、特別支援学校など)の会議で、避難方法や臨時休業について記した文書を配布した。
 小中学校については、4月21日に都道府県の国民保護担当者を対象にした国の臨時説明会が開かれたため、同月25日早朝、市町教委に文書をメール送信するとともに電話連絡した。これを受けて学校で同日、文書が配られたが、不安を訴える児童もいたという。
 ただし、野洲・湖南2市では今回の文書配布は見送られた。この理由を野洲市教委は「いつ、どこで、どのような状況で発生するのか情報が不足する中で、保護者や子どもに無用な不安を与えないため」、湖南市教委は「国・県による県民への周知徹底が至っていない段階で、学校だけが情報を流すのは時期尚早であり、低学年の児童に不安をあおるデメリットが大きい」としている。
 問題の背景にあるのは、国民保護計画に基づく危機管理体制のあり方だ。同計画は、武力攻撃やテロ、ゲリラから住民の命・財産を守るため、県、市町で情報伝達や避難などについて策定しているもの。
 例えば緊急事態の連絡は、知事から市町を通じて住民に伝達されるなど、一体となって総合的に対応することになっている。しかし、今回は県・県教委でばらばらの対応だった。
 谷畑英吾・湖南市長は「学校が休みになれば、家族・地域も同じ形で危機に対応しないといけない。しかし、今回のように学校だけが突出すれば、子どもは行き場がなくなる。このため両親が共働きだと、どちらかが休まないといけない。危機管理は総合行政なので、知事から系統だってやってほしい」と、県庁内の横断的な対応とルールの再徹底を求めた。
 これに対して三日月大造知事は9日の定例会見で、県教委の文書通知について「行政として必要な対応をとったと思う」としながらも、「配り方、表現内容で改善すべきところあれば改善したい」と述べた。


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