【寄稿】近江八幡市長 冨士谷 英正

■平成29年4月22日(土) 第17788号

=自治刻刻 ふるさと納税に想う=

    冨士谷氏

 平成20年度にふるさと納税制度が導入されましたが、本市もようやく軌道に乗ってきた感がいたします。平成28年度は、おかげさまで約14億6千万円(平成27年度は約7億3千6百万円)のご協力を全国からいただきました。
 目的は申すまでもなく、愛着を持ちながらふるさとを離れて生活をされている人々がふるさとに想いを馳せ、ふるさとの隆盛、発展を願う立場で「ふるさと納税」制度を利用し、幼少の頃育った、あるいは地域に育てられてきたことに対しての「ご恩返し」の気持ちを表せるものであります。また、私どものようにこの制度を大いに活用することによって、「近江牛」「八幡靴」「近江米」、また聖徳太子の時代より全国最大の生産量であります「木珠」、あるいは琵琶湖・沖島で採れた伝統の味「湖魚料理」等の販路拡大による、いわば地場産業の推進、復活に大きく寄与するものでもあります。
 しかし、ここにきて東京23区をはじめとした大都市自治体からは、都市部の方々が自分たちの選んだ「ふるさと」に寄付(納税)することによって本来なら入るべき税収が減るとの観点から、ふるさと納税に対し批判的な声が上がっております。実際にみてみますと、ふるさと納税を利用している方々は納税者全体のわずか2〜3%程度、また、かなり大きいといわれている東京23区でも減収は0・5〜1%前後、しかもその75%は交付税で補てん(ただし財政力指数が1以下の自治体)されております。
 ここで考えなければならないことは、東京23区の多くの方が地方出身で、東京に出るまではそれぞれ育った「ふるさと」で福祉、教育、医療など様々な行政サービス、言い換えますと地元自治体の税金が充てられておりました。このことは当然のことであり、何も惜しむべきものではありません。しかしながら、いざ社会人となり今度は一定の納税をしていただく立場になったと同時に「ふるさと」を離れ、大都市に出られ、そこの大都市自治体に納税されることとなります。結果、地方と都市の租税負担と行政サービスのバランスが大きく崩れ、地方の衰退を助長しております。
 国が現在推進している「地方創生」は、地方を元気にすることが第一義のはずですが、地方と都市の租税負担のアンバランスは、その取り組みに逆行しています。ふるさと納税はその解消の一因ともなりうる制度でもあり、ふるさと納税の本来の趣旨は、自分の選んだ「ふるさと」を応援するための制度です。その方々の「ふるさと」への想いが決して踏みにじられることがないよう願うものです。




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