がんセミナー治療と向き合い方「抗がん剤治療と限界」

■平成29年2月2日(木) 第17720号

=ヴォーリズ記念病院=

抗がん剤治療について講演する吉岡医師

◇近江八幡
 日本人の死因第一位の「がん」の最新医療や発症後の向き合い方を学ぶヴォーリズ記念病院(近江八幡市北之庄町)の「平成二十八年度がんセミナー」の第一回が一月二十八日に開かれた。
 今回は、三菱京都病院腫瘍内科・緩和ケア内科部長の吉岡亮医師(47)を講師に招き、「抗がん剤治療の上手な使い方と限界」の講演に耳を傾けた。
 講演の中で吉岡医師は「がん治療は、医療者だけの判断に任すのではなく、患者側も大事にしている人生観や生活環境、医療情報を医師と共有し、治療方針を決める話し合いがなければならない」と前置きした上で、「大腸がんを例に、治癒と延命の治療はそれぞれ目的が違い、その目的に沿った治療が進められる」と患者側が、がんとどう向き合うのかの正しい認識を持つことの重要性を示した。
 手術では治せない症状にまで進んだ場合の抗ガン剤治療で医療者が考える治療の目的は「症状の緩和や生活環境の改善などにより、生活に支障のない状態を長く保ち、治癒率の向上や(できれば)手術が行えるまで体力を回復させることにある。ただし、治療期間は基本的には薬が効いている間だけで、その間の効果を検証することが(患者側も)重要である」と強調した。
 また、「副作用の強い薬は、患者の体力を判断して処方するが、その体力の判断は、日中の半分以上の時間を横にならずに生活できることが基準になっている。しかし、家庭での患者の状況は、外来診察ではわかりにくく、実際より元気に見える場合が多い」と、患者の実態を知る難しさにふれた。
 いつ薬物治療を変更または中止するかは「薬物療法の効果が大きい時期と減弱して副作用が増大する時期がある。最後(死期)が近い段階ではむしろ害になるケースがあり、専門家でも悩むが、効果がある間、体力に余裕がある場合に限り続ける。(余命が推測される)終末期の病状変化をみると、抗がん剤などを使った化学療法は、体力を削って延命を図る治療を続けるということになるケースもある」と説明した。
 がんと診断されてからどのように生きるかについて「何を大切に生きていきたいかを考える中で、医療で出来ることを理解し、誤解をもとに間違った治療の選択をしないこと、(治療で)何をしてほしいか、してほしくないかを周囲の人に伝えておくことが大切」と結んだ。
 今年度のがんセミナーは「がんと向き合うこころ」をテーマに、十八日に第二回「地域に、あなたに寄り添う薬局を目指して」、三月十八日に第三回「悩みって深いですね、わかりますよ」が開かれる。時間はいずれも午後二時から同四時。定員三十人。会場はケアハウス信愛館。
 参加申し込みは、氏名、住所、電話番号、参加人数を明記し同病院FAX(0748―32―2152)、メール(vories-reihaidoh@vories.or.jp)へ。


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