子どもを取り巻くネット社会と人権

■平成28年12月21日(水) 第17685号

=行動と心理を分析 原佛教大教授が講演=

子どものネット社会と人権について講演する原教授

◇近江八幡
 近江八幡市の「人権尊重のまちづくり市民講座」が十七日午後一時半から市文化会館小ホールで開かれた。
 人権擁護のための作品(メッセージ、ポスター、作文)入賞者の表彰が行われたあと、学校や家庭で起こっている子どもの教育問題の研究者として知られる原清治佛教大学教育学部教授の講演「ネット社会と人権」が行われ、参集した市民ら約二百人が耳を傾けた。
 原教授は講演の中で「いま大学の食堂には、一人で食事をする『ぼっち席』を設けているところがある。一人でも孤独を感じない学生や対人関係を苦手とする学生が増え、人と関わる意識や行動の変化が進んでいる」と前置きした上で、友人でつくるグループやクラスの中に部活の内容、コミュニケーション能力、本人の性格や人気度などにより、上位、中位、下位の序列が自然にできあがり、その中のやさしい子や、思いを伝えることを苦手とする子をからかう悪意のない『いじり』が始まり、やがて『いじめ』に発展していくことが多い。これは無料通話アプリなどを利用する仲間同士でないと分からないネット社会でも同じ現象が見られる。次第に『いじり』が『いじめ』に転じる特徴がある」と分析。また「ネットは、ゲーム機でも接続出来る機能が備わっており、スマホでないからと安心できない。Wi―Fiは、どこでもつながる認識を持たなければならない。子どもがネットの危険性を知らずに使い始めると個人情報が不特定多数の人々に広がり、人権を侵害するだけでなく、ネット社会の攻撃の的になってしまうことになりかねない。最初はお母さんのスマホを子どもと共有して使い、親の見守りの中で正しい使い方を教えることが望ましい」とアドバイスした。
 「人と軽い感覚でつながってしまうSNSは、相手のことがよく分からない閉鎖的な空間の中で、悪意のない書き込みでも予期せぬ事態を招いてしまう。(ネットで騒がれる)いたずらやふざけの画像をサイトに投稿する行動は、『いいね』の評価を求める自己主張や注目されたい自尊心を満たすことが目的であり、自尊感情の低下の現れでもある」と指摘した。
 「大事なことは、決めたことはみんなが守ること。それは家庭でも同じ、誰かが守っていないと子どもは守らない。特に親が規範力を示すことが大事。親も携帯(スマホ)に依存しないことも大切で、親子の会話にSNSを使わない配慮も必要である」と説いた。
 「親や周囲の人に見守られていることを感じ取っている子どもは、学力も自然と伸びる。例えば、通学路の立ち番で登校する子どもに声をかけるだけでもよい。いやいや立っているとすれば、その効果はない」と呼びかけた。


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