ダイオキシン灰処分で職員求償問題 =続報=

■平成28年12月15日(木) 第17680号

=元職員の弁護士 「国家賠償法は適用できず求償は違法」=

職員求償や個人情報漏えい問題などで揺れる高島市役所

 高島市環境センター(同市今津町)が処分場の受け入れ基準を超えるダイオキシンを含んだごみ焼却灰を神戸市の埋め立て処分場に搬出し、市が損害賠償として支払った費用の一部七百十五万円を関係職員二十一人(現職員九人、元職員十二人)に国家賠償法に基づいて求償(請求)した問題で、今月六日に開催された十二月市議会定例会での一般質問に対する答弁で、上山幸応総務部長が「(フェニックスに対する直接の加害者は)高島市だ」と市の加害者責任を認めた。果たして国家賠償法が適用できるのか、市議会の質疑を再現し、検証してみた。 【石川政実】

注目の部長答弁「直接の加害者は市」

 市環境センターは平成十九年度から二十五年度までの七年間、大阪湾広域臨海環境整備センター(大阪湾フェニックスセンター)が管理する神戸沖の埋め立て処分場に廃棄物受け入れ基準値(一グラム中三ナノグラム)を上回る焼却灰計六百十三トンを違法に運び処分した。
 フェニックスは市に環境調査、ダイオキシン類濃度測定費用として計約二千八百六十一万円の損害賠償請求を行い、市は全額を支払った。
 その後、市は「フェニックスに対し基準値を超過した事実を隠して埋め立て処分契約の申し込みを行い、異常がないと報告をするなど、故意や重大な過失があった」として国家賠償法に基づき部課長ら管理職を含む職員二十一人にフェニックスへ支払った額の四分の一に当たる七百十五万円を求償した。八月末までに支払わない場合は法的措置をとるとしたが、現在まで法的措置はしていない。 
 市によるとこれまで、職員二十一人のうち、七人が支払いに応じているという。
 元職員十二人が一津屋香織弁護士らと協議して作成した先月二十二日付の反論文書では「直接の加害者は排出事業者である市で、個々の職員でなく、国家賠償法に基づかない請求の撤回」を求めた。
 このような中、今月六日に開催された市議会定例会で清水日出夫議員と森脇徹議員が一般質問でこの問題を取り上げ質疑は白熱した。
 清水議員は「フェニックスに対する直接の加害者はだれか」とただしたのに対し、上山総務部長は「フェニックスに関することについては高島市だ」と加害者責任を認めた。
 さらに清水議員は「市に加害者責任があることにより、国家賠償法が適用できないのに同法に基づき職員に求償し、払わなかったら法的措置の手続きをするというのはもってのほか」と市を批判。
 上山部長は「(関係職員が)七年間にわたり、ダイオキシンの超過数値を隠ぺいした(服務規程違反)ため求償した」と答えた。

●職員は直接の加害者ではない
 一津屋弁護士は今回の市議会のやりとりについて「総務部長が直接の加害者は市であると認めたことで、国家賠償法(表参照)一条二項に基づく求償行為ができないのは明らかだ。一条一項では『公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国または公共団体がこれを賠償する責に任ずる』と規定されている。
 例えば、地方公務員である公用車の運転手による通勤勤務中の交通事故などが典型だ。
 この場合、運転手が第三者に交通事故を起こして直接に損害を負わせた責任を、国家賠償法一条一項に基づき国または公共団体が同公務員に『代って』責任を負うことになり、その結果、国または公共団体は同公務員に対して同法第一条二項に基づく求償権を持つことになる。今回のフェニックスに対する直接の加害者は、部長答弁でも明らかなように排出事業者である高島市であり、個々の職員ではない以上、国家賠償法(第一条一項及び二項)は適用できず、よって違法な求償は撤回すべき」と主張した。
 求償問題は、国家賠償法が適用できるかどうかが最大の争点になってきた。


国家賠償法
 第一条
 国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
 第一条二項 前項(一項)の場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

◇短信
 来年一月の高島市長選(同月二十二日告示、二十九日投開票)に出馬を表している熊谷もも市議(39)=1期=はさきごろ、同市安曇川町西万木四一六に事務所(0740−32−2738)を開設した。再選を目指して出馬表明している福井正明市長(64)も、近く事務所を開設する模様。(写真参照)


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