市部長「フェニックスとの関わりは市」と責任認める ダイオキシン灰違法処分で職員求償問題

■平成28年12月8日(木) 第17674号

=退職職員、請求撤回と市長の反省求める=

流動床ガス化溶融炉が設置された高島市環境センター

◇高島
 高島市環境センター(同市今津町)が処分場の受け入れ基準を超えるダイオキシンを含んだごみ焼却灰を神戸の埋め立て処分場に搬出し、市が損害賠償として支払った費用の一部七百十五万円を関係職員二十一人(現職員九人、元職員十二人)に国家賠償法に基づいて求償した問題で、元職員全員が「加害者は、個別の職員でなく市の方だ」として請求撤回を求める連名の文書を十一月二十二日付で市に送付した。これを受け、今月六日に開催された市議会定例会一般質問で、上山幸応総務部長は「フェニックスとの直接の関わりは(職員でなく)市」と初めて加害責任を認める格好の答弁をした。【石川政実】

 市環境センターは平成十九年度から二十五年度までの七年間、大阪湾広域臨海環境整備センター(大阪湾フェニックスセンター)が管理する神戸沖の埋め立て処分場に廃棄物受け入れ基準値(一グラム中三ナノグラム)を上回る焼却灰計六百十三トンを違法に運び処分した。これは二十六年の会計検査院の調査で発覚したもの。
 フェニックスから市に環境調査、ダイオキシン類濃度測定費用として計約二千八百六十一万円が請求され、市は全額を支払った。
 このため「フェニックスに対し基準値を超過した事実を隠して埋め立て処分契約の申し込みを行い、異常がないと報告をするなど、故意や重大な過失があった」として国家賠償法に基づき部課長ら管理職を含む職員二十一人にフェニックスへ支払った額の四分の一に当たる七百十五万円を求償した。八月末までに支払わない場合は法的措置をとるとしたが、現在まで法的措置はしていない。
 市によるとこれまで、職員二十一人のうち、七人が支払いに応じているという。

●必要書類は市名義

 しかし、今回の元職員が一津屋香織弁護士らと協議して作成した反論文書では「平成十九年以降毎年にわたってフェニックスに提出された契約申込書(年一回の継続)と分析結果一覧表など必要書類は、排出事業者である高島市の名義で作成され、市の記名押印を自ら行った上で提出したもので、加害者は市であり、個々の職員でなく、国家賠償法は適用できない。そもそも市とフェニックスとの契約書では、フェニックスに年一回の検査数値の記載を求めているが、検査した全数値を記載する義務までは定めていない」と請求撤回を求めた。

●フェニックスにも落ち度!?

 さらに反論文書では「搬入物に対する検査権限を持ちながらなんら検査も行ってこなかったフェニックス側にも責任があるにもかかわらず、市が全額負担したのには疑義がある」と指摘した。

●ガス化溶融炉の問題

 元職員は本紙取材に対し「十五年に設置された川崎重工業の流動床ガス化溶融炉は同社第一号の実証炉だった。それまで焼却炉運転だけに従事していた現場の市職員には手に負えなかった。ところが市は十九年から経費節減のため川崎重工との契約を打ち切ったことで、現場職員は試行錯誤を続けながら稼働させるのに奔走した。当時、職員はガス化溶融炉から高濃度のダイオキシンが出るはずはなく、基準を上回るダイオキシン類の数値が出ても、炉のバグフィルターなどを清掃して測り直し数値が下がれば、高い数値についてはフェニックスや県に報告する必要がないという認識だった。事実、フェニックスとの契約書でも検査の全数値の記載義務はない。責任を負うべきは管理責任者の市長だ」と憤った。
 市人事課では元職員の求償撤回を求める文書に対し「今後、弁護士と相談して対応していきたい」としていた。
 しかし、この六日の市議会で清水日出夫市議の一般質問に対し、上山部長は「(ダイオキシンを含んだごみ焼却灰を)フェニックスに運んだのは(組織としての)市である」と市の加害者責任を初めて認めたと受けとれる答弁となった。
 元職員は「部長答弁は国家賠償法の適用ができないのに、市は不当な金銭要求を行っていることを初めて認めたものと受けとれる。ただちに請求を撤回し、違法行為を行った福井市長はもっと反省すべき」とし、法的措置を検討するという。
 任期満了に伴う高島市長選(来年一月二十二日告示、二十九日投開票)には、現職で再選を目指す福井正明氏(64)=同市安曇川町=と新人で女性市議の熊谷もも氏(39)=同=の二人が出馬表明しているが、市の職員に対する求償行為は、市政運営を巡って争点の一つになりそうだ。


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