《特集》頑張ってます!地域おこし協力隊員 政所茶の魅力と継承

■平成28年11月18日(金) 第17657号

=東近江市・山形 蓮さん(30)=

美しい山間の自然環境の中で培われてきた政所茶の畑

 気がつけば地域おこし協力隊として活動できる時間も半年を切りました。3年という任期の中で、第1期隊員として奥永源寺地域に暮らさせてもらいながら、特産品である政所茶を活動のテーマとし、茶畑作業や茶工場での勤務といった生産とパッケージデザインやインターネットを活用した販売、そしてコラボ商品の企画やイベント開催等のPR活動をさせてもらってきました。
 なぜ、政所茶の活動をしようと思ったのかと、よく聞かれます。正直なところ政所茶に出会うまで日本茶というものにそれほど興味もなく、ましてやお茶をつくりたいという思いもありませんでした。ただひとつ、地元の方が話してくださった「先祖から受け継いできた政所茶をなんとか守りたいけど、高齢化でもう限界がきている」という言葉に、素人の自分でも何か役に立てることがあるのではないかと思ったのが、ここへ来るきっかけでした。
 とはいえ、気持ちはあっても鍬(くわ)のふるい方ひとつ分からないド素人です。地元の方々が根気強くお茶づくりのいろはから美味しいお茶の淹(い)れ方、そしてこの地域での暮らし方を親身になって教えてくださり、ここまでやってこれることができました。
 そして、関われば関わるほど、政所茶のすごさを感じています。600年という歴史を持ち、今では全国でも大変珍しい在来品種の茶樹を守り、無農薬栽培を貫いている。ポコポコとした茶樹が点在している独特の茶畑風景も、まさに日本茶の原風景を今に伝える貴重な存在です。ある地元の方が「やめるのは簡単やでな」とおっしゃいました。茶畑は放棄すると3年ほどで荒れてしまいます。機械の入らない手間のかかる畑を長い年月守り続ける苦労を想像すると簡単に「すごい」という言葉で表現することも憚(はばか)られます。
 なんでも早くて便利で効率化されたものが世の中に求められる時代。政所茶づくりはその真逆を貫いているからこその魅力があると私には思えます。もちろん産地の持続のためには現実的な問題として担い手不足と生産量減少という大きな課題があり、効率化も避けては通れない問題です。
 ただ、私自身、若者の日本茶離れと呼ばれる世代の一人ですが、今徐々に同世代を中心に政所茶に興味を持ってくださる方が増えてきています。毎年行っている茶摘み体験には関東や中国地方からも参加者がありました。そして、茶摘みに来てくれた子どもさんは「将来の夢は政所茶をつくる人になること」と言ってくれたのです。今頑張っておられる地元の方々から私たちの世代へ、そして次の世代へ、このお茶をつないでいけるように残された時間しっかりと活動をしていきたいと思っています。


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