《特集》頑張ってます!地域おこし協力隊員「弓道の発祥地」のライフワーク

■平成28年11月17日(木) 第17656号

=竜王町・中村匡希さん(31)=

宮崎県に伝わる手軽に楽しめる四半的(ミニ)弓道

 弓道で地域おこし、そう言い続けて半分の任期が過ぎた。弓道?と突拍子もない感じがするかもしれないが、竜王町は近代弓道発祥の地として今日の弓道のあり方を決定づけた地域である。竜王は豊臣秀次や徳川将軍家に仕えた弓士が輩出し、名人も然りだが「弓の先生」が多く出た地域である。
 弓道で地域おこし、今までの活動で言い続けることの大切さを知った。弓道はマイナーな武道であるから、触れたことも見たこともない人が多い。ただ、関係する人がこんなに楽しそうに練習する競技も他にないと思う。弓道は難しい。矢がなかなか的中しない。だからこそ精一杯練習するうちに自然と自分を鍛えることに繋がっていくのだと思う
 弓で町おこし、と言うと同僚からは奇抜だと言われるが、こんなにのめり込めて、健康づくりや集中力を養い、禅や哲学にも通じている競技はそうそうない。今年は夏目漱石の没後100年にあたるが、漱石も好んで弓道をしていた。意外と弓に関係する人物は多い。
様々な歴史・人が交錯する弓道であるが、今この仕事に携わることが出来て幸せである。これまでの歩みのなかで辞めたいと思ったことも確かにあるが、喉元を過ぎた熱さはいまとなってはどうでもいいのであったと感じる。
 私の目標は、竜王町が弓道の故郷として世に知られることである。海外にも弓道人口は万単位で存在していて、意外と日本よりも諸外国の弓士の方が歴史に興味をもつことがある。知る限りではあるが、イギリス、スウェーデン、イタリア、台湾など諸国の弓士たちが、竜王が近代弓道の発祥の地であることを知っている。町内でも知られていないことを、外国の人たちが知っているのだ。そして、国内の他府県にも同様の弓士たちがいる。弓道は竜王の観光・歴史資源となりつつあるのだ。これは物凄い可能性を秘めていることである。
 私は「定住プレッシャー」と呼んでいるが、三年後にこの地にいるかどうか聞かれることがよくある。独身の私が定住したところで結局、人口は+1で、竜王町の人口問題に貢献したとは言えない。私はライフワークとして竜王町と弓道の繋がりを考察し続けたいし、任期終了後も「弓道で地域おこし」に携わりたいと思っている。それが自分なりの答えだ。
 先日、ミニ弓道体験会を開催した。二十人ほどの参加者を得て、初めて弓に触れ、矢が的中する楽しさを知り、最後は的を外す悔しさを味わっていた。何人かは一人一分の体験会を繰り返して、一時間半も付き合ってくれた。弓道で地域おこしは魅力を持っている。歴史と体験の両面において「食いつき」は上々なのである。辞めなくてよかった。


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